大学入学共通テストが導入された2021年度入試は、国公立大学の一般選抜でも変更や改革を実施する大学がある。その内容について、河合塾横浜校の校舎長・高野英悟さんに聞いた。(中田宗孝)

共通テスト英語の配点が大学ごとに分かれる

―国公立大学の入試の変更点について教えてください。

まず、大学入学共通テストの英語は「リーディング」(100点)と「リスニング」(100点)の配点比が1:1となりましたが、実際に選抜に利用する際の配点比が、大学によって分かれました。

大学入学共通テストの英語のリーディングとリスニングの配点比率が大学によって分かれた。表は河合塾のまとめによる大学ごとの一覧

私立大学の約7割がリーディングとリスニングの配点比を「1:1」のまま利用するのに対し、国公立大学では配点比「1:1」とするのは4割以下で、「4:1」とする大学も3割以上あります。「リーディング」に比重を置いている国公立大学が多いことが分かります。東京大学は今回の入試から初めてリスニングの点数を利用しますが、配点比を「7:3」としており、とりわけリーディングの配点比率が高いのが特徴です。

英語以外では、記述力・表現力を評価するため、小論文や総合問題を課す動きもみられます。

調査書を点数化する大学も

―国公立大学の入試での「主体性評価」の導入の動きについて教えてください。

主体性評価とは、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を入試で評価するものです。国公立大学の一般選抜でも、新たに面接を実施したり、調査書を点数化したり、志望理由書の提出を求める大学が出ています。主体性評価は今後も拡大していと思われます。

なお、私立大学の一般選抜では、高校在学中の活動や入学後の学びなどについて出願時に記載させる大学が増えているものの、合否判定に利用する大学は少なく、参考資料扱いにとどまっています。

国公立大学の一般選抜でも「主体性評価」として、面接や調査書の点数化、志望理由書などの導入が進む

―入試改革は国公立大学の志望者数の増減に影響しそうでしょうか。

昨年度の2020年度入試では大学入学共通テストへの移行を翌年に控え、受験生は難関大を避ける傾向がみられ、既卒生も減りました。

2021年度入試は、夏の模試の結果において、国公立難関10大学を志望した現役生は前年比98%と微減です。合格の可能性が上がるとは言えません。気を緩めず、受験に臨んでください。

河合塾の大学入試情報サイトKei-Netでは、最新の入試情報を提供し受験生をサポートします。

高野英悟

 

河合塾横浜校校舎長。1989年入塾。駒場校、麹町校、本郷校の校舎長を経て2019年4月より現職。大学入試に関する豊富な知識を持ち、高校などで多数講演を行っている。