大学入学共通テストが導入される2021年度入試は、私立大学では、大掛かりな入試変更を実施する大学と、大幅な変更はしない大学に大きく分かれた。変更の内容について、河合塾横浜校の校舎長・高野英悟さんに聞いた。(中田宗孝)

早稲田の政治経済学部は独自の教科試験を取りやめ

―2021年度一般選抜で大幅な入試改革を実施する大学は、どこですか。

18歳人口減にともない大学志願者数は年2万人の減少を続ける右肩下がりになってきています。各私立大学は、新たな入試方式や試験日を増やし受験の機会を多く設定し、定員の確保により積極的に取り組んでいる印象を受けます。

早稲田大学の入試変更

早稲田大学の政治経済学部は、大学入学共通テストと学部独自試験の合格点で選抜する方式に変わりました。学部独自試験は、従来の国語、日本史、世界史といった教科ごとの出題を取りやめ、日英両言語の長文を読解して、記述式の出題を含む問題に切り替えます。英文の記述や英作文も出題されます。記述を含む英語の「書く」能力を問う問題も設けます。

早稲田大学の国際教養学部、スポーツ科学部も大学入学共通テストを必須にします。

青山学院も大掛かりな入試変更、上智が大学入学共通テストの利用を開始

青山学院大学は、メイン入試の「個別学部日程」を大きく変更します。大学入学共通テストと大学独自試験を併用して合否を決める方式に変わりました(経済学部を除く。文学部・理工学部の一部でも共通テストを併用しない方式を実施)。一方で、一般選抜の「全学部日程」では大学入学共通テストを利用せずに大学独自試験のみで試験を行います。

青山学院大学の入試変更

上智大学では、一般選抜で大学入学共通テストの成績だけで合否を判定する「共通テスト利用型」を新たに設けました。「TEAP(上智大学と日本英語検定協会が開発した英語試験)」を課す「TEAPスコア利用型」は、昨年度まで出願要件として利用していたスコアを得点化して利用する方式に変更します。「学部学科試験・共通テスト利用型」では、共通テストの3~4科目と外国語資格・検定試験の成績(任意提出)に加え、記述式を含み、文章理解力、論理的思考力、表現力などを測定する「学部学科適性試験」で合否を判定します。

上智大学の入試変更

―こうした大学の入試変更は、志願者数にどのような影響を与えそうでしょうか。

夏に実施した全統共通テスト模試の受験者の志望動向を見ると、大幅な入試変更を受験生は敬遠する傾向があります。

例えば、早稲田大学の政治経済学部の志願者は、早稲田の全学部の中で最も低い前年比58%にとどまりました。

青山学院大学の一般選抜・個別学部日程(大学入学共通テスト併用)が前年比33%に落ち込んだのに対し、大学入学共通テストを課さない一般選抜・全学部日程は前年比174%です。夏の模試の志願者の増減がそのまま本番の入試の志願者になるわけではありません。ただし、大学入学共通テストを必須にしたり、記述式を含む新たなタイプの試験を導入したりする大学・入試方式が避けられる傾向が見られます。

逆に、「大学入学共通テスト」の対策ができている受験生は、共通テストを利用する入試を受けて、合格の可能性を高くできるといえるでしょう。

立教は全学部日程が基本、独自の英語試験は廃止

―立教大学は、文学部以外は一般選抜・個別学部日程を廃止します。全学部日程を複数日実施する入試になります。

思い切った変更です。全学部日程を複数実施し、多く試験を受けられるようになります。文系学部の受験生は5回(文学部は独自試験1回を含めて6回)の受験が可能になります。

この全学部日程では、大学独自の英語試験を廃止する代わりに、「大学入学共通テスト」の英語の成績または英語資格・検定試験の成績のうち、高得点の方を合否判定に使います。英語4技能(聞く・読む・話す・書く)を自前ではなく外部試験で測れると判断をしたんですね。

河合塾の大学入試情報サイトKei-Netでは、最新の入試情報を提供し受験生をサポートします。

高野英悟

 

河合塾横浜校校舎長。1989年入塾。駒場校、麹町校、本郷校の校舎長を経て2019年4月より現職。大学入試に関する豊富な知識を持ち、高校などで多数講演を行っている。