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データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2022年度大学入学共通テストの「世界史A」の問題分析は次の通り。

― 戦後史増加、読解力重視、基礎的知識中心の出題。難易は昨年よりやや易化 ―

20世紀以降の歴史についての総合的な理解が求められた。日本を含めた東アジアについての理解も問われた。諸資料とリード文・解説文の読解をふまえて考えさせ、その多くは基本的事項との組合せで出題された。戦後史が増加しているが、問われている事項は基礎的なものが多いため、昨年よりやや易化。

大問数・解答数

大問数5は昨年から変更なし。解答数は33個から31個に減少。

出題形式

昨年より文章選択問題が17問から12問、年代整序問題が3問から0問、選択肢が6択の問題が5問から1問に減少し、組合せ問題が8問から13問に増加した。記号選択問題の形式は昨年から変更はなかったが、資料などの素材を用いた問題は昨年より減少した。

出題分野

時代は近世・戦後の出題が増加し、近代の出題が減少した。地域はヨーロッパ中心の出題は踏襲されているが、東アジアについての出題も増加した。アメリカについての出題は減少した。分野は昨年と同様に政治史中心の出題となった。

問題量

昨年並。

難易

昨年よりやや易化。

大問別分析

第1問「社会に対する訴えの手段としての図像」 (27点・やや易)

Aはジャンヌ=ダルク、Bは「時局図」の風刺画、Cはドイツの寓意画の図像を題材として展開した。問2、問5は素材となった図像の背景を解説文から読み取って、その読み取った内容が選択肢と一致しているかの読解力を問う問題であり、問2は総力戦の知識、問5は孫文が革命派であるという世界史の知識が理解できているかも問われた。問7は三国干渉とヨーロッパの露仏同盟を関連付けて理解できているかを問う、思考力が求められる問題であった。

第2問「世界史の授業」 (16点・標準)

Aは大航海時代についての授業、Bはローマ法の歴史についての授業を想定した会話文形式で展開された。問1、問3は基本的な世界史の知識と読解力を組み合わせて問う問題であった。

第3問「世界史上の帝国とそれを取り巻く情勢」 (16点・標準)

Aは明の末期から清の初期を生きた黄宗羲の資料、Bはビザンツ帝国の歴史家アンナ=コムネナの資料で展開された問題であった。問1は、江南という地域名を地図上で判断できるかという地理的認識が問われた。問3は、中国史に関する地理や周辺民族に関する知識を大まかに理解できているかを問う問題であった。問4は接触と交流に関する基本的な知識を問う問題であった。

第4問「人の移動の歴史」 (16点・やや易)

Aは19世紀中頃から20世紀初めにかけての移民数の統計、Bは1949~2011年の中国における都市・農村人口の割合の統計をもとに展開され、世界史上の人の移動に着目して歴史の諸事象を明らかにする問題が出題された。問2は、統計数値の読み取りに加えて、仮説から歴史的な知識を想起できるかを問う問題であった。問3は、グラフを用いた基本的な読み取りをもとに、中国の戦後史に関する知識を問う問題であった。

第5問「世界史上における民主化の動き」 (25点・標準)

民主化運動について、Aではスペイン、Bでは大韓民国、Cではチェコスロヴァキアが、図や資料を用いながら取り上げられ、それぞれリード文の内容に関する問題が出題された。問1、問4は、基礎的な知識とともにリード文や資料の深い読解力が求められた。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2021年度 46.14点
  • 2020年度 51.16点
  • 2019年度 47.57点
  • 2018年度 39.58点
  • 2017年度 42.83点
  • 2016年度 42.07点

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