いよいよ本番が近づいてきた大学入学共通テスト。電車やバスなど交通機関の運休や遅延、急な体調不良……万が一トラブルが起きたときに知っておきたい対処法や、前日までに確認しておきたいことを、河合塾教育研究開発本部の近藤治さんの話をもとにまとめました

事前の確認&備えでトラブルに冷静に対処

【1】受験上の注意を熟読

受験日当日は、思わぬトラブルに見舞われても慌てずにすむように、まずは受験票と一緒に送付されている「受験上の注意」を必ず読んでおくことが大切です。受験票の内容も再度チェックし、トラブルが起きた際の連絡先となる「問合せ大学」を確認しておくことをおすすめします。

【2】自宅から試験会場の経路を確認

余裕を持って交通機関を使おう

毎年多いのが、試験会場までの交通機関が乱れたことで到着時間がギリギリになってしまい、冷静さを保つことができないまま試験がスタートしてしまったというパターンです。とくに1限目の科目でペースが掴めず、それが1日中尾を引いてしまった、という話はよく聞きます。自宅から試験会場までの経路をしっかりと把握し、余裕をもって出発するようにしましょう。

【3】交通機関が乱れたら大学へ連絡

万が一、悪天候や事故により交通機関に遅延・運休が生じた場合は、試験開始時刻が繰り下げられる場合があります。まずは、先ほどの受験票に記載されている「問合せ大学」へ電話連絡をしましょう。そして、遅延証明書などがある場合は必ず入手してから、落ち着いて試験会場へ向かいましょう。

突然の体調不良やケガでも慌てないで

【4】病気やケガの場合は追試験の申請を

病気や負傷で共通テストを受けられなくなった場合は、追試験の対象になります。その場合は、「受験上の注意」に記載されている申請受付時間内に、本人または代理人が「問合せ大学」において追試験の受験申請を行う必要があります。

急な体調不良でも慌てず大学に連絡して

病気や負傷の場合の追試験の申請にあたっては、原則として受験票と医師の診断書が必要です。ただし、新型コロナウイルス等の感染拡大リスクや医療提供体制の逼迫などにより、自宅待機を要請されているといった理由で診断書の提出が困難な場合は、「問合せ大学」に電話連絡をしたうえで、検温結果や症状、保健所等への相談日などを提出するといった手続きを行う必要があります。

冷静な心を保ちリラックスを心掛けて

【5】自分の点数だけで状況判断しない

2022年度の共通テストが終了した直後、特に非常に難関だった数学が終わった直後は、多くの受験生が打ちひしがれていました。しかし、数学の平均点が一気に下がったことが分かると、いち早く立ち直り、点数自体は取れなかったものの、第一志望の大学にそのまま出願した受験生が多くいました。

これは「点数が取れなかったのは自分だけではない」ということが分かって切り替えたからです。こういった事例から分かることは、共通テストで自分の目標としていた点数に届いていなくても、自分の点数だけで状況判断するのではなく、冷静に周りを見渡せるような気持ちで最後まで乗り切っていくことが大切という点です。

【6】科目ごとに気持ちを切り替えて

共通テストは1日で複数の科目を受験します。1限目でうまくいかなくても焦らずに、その次の科目までに冷静になれるように気持ちを切り替えていくことが重要です。共通テストは科目と科目の間のインターバルが長くありますので、次の科目の予習をしたり、周囲に配慮しながら音楽を聴いてリラックスしたりするのも良いでしょう。終わったことはすぐに忘れて、気持ちを新たにして次の科目に挑むようにしましょう。

 
近藤治さん
 
 
学校法人河合塾教育研究開発本部主席研究員。河合塾入塾後、教育情報分析部門で大学入試動向分析や進学情報誌の編集に携わる。教育情報部部長、中部本部長などを経て、2021年4月から現職。マスメディアへの情報発信、生徒、保護者、高校教員対象の講演を多数実施。
 
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