第1問】【第2問】【第3問】【第4問】【第5問】【正解】【分析

データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「地理A」の問題分析は次の通り。

食文化に関する探究活動をテーマとした大問が出題された

大問全体でテーマを持った出題がみられた。第2問では食生活が題材に展開され、関連する事項の基本的な知識や地理的思考力が要求された。全体を通して初見の図表が多く、情報を正確に読み取る力が問われたが、出題内容は標準的で、難易は昨年センター試験並。

大問数・解答数

 昨年センター試験同様大問数は5、解答数は34個から30個に減少。第5問が地理Bとの共通問題であった。

出題形式

 昨年センター試験と同様に、地図・図表・写真などの多様な資料を用いた問題が中心である。参照する資料の数は、写真、文章・表がそれぞれ増加し、地図やグラフは減少した。複数の資料をあわせて考える出題がみられ、組合せの形式が増加した。

出題分野

 大問内容に変更があった。「地理の基礎的事項および日本の自然環境と防災」はパートわけがなくなり、「地図と地理情報の活用」について防災を含めて出題された。また「世界の生活・文化」の分野は食文化に特化した内容となった。

問題量

 解答数は昨年のセンター試験より減少。ページ数は増加し、問題量は昨年センター試験より増加。

難易

 昨年センター試験並。

大問別分析

第1問「地図と地理情報の活用」 (20点・解答数6) 

 パートわけはなく、地図と地理情報の活用について、日常生活を意識したGISに関する活用力が問われた。多彩な資料を丁寧に読み取ることに時間を要した受験生もいたであろう。問6は大規模な地震発生時の、地理情報とGISを活用した事例について判断する問題。GISでどのようなことができるかが理解できていれば取り組みやすかったであろう。

第2問「食文化」 (20点・解答数6) 

 大問全体で食文化についての課題探究の場面設定で出題され、統計や用語に関する基礎的な内容が扱われる問題から、解決策について考察する問題まで出題された。問3は栽培起源地域、栽培起源地域およびヨーロッパにおける1人当たり年間供給量、伝播の過程をまとめた資料から、キャッサバ、コーヒー、茶について判断する問題。まずE、F、Gがそれぞれどの作物を示すかを明らかにしてから、X、Y、Zの栽培起源地域を考える必要があった。

第3問「南アジアの地誌」 (20点・解答数6) 

 インドを中心とした南アジアの気候、農業、生活・文化、経済について標準的な問題が出題された。なじみがない資料に戸惑った受験生もいたと思われるが、丁寧に資料を読み取ることで正答を導くことができる。問1は南アジアのいくつかの地点での、最多雨月と最少雨月の月降水量を示した図から、小麦と米のうち生産量が多い作物について判断する問題。インドの降水量を考える際に、E州の位置とインドの気候区分を想起することが判断のポイントとなった。地理Aの学習レベルとしては難しく、判断に迷った受験生もいたであろう。

第4問「世界の結びつきと地球的課題」 (20点・解答数6) 

 世界の結びつきと地球的課題について多様な資料が扱われた。問1はいくつかの年のコンテナ貨物取扱量について、上位10位までの港の位置を示した図から、年と港を判断する問題。コンテナ貨物取扱量は注目されている時事的課題であるが、地理Aの受験者にとってはなじみのない資料であったかもしれない。問5は砂漠化のメカニズムとその影響を示した模式図で、塩類の集積と土壌侵食とその状況に関連することがらを判断する問題。前後のつながりをふまえて、要因や影響を論理的に考えることが求められた。

第5問「京都府宮津市の地域調査」 (20点・解答数6) 

 京都府宮津市について多様な資料が扱われた。聞き取り調査の結果から事象の背景を考察する問題も出題され、資料読解力と論理的思考力が問われた。問4は、丹後ちりめんの特徴や動向についてまとめた資料中の空欄に当てはまる語を判別する問題。日本の自然環境に関する基本的な知識が問われたほか、地場産業の海外進出の戦略を考察する思考力が求められた。問6は、2018年の外国人の延べ宿泊者数と、その2013年に対する比を示した2枚の地図から読み取れることがらとその背景を判断する問題。資料を丁寧に読み取れば、判断は難しくはない。地理Aの学習内容でも対応可能であった。

2020年度 54.51点

2019年度 57.11点

2018年度 50.03点

2017年度 57.08点

2016年度 52.14点

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