第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2023年度大学入学共通テストの「地学」の問題分析は次の通り。

― グラフから読み取った数値をもとに考察する問題が多く出題された。昨年よりやや易化 ―

第1問では、二次元の図から三次元的な構造を推定することを主題として、幅広く出題された。第3問では、マグマ混合により生じたマグマの特徴について考察する目新しい問題が出題された。図表の読み取りを求められる問題が多かったが、地学基礎の知識で解答できる問題も多く、昨年よりやや易化した。

大問数・解答数  

大問数5は、昨年から変更なし。昨年30個であった解答数は27個に減少した。

出題形式

語句選択問題を中心に出題された。

出題分野

昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。

問題量

昨年並。

難易

昨年よりやや易化。

大問別分析

第1問「二次元情報の三次元への復元」 (20点・標準) 

二次元情報の三次元への復元を題材にして、幅広い内容が出題された。基本的な知識を前提とする問題が多かった。問1は震源分布から太平洋プレート上面の形状を選ぶ問題。問2は鉱物の二つのスケッチから鉱物の形と名称を推定する問題。問3は地質図から傾斜方向と傾斜角を読み取る問題。問4は地上天気図から温帯低気圧の断面図より等温線の分布を推定する問題。問5は絶対等級と見かけの等級から恒星までの距離を比較する問題であった。

第2問「固体地球、プレートテクトニクスとマグマの発生」 (18点・やや易)

問1は地球表面の高度分布の特徴とその要因に関する問題であった。陸地の割合を計算する問題は、数的処理の手法で差がつくと思われる。問2は初期微動継続時間と震源距離の関係を問う基本的な問題であった。問3はトランスフォーム断層の横ずれの種類を、図から正しく読み取る必要がある問題であった。問4は火山前線付近での火山噴出物の第四紀の堆積分布を考察する問題で目新しい。問5は中央海嶺と海溝付近におけるマグマのでき方を問う基本的な問題であった。

第3問「マグマの化学組成、地質と古生物、人類の進化」 (22点・標準) 

Aはマグマの化学組成の思考実験を題材として、2種類のマグマが混合した場合の変化と結晶分化作用について問われた。火成岩についての基本的な知識が必要である。Bは露頭のスケッチを題材として、示準化石、褶曲構造と断層の種類について問われた。基本的な知識に加え、図の読み取りが必要であった。Cは人類の進化について、ホモ・サピエンスの出現時期と、人類の出現から現代までのできごとについて問われた。

第4問「地球大気、海洋表層の大規模な循環」 (18点・標準)

Aは北極域の気温の季節変化を題材にした問題であった。問2はオゾン層の破壊についてのあまり見慣れない問題であり、問題文を丁寧に読み、グラフから必要な情報を正確に読み取る必要があった。Bは亜熱帯域の環流についての問題であった。問4はアイソスタシーの考え方で、問5は西岸強化の知識から解くことが可能である。

第5問「惑星の運動、太陽系と恒星」 (22点・やや難)

Aは地球と火星そして木星の軌道半径と公転周期の読み取りを使った思考実験を用いた計算問題であった。地球以外の惑星から観測する思考実験の出題は目新しい。問1では会合周期、問2では最大離角に関する理解が問われた。問3は火星から観測したときの年周視差を考える問題と、惑星の軌道上の速さを求めて、年周光行差を地球と比較する問題であった。Bは太陽、天球、恒星について幅広く問われた。問5は天球における天体の運動や位置の変化について多面的に考察する問題で、地球の自転や公転に関する確かな知識が要求された。問6は、球状星団と散開星団に含まれる恒星の種類の違いをHR図から考察させる問題であった。HR図に示された恒星の数が少ないため、両星団の違いを理解していない受験生は戸惑ったかもしれない。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2022年度 52.72点
  • 2021年度 46.65点
  • 2020年度 39.51点
  • 2019年度 46.34点
  • 2018年度 48.58点

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