2度目の実施となる2022年度大学入学共通テスト。初回だった昨年はどの受験生も手探り状態でしたが、今年はようやく「顔」が見えてきそうです。大学入試センター試験と何が変わり、どのような対策が必要なのでしょうか。駿台教育研究所進学情報事業部長の石原賢一さんに聞きました。(黒澤真紀)

2021年度共通テストは、予想に反して平均点が高かった

昨年の共通テストの平均点は、多くの科目で前年の大学入試センター試験を上回りました。事前に2度行われた試行調査(プレテスト)では、センター試験に比べて難化が指摘されましたが、本番は試行調査よりも解きやすい出題となりました。

「驚くほど平均点が高くなりました。数学2Bは2002年以来の6割近くの59.9点、倫理は72点と2009年以来の高さです。実は、1990年に大学入試センター試験が導入されたときも同じようなことがありました」(石原さん)

2022年度は現役生の45.1%が出願で過去最高

22年度共通テストの出願者数は53万367人でした。現役生の45.1%が出願し、センター試験時代を含めても過去最高の割合です。

共通テストは全国677会場で実施。新型コロナウイルスに感染した受験生への配慮から、追試験は2週間後の1月29、30日に設定。昨年に続き、追試験会場を全都道府県に設けています。

22年度は、「(大学に在学しながら別の大学を目指す)再受験の志願者が約1.9万人もいます」と石原さん(12月22日発表の学校基本調査の確定値より推定)。昨年はオンライン授業がメインで、来年以降も通常通りに授業やサークル、行事やアルバイトができるようになるかわかりません。地方から都市部に進学したものの、このまま先が見えない大学生活を送るのなら、「就職に有利な地元の国公立大学を受験しなおそう」と考える人がかなり多いようです。

2022年度大学一般選抜のスケジュール(駿台教育研究所提供)

2022年度は平均低下の予想、ただし「難化」ではない

21年度の共通テストの5教科平均点は前年のセンター試験より上がりました。

「22年度の共通テストは前年より難しくなると予想されていますが、『難化』ではありません。センター試験のレベルに『戻る』だけです。去年が高すぎでしたからね。平均点540~550点はキープするはずなので、2022年度も極端に難しくなることはないでしょう」(石原さん)

各科目の傾向はどうなるのでしょうか。

「昨年の英語は、リーディングの問題文が1000語ほど増えて長すぎました。22年度は短くなるのではないでしょうか。リスニングは、東大受験生でも100点満点換算で5点ほど平均点が下がりました。私立文系では20点ほど下がりました。今年は問題が調整され、受験生側も共通テストの傾向にあわせた対策をするので平均点が上がるでしょう。国語では、21年は出題されなかった『実用文』を素材とした問題や、古文と漢文の融合問題が出る可能性があります。数学は、21年度は計算量が少ないなど簡単な問題だったので、それはセンター試験レベルの難易度に戻るはずです」(石原さん)

受験生にとって「大切なのは、見たことのない問題を解く力が問われていること」と石原さんは強調します。過去問は、あくまで時間配分を確認するために使いましょう。

2022年度大学入学共通テストの時間割(駿台教育研究所提供)

共通テストの時間割は昨年と同じで、丸2日間かけて行われます。休み時間も長く、集中力がきれてしまうことも。そうならないように、当日のペースをシミュレーションしておくのが有効です。