2021年度大学入試は「大学入学共通テスト元年」であるのに加え、新型コロナウイルス感染症の拡大の中での入試となる。一般選抜で受験生はどのように志願大学を選ぼうとしているのか。ポイントを、大学入試の動向に詳しい駿台教育研究所の石原賢一進学情報事業部長の話をもとにまとめた。

ポイント1:理高文低、医学系が増加

 大学入学共通テスト受験者約41万人の自己採点結果を集計した「データネット」(駿台・ベネッセ共催)によると、国公立大の志望者が前年より増えた学部系統は、薬学(115%)と医学(105%)。

医療系の志願者の増加は、模試の段階からみられた傾向だ。新型コロナウイルスの感染者が増える中、医療系従事者が厳しい状況下で治療にあたっていることが報じられているが、石原さんは「医療系志望者は仕事の厳しさは把握したうえで志望をしている。新型コロナで動じることはなかった」とみている。

理学(100%)と工学(99%)などが横ばいだったのに対し、人文科学(97%)、語学(91%)、社会学(96%)など文系で減少が目立つ。「理高文低」といえる状況だ。農・水産学志望者は、前年に続き減少している。石原さんは「食糧問題の解決のため、農学の需要はあるにもかかわらず、近年志望者が減っている」と話す。

 
 
 

ポイント2:現役生中心の入試

 今年の入試の特徴は「現役生中心」であることだ。共通テスト受験者のうち浪人生が昨年のセンター試験より約2割減った。センター試験から出題傾向が変わる大学入学共通テストの導入を前に、「上を目指して」浪人を選ぶ人が少なかったためとみられる。

 摸試の段階から「現役生が極端に強い」のが今年の受験生の特徴という。浪人生が少ないためだけではない。摸試では、英語のリスニングなどの成績が現役生はよかったという。加えて「コロナ禍で休校や部活の休止がありましたが、現役の上位層はその時期に非常に勉強していました」と石原さんは語る。

ポイント3:強気の出願か

 共通テスト後のデータネットの集計をみても、国立難関大学の志願者が増加している。とくに神戸大、九州大の増加が目立つ。「難関大学の志願者数も、全体の傾向と同様、理高文低で、特に医学部が多い」(石原さん)。共通テストでは、文系5教科型、理系5教科型とも昨年のセンター試験より平均点がアップしたとみられている。このことも強気の出願を後押ししそうだ。

 国公立の準難関大学や地方の総合大学も志願者が堅調だ。コロナ禍の中で東京の大学の多くがオンライン授業中心で学生はキャンパスに通うのもままならなかった。地方の高校生が東京の大学に進学しようとしない傾向は模試段階からみられたという。