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データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2021年度大学入学共通テストの「世界史B」の問題分析は次の通り。

多様な資料を読解する力が求められ、多面的・多角的に考察する必要が大幅に高まった 

昨年のセンター試験と比べると、多様な資料の読解が求められ、思考力を要する問題が大幅に増加したため、昨年センター試験よりも難化。リード文と設問の関連性も昨年のセンター試験と比べて大幅に高まった。

大問数・解答数

昨年のセンター試験と比べると、大問数は4大問から5大問に増加し、解答数は36個から34個に減少した。

出題形式

文献資料、地図やグラフなど、多様な資料が使用され、3つの文献資料を年代順に並び替える問題や、同一の文献資料の改ざん前と後を比較する問題など、これまでのセンター試験と比較して資料を多面的・多角的に考察する問題が多く出題された。試行調査でみられた連動型の問題は出題されなかった。

出題分野

地域は西ヨーロッパと東アジアからの出題が多く、各時代からバランスよく出題された。分野では、昨年のセンター試験と同様に、政治史が多く出題された。

問題量

昨年のセンター試験と比べて増加。

難易

昨年センター試験より難化。

大問別分析

第1問「資料と世界史上の出来事との関係」 (15点・解答数5) 

Aでは『史記』とその解説文と始皇帝の逸話、Bでは歴史家マルク=ブロックの著書をもとに、テーマに沿った出題がされた。問3では、『史記』の解説から読み取ったことと知識を結びつけて、司馬遷の意図を推測することが求められた。問4では、著書から資料の信ぴょう性を考察することが必要であったため、難しいと感じた受験生が多かっただろう。

第2問「世界史上の貨幣」 (18 点・解答数6) 

Aではイギリスにおける金貨鋳造量の推移と紙幣流通量の推移をあらわした2つのグラフ、Bでは博物館に展示されたアジアの貨幣に関する会話文から設問が展開された。問2では、2つのグラフを比較して関連性を読み取り、仮説を考察することが要求された。問6では、会話文から空欄に当てはまる人物を想起し、その人物の事績を答える必要があった。

第3問「文学者やジャーナリストの作品」 (24点・解答数8) 

Aでは『デカメロン』とその解説、Bでは大庭柯公のロシアの革命運動に関する論評、Cではジョージ=オーウェルの小説『1984年』についての討論を題材に展開された。問5では、論評を詳細部分まで読み取り、その内容を知識と結びつけて考える力が必要であった。問8では、同一の資料の改ざん前と改ざん後を比較し、改ざんの意図を考察することが求められた。

第4問「国家や官僚が残した様々な文書」 (26点・解答数9) 

Aではベルリン条約、Bでは上野動物園での会話文、Cでは英領インド統治に関する文書とそれに関する授業を中心に大問が展開された。問5では、3つの文献資料がいつの時代のものであるかを読み取り、それを時代順に並び替えることが要求された。問7では、資料中の空欄を補充したうえで、資料を読解し、知識と組み合わせて考える力が求められた。

第5問「旅と歴史」 (17点・解答数6) 

Aではヨーロッパにおける旅と歴史、Bでは韓国における石碑に関する会話文をテーマに出題された。問3では、古代ローマによる周辺地域の征服過程を想起して、3つの地域が古代ローマに支配された時期を判断することが求められた。問5は、朝鮮が朱子学を重んじたことを前提に、その朱子学を批判した王守仁から朱子学を想起する問題であった。

過去5年の平均点(大学入試センター公表値)

  • 2020年度 62.97点
  • 2019年度 65.36点
  • 2018年度 67.97点
  • 2017年度 65.44点
  • 2016年度 67.25点

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