勉強法についての悩みに、多くの受験生を合格へと導いてきた各教科の先生が、大学受験突破のためにアドバイス。駿台予備学校の田部圭史郎先生に東京大学の日本史を解くためのポイントについて答えてもらった。(構成・安永美穂)

Q.東大の日本史対策のポイントは?

A.早めに論述対策に着手し、書きながら理解を深めよう。

読解・思考・論述の全ての力が問われる

東大の日本史は、教科書レベルの知識・理解を前提として、参考文などから読み取れること考察し、設問の要求に従って解答することが求められる。

また、解答をまとめるにあたっては、「~にふれながら」といった条件を満たした上で、要点を押さえて論理的な文章を構成する力も問われる。

東大の特徴の一つに他大学の論述問題に比べて字数が少ないということが挙げられる。すなわち、短い字数でまとめる力が重要となる。こうした本質的な力はすぐに身につくものではない。できるだけ早い段階から問題演習を積んでおくことが必須となる。

過去問演習は習った範囲から早めに着手

対策としては、「知識を完璧に仕上げてから論述対策に取り掛かる」のではなく、「書きながら理解を深めていく」ことを心掛けよう。

早い段階から、一つの時代を学び終えたら、過去問のその時代に関する問題を解いてみるとよい。まずは何も見ずに自力で書けるところまで書いてみて、その後で教科書などを見ながら解答を作成してみよう。

そして、解答例と自分の解答を比較しながら、「何が足りないのか」「何が余計なのか」をチェックすること。自分の解答に、不足していたものや論理の矛盾はなかったか、参考文をふまえて書けているか、設問の要求に正確に従っているか、などを解答例と比較しながら確認すること。また、問題集や過去問、予備学校が発表している解答例を分析することも大切だ。解答例が、設問の要求や参考文とどのように対応しているのかを研究してみるといい。

参考書よりも教科書をベースとした学習を

東大の入試では、教科書レベルの知識を確実に理解しておくことが前提なので、教科書の内容を頭に叩き込むことが必要なのは言うまでもない。

参考書の使用を否定するつもりはないが、あくまで教科書の理解を深め知識の肉付けをするために使うのが望ましい。

なお、論述問題に関しては、自分で自分の答案を客観視することは難しいので、学校や予備校などの先生にみてもらうとよい。

田部圭史郎先生(駿台予備学校 日本史科講師)

 
 

たなべ・けいしろう 神奈川県出身。専攻は経済思想史。「理解を深める板書」と「記憶に残る話」を心掛け、日々熱い授業を展開中。模試や教材などの作成にも携わっている。趣味はランニングと博物館めぐり。著書に『GMARCHの日本史』(駿台文庫)