国立大学協会は1月28日、2025年度入試(24年度に実施)から国立大の一般選抜で、大学入学共通テストの教科「情報」を課す方針を決めた。他教科も含めて「6教科8科目」を原則として課すことになる。(記事末尾に「2024年度以降の国立大学の入学者選抜制度-国立大学協会の基本方針-」全文掲載)

21年ぶり科目増

協会は2004年度入試以降、当時の大学入試センター試験で5教科(国語・外国語・数学・地歴公民・理科)から7科目を原則として課す方針をとっており、多くの国立大が方針に則って受験科目を決めている。21年ぶりの科目増となる。

2025年以降の大学入学共通テストの出題教科・科目

「文理問わず身に付ける教養」

2022年4月に高校に入る生徒から適用される新たな学習指導要領では、新たに教科「情報」の科目のうち「情報Ⅰ」が必修となる。共通テストでも「情報Ⅰ」が課される。協会が28日に決めた入試実施方針では、国立大でも「文理を問わず全ての学生が身に付ける教養として『数理・データサイエンス・AI教育』が普及しつつある」と述べ、「情報」の知識は「大学教育を受ける上での必要な基礎的な能力の一つ」として位置付けた。

大学入試センターは、25年度共通テストでは浪人生のために現在の学習指導要領に基づく科目「旧情報(仮称)」を出題し、「情報Ⅰ」との間で難易差による得点差が開いた場合は得点調整を実施する方針だ。

各大学が22年度中に配点決定

協会の永田恭介会長(筑波大学長)は「未来をつくる若者に、データサイエンス、AI(人工知能)は非常に重要。読み書きに近い」と受験生に「情報」を課す意義を話した。高校側には、地域によっては正規の情報の免許をもった教員が少ないといった懸念がることについて、岡正朗・入試委員長(山口大学長)は文部科学省から「大きな地域差はない。研修や教員の配置など授業体制の充実に努める」と説明を受けたことを明かした。

各国立大は、2022年度中に「情報Ⅰ」の配点を含めた、25年度入試の方針を公表するという。