受験シーズン本番。いよいよ初の実施となる「大学入学共通テスト」がスタートします。共通テスト後、最終的に「受験校」を決める時期を迎えます。共通テストの臨み方、受験校選びの際の最終チェックポイントについて、駿台予備学校の鹿野良介さんにアドバイスしてもらいました。
大学入学共通テストは変更相次ぐ
21年度入試は「大学入試センター試験」から「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」に代わる年。20年度の受験生は、新しいテストになる不安から浪人を避け、極端な安全志向でした。
さらに共通テストでは、計画されていた英語の民間資格・検定試験の利用や、数学・現代文の記述式問題がとりやめになるなど、さまざまな変更がありました。そして、本年度は新学期を迎える時期に新型コロナウイルス感染拡大防止のため、全国で多くの学校が休校となり、国中が混乱した年となりました。
全受験生が同じ条件で本番に挑む「あなただけでない」
今の高3生は、非常に大変な年に大学入試を迎えることとなりました。しかも、新型コロナウイルスはまだまだ収束にはほど遠いと言えるでしょう。しかし、大学入試は目前に迫っています。
まず、今のこの状況について、「全国の受験生が同じ条件で本番に挑むのだ」ということ、「決して自分だけが大変な思いをしているわけではない」と考えるようにしましょう。新型コロナ禍の中の入試であることで、文科省、大学入試センター、大学が安全な入試実施のため、さまざまな対策を取っています。
ただし、感染状況によって急遽スケジュールや条件等を変更する可能性もあります。受験生は例年以上に受験予定の大学のホームページ等をこまめに確認するように心がけてください。
私大の「共通テスト利用」出願は事前か事後かチェックを
出願は、絶対に失敗してはいけません。今一度確認をしておきましょう。最近はインターネット出願の大学が増えています。PCやタブレット等での出願プロセスをしっかり確認しておきましょう。
1月16日(土)・17日(日)に行われる共通テストは、私立大学では最初に行われる一般選抜であり、国公立大学では1次試験となります。国公立大学の出願は、共通テストの結果を見て判断することとなります。
私立大学で共通テスト型の方式で出願する場合、共通テスト前に願書を出さなければならない「事前出願」と、試験後に出願する「事後出願」があります。多くは「事前出願」ですが、自分の希望する大学については、念のためもう一度確認しておきましょう。
共通テストが終わるまで解答速報は見ない
出願までのスケジュールについて、駿台生への指導を例に説明します。
まず、1日目の16日の共通テストの正解は、翌日、つまり2日目(17日)の朝刊に掲載されますが、「受験生は絶対に見ない」こと。この段階で1日目の点数が分かっても、なんの役にも立ちません。余計なことを考えず2日目の共通テストに全力投球すること。
18日の月曜日、2日目の問題と正解が掲載されます。今度はしっかりと2日分の自己採点をします。この自己採点が誤っては正しい出願が出来ませんから細心の注意が必要です。
共通テストと二次試験の傾斜配点をしっかり確認
駿台では例年、ベネッセコーポレーションと共催で「データネット(自己採点集計)」を実施しています。毎年、膨大なデータによって、志望校の合格目標ラインや第1段階選抜通過ラインを示し、合格可能性まで的確に判断していきます。
国公立大学の出願校決定は、その公開を待ってとなります。問題は、1次試験である共通テストと、2次(個別)試験の「傾斜配点」です。もちろん第一志望については熟考して選択していると思いますが、第二志望以降は意外にうっかりしている場合がありますので、しっかり確認してください。
例えば、千葉大学(前期日程)では、同じ文学部でも「人文/行動科学」の配点は、「共通テスト450点:個別試験550点」。「人文/日本・ユーラシア文化」の配点は、「共通テスト450点:個別試験900点」と大きく異なります。
また、横浜国立大学は21年度、新型コロナ禍を鑑みて個別試験を取りやめ、「共通テストの結果のみ」で合否が判定されます。先述のように、今後の新型コロナの状況によっては、入試の条件が変わる可能性も否定できません。注意が必要です。
共通テスト後は「頭を切り換えて」
出願と同様に重要なのが、共通テスト後、合格目標ラインが出るまでの数日間をどう過ごすかです。
まだ共通テストの結果も分からないのに、「手ごたえがあった」と気をゆるめたり、「出来なかった」と落ち込んでいたりしても意味がありません。大切なのは「頭を切り替えること」。これが出来るか出来ないかが大きな分岐点です。
次の私立大学の一般選抜、国公立大学の2次(個別)試験の受験勉強に頭を切り替えてください。まずは17日に終わらせた共通テストで、出来なかった問題を復習してみましょう。「もう見るのも嫌」という人もいますが、今後似た問題が出題されて、また出来なかった、という悔しさは誰にもあるはず。本番でそんな思いをしないため、まずは共通テストを完全に克服することで次へのステップとしましょう。
鹿野良介さん
かの・りょうすけ 駿台予備学校お茶の水校2号館教務マネージャー