第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「地学」の問題分析は次の通り。

― 火山や惑星の観察など、探究活動が素材として多く用いられた。難易は昨年並 ―

第1問では、20世紀初頭の地学的発見に関連して幅広い分野の知識が問われた。第2問ではチバニアンが素材としてはじめて用いられた。また、第2問では火山、第3問では変成岩、第5問では惑星に関する探究活動が扱われた。目新しい題材もあるが、標準的な知識を問う設問が多く、難易は昨年並。

大問数・解答数  

大問数5は、昨年から変更なし。昨年29個であった解答数は30個に増加した。

出題形式

語句選択問題を中心に出題された。

出題分野

昨年と同様、特定の分野に偏ることなく、幅広く出題された。

問題量

昨年並。

難易

昨年並。

大問別分析

第1問「20世紀初頭における地学的な発見」 (17点・やや易) 

20世紀初頭における地学的な発見を題材にして、幅広い内容が出題された。教科書に掲載されている基礎的な知識や考え方などを幅広く身につけておくことが必要である。問3は走時曲線をもとにモホ面の深さとマントル内のP波速度について考える問題であった。問4は放射性同位体の崩壊のようすを表すグラフを選択する問題であり、半減期の意味を理解している必要がある。

第2問「地球の構造、地磁気、火山」 (20点・標準) 

Aは、地球の構造に関する問題であった。問1はアイソスタシーが成立している地域のフリーエア異常とブーゲー異常を模式的に示した図を選択する問題であった。Bは、地磁気に関する問題であった。問3は現在とチバニアンそれぞれの残留磁気から地磁気の成分を問う問題で、問題文を読み取る力が問われた。水平分力や鉛直分力の向きが問われたことに戸惑った受験生もいたと思われる。Cは、火山に関する問題であった。火山噴火の様式とマグマの成分との関係を問う基礎的な問題であった。

第3問「変成岩、海洋の堆積物、日本列島の地質帯」 (20点・やや難) 

Aでは、岩石の写真とプレートの沈み込み境界の模式図が与えられ、広域変成岩と広域変成作用に関する基本的な知識が問われた。Bは、堆積物における有孔虫化石の酸素同位体比をもとにした問題であった。問4は気候変動と酸素同位体比の変動とが連動するしくみについて答える問題であった。問5は周期的な事象について、その周期のスケールの理解が問われた。Cは、西南日本の地質帯の形成された年代を答える問題で、問題文の読み取りが重要であった。

第4問「大気、海洋」 (20点・標準) 

Aは、空気塊の運動と雲の形成に関する問題であった。問1は気温と飽和水蒸気圧の関係のグラフを用いた計算問題であり、このグラフを用いた問題はめずらしい。問3は正文選択問題で、選択肢の文に下線が引いてある問題で目新しい。Bは、海水の密度の鉛直断面図を題材にした考察問題であった。問5は海洋の題材でアイソスタシーの考え方を用いる点が目新しい。問6は図2の立体的構造がイメージできなかった受験生には難しかったかもしれない。

第5問「太陽や天体の動きと時刻、惑星の観測、銀河と恒星」 (23点・標準) 

Aは、太陽の運動と時刻の関係に関する出題であった。Bは、惑星の視運動に関する出題であった。問3は外惑星である火星の視運動と軌道上の位置の関係を問う問題で、惑星の視運動に関する出題は、最近ではめずらしい。Cは、銀河と恒星に関する出題であった。問4はハッブルの銀河の分類に関する基礎的な知識問題である。問5は恒星の質量と寿命に関する知識があれば、会話文の記述を読み取り解答できると思われる。問7は超新星の最大光度の絶対等級を、太陽との比較から計算する問題であり、等級と光度の関係に関する符号も含めた正確な理解が不可欠である。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2021年度 46.65点
  • 2020年度 39.51点
  • 2019年度 46.34点
  • 2018年度 48.58点
  • 2017年度 53.77点

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