第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【第6問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2023年度大学入学共通テストの「生物」の問題分析は次の通り。

― さまざまな切り口の出題がみられ、高い思考力が求められた。昨年より難化 ―

全6大問必答で、複数の大問で分野融合問題が出された点は昨年同様であったが、大問間での配点のばらつきは昨年より小さくなった。全体的に、判断すべき情報量が多く、知識を活用して実験結果を読み取る必要があり、昨年より難化した。

大問数・解答数  

大問数6、解答数28個は、昨年から変更なし。

出題形式

文章選択問題を中心に出題された。

出題分野

昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。

問題量

昨年並。

難易

昨年より難化。

大問別分析

第1問「生命現象と物質、生物の進化と系統」 (17点・やや難) 

光合成において光エネルギーの捕集に働く色素-タンパク質複合体を題材に、オペロンによる遺伝子発現の調節と光合成生物の系統進化が問われた。問2では、与えられたグラフが示す内容をリード文と結びつけて理解し、オペロンによる調節について推理することが求められた。問4では、表として与えられた形質に関する情報をもとに、光合成生物の系統関係を推理することが求められた。

第2問「生物の進化と系統、生物の環境応答」 (18点・難) 

Aは、生物の進化に関して、遺伝子重複に関する理解と適応に関する知識とを活用して判断する問題であった。問2は、ノドジロオマキザルの自然選択において、雌雄でX染色体のもち方が異なることにより、差異が生じることに気づけたかどうかがポイントであった。Bは、ヒトの嗅覚に関する問題であった。問3は表から情報を読み取り、整理・統合して考える問題であった。問4は、題意を把握するのに時間を要する計算問題であり、2の10乗が10の3乗に近似できることに気づけば、計算の手間を省けたであろう。

第3問「生物の環境応答」 (12点・難)

「生物の環境応答」の分野から、植物の光環境に対する応答について、知識問題と考察問題の両方が出題された。問2は、葉緑体の配置変化が細胞透過光に対して与える影響を考察する問題で、葉緑体の吸収スペクトルに関する知識をもとに判断する必要があった。問3は、葉緑体の配置変化が植物に与える生理的な意味を実験結果にもとづいて考察する問題であった。

第4問「生命現象と物質、生態と環境」 (20点・やや難) 

植物の根粒菌の共生を窒素固定反応から考察する「生命現象と物質」と「生態と環境」の分野融合問題であった。問1は植物の有機物の合成に関する知識、問2は物質生産に関する知識を問う問題であった。問3は実験をもとに、3か所の地点において植物Mの成長に不足している物質を推測する問題、問4は窒素固定に必要なATPと電子の量から窒素固定に必要なグルコース量を求める問題、問5は植物にとって根粒菌との共生が有利とは限らないことを考察する問題であった。

第5問「生殖と発生」 (19点・やや難) 

ショウジョウバエの母性効果遺伝子の働きについて、知識を活用して推論する問題と実験結果から考察する問題が出題された。問3は、実験1~3の結果から導かれるタンパク質Xの働きに関する考察と、その考察に矛盾しない推論を選ぶ問題であった。問4は、始原生殖細胞の分化に対する母性効果遺伝子Xの働きと実験1~3の結果に矛盾しないためには、実験4の実験条件をどのように設定すればよいかを考察する問題で、正確に読めたかどうかで差がついたと考えられる。

第6問「生態と環境」 (14点・やや難)

競争に関する知識を問う問題に加え、アユの縄張りと群れに関して推論する問題が出題された。問2は、縄張りの形成と個体の成長について推論することが求められる問題で、目新しく感じた受験生が多かったと思われる。問3では、利益と労力の視点からグラフを選ぶことと、グラフから最適な縄張りの大きさについて推論することが求められた。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2022年度 48.81点
  • 2021年度 72.64点
  • 2020年度 57.56点
  • 2019年度 62.89点
  • 2018年度 61.36点

第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【第6問】【正解】【分析