データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2023年度大学入学共通テストの「世界史A」の問題分析は次の通り。
― 近代から戦後にかけて諸資料を活用した問題や日本とのつながりが問われた。難易は昨年並 ―
近代から戦後がバランスよく出題され、日本とのかかわりも多く問われた。図版や文字資料、グラフなどさまざまな資料を読み取る力が求められた。難易は昨年並。
大問数・解答数
大問数4は昨年より1減、解答数30個は昨年より1個減。
出題形式
昨年より文章選択問題が12問から17問に増加し、組合せ問題が13問から8問に減少した。地図問題と表を用いた問題は出題されなかった。グラフを用いた問題は、昨年同様1問出題された。
出題分野
時代については、前近代・近世の出題が減少し、近代・現代・戦後がほぼ同じ割合で出題された。政治史中心は昨年と同様だが、文化史が増加し、社会経済史が減少した。地域については欧米史の割合が減少し、アジア史は東アジアが若干減少した分、他のアジア地域の出題が増加した。
問題量
昨年並。
難易
昨年並。
大問別分析
第1問「史跡をめぐる歴史」 (20点・標準)
Aではパリにある日本人の墓碑、Bではソウルの独立門を素材として、政治や国際関係、文化など幅広い分野からの出題がされた。問3は肥前と佐賀の関係を、会話文を丁寧に読むことによって導き出せる。問5では、朝鮮が冊封体制下に置かれていた国であったことを理解できているかが問われた。ただし、仮名文字の成立時期やハングルの特徴についてはやや細かい内容であった。全体として、日本に関連した出題が多い点が特徴であった。
第2問「近現代における国のあり方」 (30点・標準)
Aでは石油危機に直面したアメリカ合衆国の様子、Bではタイにおける地図の形態の変遷、Cではユーゴスラビアの歴史を扱った映画に関する会話を素材として、国家の成立や滅亡、周辺との関係の変化などに関する事項を政治史を中心に問われた。問1では、中東情勢に関するやや細かい知識が問われた。問6は、資料の図版とリード文を結び付けて理解しているかが問われた。
第3問「旅行経験と歴史の学び」 (30点・やや易)
Aはベンガル地方、Bは大英博物館、Cは天安門広場への旅行から学んでまとめたメモや会話から展開された問題であった。問3は、メモを読むことで正答を導くことができた。問5は、バイロンの詩を読解する力が求められた。問9は、鄧小平の政策を資料から判断する読解力が問われた。
第4問「歴史上の移動や流通」 (20点・標準)
Aはスエズ運河の歴史、Bは中国からの紅茶の輸出を切り口として、関連する基本的な知識が問われた。問2は、日本史の知識とつなげて考察する力が問われた。問5はグラフの読み取りで、数値を計算することが求められた。この設問も、日本史の知識とつなげて考察する必要があった。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2022年度 48.10点
- 2021年度 46.14点
- 2020年度 51.16点
- 2019年度 47.57点
- 2018年度 39.58点