【2020年6月19日:最新情報を反映】新型コロナウイルスの影響で高校の休校が長期間に及び、授業や課外活動も中断した。受験準備が遅れた高校3年生からは、入試の延期を求める声もあった。これに対し、文部科学省は、大学入学共通テストは2つの日程から選べるようにするほか、各大学にも入試日程や出題範囲などの配慮を求める考えだ。共通テスト、一般選抜(一般入試)、学校推薦型選抜(推薦入試)、総合型選抜(AO入試)それぞれの入試方式はどうなるのか、Q&A形式でまとめた。(新たな情報が入り次第、この記事は更新していきます)

Q 大学入学共通テストの日程は変わるの?

A 文部科学省が変更を検討している。センター試験にかわって始まる「大学入学共通テスト」は、予定されていた2021年1月16日(土)、17日(日)に第1日程としてまず行う。

さらに、1月23日(土)・24日(日)の予定だった追試験を1月30日(土)・31日(日)に延期して第2日程として実施するという。47都道府県に会場を設ける見通し。追試験は本来は、病気などで本試験を受けられない人が対象だが、今回は休校による学習の遅れを理由に受験することも認める。高校3年生は、2つの日程から選べるようになる特例的な対応がとられる。

第2日程を病気などで受けられない人のための追試験も2月13日(土)・14日(日)に実施する。

Q 一般入試はどうなるの?

A 一般選抜(一般入試)は、原則として2月1日以降に実施する日程は変更しない。文科省は、各大学に追試験を設定したり、受験できない生徒に別日程での受験を認めたりする配慮を求める方針だ。

出題範囲についても、各大学に配慮を求める。高校3年で学習することが多い科目について選択問題を取り入れることなどを想定している。

いずれも、各大学が判断することになるので、今後の志望大学の発表に注目する必要がある。

Q 推薦入試やAO入試の日程は?

A「総合型選抜」(これまでのAO入試)の出願開始時期は2週間遅らせて9月15日以降とする(合格発表は11月1日以降から変更しない)。

「学校推薦型選抜」(推薦入試)の出願時期は11月1日以降(合格発表は12月1日以降)から変更しない。

Q 新型コロナウイルスによる休校に配慮してもらえるの?

A 文部科学省は「総合型選抜」と「学校推薦型選抜」について、各大学に通知を出した。その中では、部活動の大会や、資格検定試験が中止になったことをふまえ、大学に提出する推薦書や志望理由書にこうした実績を書けない受験生が出ることに配慮するよう求めている。具体的には「努力のプロセス」や「大学で学ぼうとする意欲」を大学に評価してもらおうとしている。出席日数や課外活動が少なくなったことで志願者が不利にならないように配慮することも求めた。

大学に提出する調査書も、休校のせいで評定がつかなかったり、参加する予定だった大会が中止になったりした場合はそのことを書けるようにし、そうした場合に大学が不利に取り扱わないように求める。

Q 大学に集合しての試験や面接が普通に行われるの?

A 文部科学省の通知では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に配慮した形式での入試実施を求めている。例として、オンラインによる個別面接やプレゼンテーションを実施したり、大学の授業にオンラインで参加してレポートを書かせたり、実技動画を提出させたりして選考することを挙げた。

Q 「9月入学」にすることが議論されてたけれど?

A 「9月入学」をめぐる検討が、政府や各政党で進んだが、小学校から大学にまで影響が及ぶ大規模な改革に議論が広がり、2021年秋からの実施は難しいという結論になった。休校が長期した高校生への対応は、大学入試の追試験の実施や、範囲や方法での配慮にとどまりそうだ。