2025年から始まる新課程下での大学入学共通テスト(以下、共通テスト)で課される教科・科目は大学ごとに異なる。河合塾教育研究開発本部の近藤治さんのアドバイスを交えながら、国立・公立・私立の一般選抜のおよその傾向と、新しく登場する「情報」の設定状況をまとめた。(安永美穂)
国立大「6教科8科目」が主流に
新課程の共通テストの教科・科目に関して、国立大では多くが現行の5教科7科目から、「情報」を含めた下記の6教科8科目に移行する方針を示している。
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■文系学部:
「外国語」「数学Ⅰ・A」「数学Ⅱ・B・C」「国語」「情報」「理科基礎」「地歴・公民」「地歴・公民」
■理系学部:
「外国語」「数学Ⅰ・A」「数学Ⅱ・B・C」「国語」「情報」「理科」「理科」「地歴・公民」
公立大では現在でも6科目以下で受験できる大学が多く、2025年度も現行の教科・科目数を維持する大学があり、6教科8科目に移行する大学は約2割にとどまる。
国公立大の二次試験においては、現行の試験と同様に、文系学部は英語を中心に国語・数学・地歴公民などから1~3教科、理系学部は英語・数学・理科の3教科を課す大学が主流となっている。
私立大は現行と変わらず
私立大は2023年3月末の時点では、25年度入試に関する情報を公表していない大学が約7割を占める。既に情報を公開している私立大に関しては、多くの大学が25年度入試でも共通テスト利用方式で課す科目は現行同様、下記の2~3教科としている。
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■文系学部:
「外国語」「国語」(+「数学」または「地歴公民」)
■理系学部:
「外国語」「数学」(+「理科」)
「情報」国立大ではほぼ必須に
25年度の共通テストで新設される「情報」に関しては、国立大ではほぼ必須となる。公立大では対応が分かれ、少数教科しか課さない大学では選択科目とするケースが多く、課さない大学もある。
私立大の共通テスト利用方式では、「情報」は必須とするケースはほとんどみられず、他教科との選択として利用する、あるいは利用しないというケースが大半を占める。
「国公立大で『情報』が必須で課される場合でも、配点比率は大学ごとに異なります。6教科8科目を課す大学の総合点は素点で1000点となり、100点満点の『情報』の配点比率はそのままであれば10%となりますが、半数以上の大学は配点比率を10%未満に設定しています」
難関大では、配点比率が高い二次試験の成績が合否に大きく影響する。「新設の『情報』に振り回されずに、二次試験も含めた全体の配点比率が高い科目を重点的に学習することを心がけましょう」
学校法人河合塾 教育研究開発本部主席研究員。河合塾入塾後、教育情報分析部門で大学入試動向分析や進学情報誌の編集に携わる。教育情報部部長、中部本部長などを経て、2021年4月から現職。情報発信や講演も多数実施。