第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析

 

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「数学Ⅰ・数学A」の問題分析は次の通り。

数と式、場合の数と確率で会話文、2次関数で現実の事象を扱う問題が出題された

昨年センター試験と比較すると、大問数、配点は変わらず、一方で試験時間増加に伴い文章量や計算量は増加した。第1問、第3問の一部で会話形式の問題が出題され、第2問「2次関数」で陸上競技のストライドとピッチに関する現実の事象を題材とする問題が出題された。難易は昨年センター試験並。

大問数・解答数

昨年のセンター試験と同様、大問数は5問であった。第1問、第2問は必答で、第3問~第5問から2大問選択する形式であった。必答の第1問と第2問はどちらも2中問形式であった。

出題形式

昨年のセンター試験同様、数値を答える形式が中心であったが、適切な語句や文章を選択する問題が10題程度出題された。必答問題の第1問は、数学の事象に関する問題、第2問は現実の事象に関する問題が出題された。また、第1問〔1〕と第3問で会話形式の問題が出題された。

出題分野

集合と命題を除く全ての分野から出題された。ただし、数学Aの3分野からは、2分野選択。

問題量

総ページ数は23~24ページで、昨年のセンター試験より増加した。

難易

昨年センター試験並。

大問別分析

第1問「数と式」、「図形と計量」 (30点・解答数16)  〔1〕は数学Iと共通、〔2〕は数学Iと一部共通 必答

〔1〕は文字定数cを含む2次方程式の解の問題。(1)、(2)はcの値を与えたときの方程式の解、および、解に関する整数部分を求める問題。(3)は方程式が有理数の解をもつための整数cの条件について、会話形式で問題提起をしている。〔2〕は、△ABCの外側に3つの正方形と3つの三角形をかき、これらの図形の面積の大小関係や、外接円の半径について考える問題。(1)はb、cやcosAの値が具体的に与えられるので落ち着いて計算をすればよい。(2)、(3)、(4)は、辺の長さや角の大きさの大小関係など、条件の与え方や解答群の与え方が従来のセンター試験とは異なり、困惑した受験生も多かったのではないかと思われる。

第2問「2次関数」、「データの分析」 (30点・解答数11)  〔1〕は数学Iと共通、〔2〕は数学Iと一部共通 必答

〔1〕は、陸上競技のストライドとピッチに関する現実の事象を題材にした問題。最終的に、100m走のタイムが最もよくなるストライドとピッチを2次関数を用いて考察する。(1)は問題文で示された定義に従って、100m走のタイムをストライドx、ピッチzで表せばよい。(2)はまずxとzの関係を1次式で表し、それを誘導に従いyの式に代入することが求められた。yはxの2次関数となるので、最後はyの最大値とそのときのxとタイムを求めればよい。 〔2〕は、都道府県別の就業者数の産業別男女別についての割合を扱った実際のデータに関する問題。(1)は箱ひげ図から正しくない記述を選択する問題で、(2)は(1)の箱ひげ図から正しいヒストグラムを選ぶ問題で、四分位数などの正しい理解が問われた。(3)は与えられた散布図から記述の正誤を判定する問題。散布図から相関関係を読み取る力が問われた。(4)は就業者割合と男性の散布図から就業者割合と女性の散布図を選ぶ問題。男性と女性を合計すると100%となることに注意して散布図を選ぶことが大切であった。

第3問「場合の数と確率」 (20点・解答数7)  選択

当たりくじを引く確率が異なる複数の箱からくじを引き、どの箱からくじを引いた可能性が高いかを、条件付き確率を用いて考察する問題。(1)は反復試行や条件付き確率の意味を理解していれば、比較的容易に解答できる。(2)は(1)で得られた結果をもとに成り立つ事実を考察する問題であった。また、(3)、(4)は、会話形式で考え方の筋道が示されており、前問までの結果を利用して解き進める必要があった。

第4問「整数の性質」 (20点・解答数11)  選択

円周上に並んだ15個の点上を、さいころの出た目によって決められた規則にもとづいて石を進めていく操作を繰り返したときの石の位置に関する問題。(1)、(2)は誘導に従い不定方程式を解き進めればよい。(3)は15個先の点に移動させると元の点に戻ることを利用できるかがポイントであった。(4)は5個の点に到達する最小回数を求めて比較する必要があり、計算が複雑であった。

第5問「図形の性質」 (20点・解答数10)  選択

3辺の長さが3、4、5の直角三角形の外接円、内接円を題材とした問題。 角の二等分線の性質、三平方の定理、三角形の相似、2円が内接する条件、方べきの定理などが幅広く問われた。円Pはかきにくく、円Oの直径が辺ACの長さに等しいことに着目することがポイントであった。また、方べきの定理の誘導に乗れたかどうかで差がついたと考えられる。最後の設問では、方べきの定理の逆を利用し、4点が同一円周上にあるかどうかを判定することが難しい。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2020年度 51.88点
  • 2019年度 59.68点
  • 2018年度 61.91点
  • 2017年度 61.12点
  • 2016年度 55.27点

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