「新学習指導要領」は、2022年度4月の高校1年生からスタートし、24年度には高校の全学年で実施されることとなる。河合塾教育研究開発本部の近藤治さんのアドバイスを交えながら、新課程では教科・科目がどのように改訂されたのかをまとめた。(安永美穂)

思考力・判断力・表現力を養う

今回の新学習指導要領では、「理数」「総合的な探究の時間」が新設され、国語や地理歴史でも名称に「探究」を含む科目が誕生した。

旧課程から変更のある主な教科・科目(河合塾提供)
「新学習指導要領では、『知識・技能』だけではなく、『思考力・判断力・表現力』や『学びに向かう力・人間性等』もバランスよく育むことをめざしています」

知識をいかに活用できるか

従来の学びでは「知識の暗記」に重きが置かれていたが、予測困難な時代を生き抜くには、「知識をいかに活用できるか」が重要だという。

「新課程では資料を読み解いて何が分かるのかを考えたり、各教科の知識を用いて社会課題を解決する方法を探ったりする学びのプロセスが重視されています」

主な教科・科目の改訂のポイントは次の通りである。

【国語】「現代の国語」「言語文化」が必修

「現代の国語」「言語文化」が必履修科目に。「現代の国語」は、「読む」力のほかに「話す・聞く」「書く」力もバランスよく育成することをめざす。

【数学】「数学C」が新設

旧「数学B」の「ベクトル」、旧「数学Ⅲ」の「平面上の曲線と複素数平面」、旧「数学活用」の内容の一部を移行して「数学C」を新設。全科目において日常生活との関連性やコンピューターの活用を重視。

【英語】単語数が約700語増加

単語数が最大で約700語増加。「英語コミュニケーション」では4技能を総合的に学び、「論理・表現」では「書く」「話す」を重点的に扱う。

【地理歴史】「歴史総合」が新設

「日本史A」「世界史A」に代わり、日本と世界の相互関連性に注目しながら近現代史を学ぶ「歴史総合」を新設。「地理A」に代わり、地図や地理情報システムの活用法なども学ぶ「地理総合」を新設。

【公民】「公共」が新設

「現代社会」に代わり、「公共」を新設。社会に主体的に参画する力を養うため、グループワークやディスカッションを想定した内容も盛り込まれた。

【理科】大きな変更点なし

旧課程からの大きな変更点はない。

【情報】「情報Ⅰ」が必履修に

プログラミングの基礎を扱う「情報Ⅰ」が必履修科目になった。

 
近藤治さん 
学校法人河合塾 教育研究開発本部主席研究員。河合塾入塾後、教育情報分析部門で大学入試動向分析や進学情報誌の編集に携わる。教育情報部部長、中部本部長などを経て、2021年4月から現職。情報発信や講演も多数実施。