第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2023年度大学入学共通テストの「数学Ⅱ・数学B」の問題分析は次の通り。

― 「積分法」「数列」で現実事象の問題。「図形と方程式」は出題なし。昨年より易化 ―

第2問〔2〕は、ソメイヨシノの開花日時を「積分法」を用いて予想する現実事象の問題。第4問「数列」は、預金に関する複利計算を2通りの【方針】で考察する問題。昨年出題された「図形と方程式」からの出題はなかった。各問題の導入部分は取り組みやすいものが多く、昨年より易化。

大問数・解答数

昨年と同様、大問数は5で、第1問・第2問は必答、第3問~第5問の中から2大問選択する形式。第1問・第2問は、2中問構成であった。

出題形式

選択肢から選ぶ問題の解答数は、昨年から増加し、27~32問であった。第2問〔2〕で、対話形式を用いた現実事象、第4問で、現実事象の問題が出題された。

出題分野

昨年と同様、特定の分野に偏ることなく幅広く出題された。

問題量

ページ数は21~22ページ(下書き用紙を除く)で、昨年より1~2ページ増加した。

難易

昨年より易化。

大問別分析

第1問「三角関数」、「指数関数・対数関数」 (30点・やや難)  数学IIと共通 必答

〔1〕は、2倍角の公式、加法定理などを利用した、三角関数の不等式の問題。(4)は、(2)、(3)を利用して、sin3x>sin4x>sin2xを満たすxの値の範囲を求める。誘導に正しく乗ることができれば、計算が煩雑にならなくて済む。〔2〕は、与えられた対数が無理数になる十分条件を考察する問題。背理法による証明が素材であったが、対数の性質が理解できていれば容易に解くことができた。

第2問「微分法・積分法」 (30点・標準)  数学IIと共通 必答

〔1〕(1)は、3次関数の極値と区間内の最大値を考え、(2)は、(1)を利用し、円錐に内接する円柱の体積の最大値を求める問題。〔2〕(2)は、ソメイヨシノの開花日時を【設定】に従って考察する問題。(i)は、積分計算から開花日時を求める必要があった。(ii)は、f(x)が増加することを利用して、定積分の値を計算せずに開花日時の範囲を求めることができる。

第3問「確率分布と統計的な推測」 (20点・標準)  選択

ある生産地で生産されるピーマン全体から無作為に抽出したときのピーマン1個の重さについて考察する問題。(1)は、信頼度90%の信頼区間を求める問題。【方針】に従って、正規分布表を用いれば解答できる。(2)は、与えられた【ピーマン分類法】で1袋の重さの分散が小さくなるように、25袋作ることができる確率に関する問題。二項分布や正規分布に関する典型的な問題が多く、計算も比較的取り組みやすいものであった。

第4問「数列」 (20点・やや難)  選択

年利1%である預金口座に毎年一定額を入金したときのn年目の初めの預金を考察する問題。(1)は、参考図の預金の推移から、【方針1】で、n年目の初めの預金anについての漸化式を立てる。【方針2】で、等比数列の和を用いてanを求める。(2)は、(1)で求めたanを用いて、10年目の終わりの預金が30万円以上になるための入金額の範囲を求める。与えられた式の形にあてはまるように落ち着いて式変形をすればよい。(3)は、初めの預金額の差の変化だけに着目できるかどうかで差がついたと考えられる。

第5問「ベクトル」 (20点・標準)  選択

三角錐を素材とした空間ベクトルの問題。(3)(i)までは、内分点の位置ベクトルや内積の定義、内積の計算、ベクトルの垂直条件など、基本的な内容が問われた。平面で考えることができるため取り組みやすい。(3)(ii)の最初の設問は、(1)と同様に内積の定義に関する問題で解きやすいが、最後の2問は垂直であることと同値である条件を求める問題で、(i)を利用できることに気づいたかどうかで差がついたと考えられる。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2022年度 43.06点
  • 2021年度 59.93点
  • 2020年度 49.03点
  • 2019年度 53.21点
  • 2018年度 51.07点

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