八王子東高校(東京)の文化祭「しらかし祭」(9月)で、3年2組の生徒39人が、水を使った室内アトラクション「Marvelous Atlantis(マーベラスアトランティス)」を作りあげた。(文・写真 中田宗孝)
「ありきたり」にしたくない
室内は、海底遺跡をイメージしたブルーの装飾が広がり、涼しげだ。中央に設置されたミニ噴水の水音が、雰囲気を好演出する。来場者は「水」をテーマにした4つのアトラクションが楽しめる。
流れてくるスーパーボールを箸で上手につかみ取る「スーパーボールスライダー」、水の中に手を入れ、係員の生徒が指定したお宝を制限時間内に探し当てる「水中宝探し」といった、縁日を思わせる出し物にひと工夫を施した。
企画代表の井上修一朗君は、「文化祭での縁日はありきたりな出し物になりがちです。なので『水』をテーマに掲げて変化をつけました。僕らの学校では新しい試みですし、何より自分たちも楽しんで作れるだろうなと思いました」と話す。
水鉄砲で射的
来場者が夢中で興じた「ウォーターシューティング」は、ペットボトルの的めがけて水鉄砲を発射する射的ゲーム。室内が水浸しとなるため、先生たちから心配されたが、ブルーシートと排水シートを2枚重ねするなど、数々の防水アイデアで乗り越えた。「壁面はビニールで水を防ぎ、射的ゲームの裏側には簡易の排水設備を作りました。防水面は当初から課題になるとは思いましたが、絶対クリアして、水を使った室内企画の実現にこだわったんです」(井上君)
大勢の子どもがリピーターに
文化祭本番では、大勢の子供たちが訪れる人気企画となった。「『3回目!4回目!』なんて、何度も遊びに来てくれる子供でいっぱいに。こんな笑顔で楽しむお客さんの姿を見たかったんです」と、井上君は笑う。
クラスの文化祭係の一人、翁長真愛さんは、接客するクラスメートたちの意外な一面を見つけた。「『もうちょっとだよ。頑張れ。頑張れ』と、子供たちを応援してました。みんな楽しそうに接客してて、いいなって」。2日間の文化祭で、約800人が水のアトラクションを満喫した。
やるからには全力
井上君は、昨年の文化祭でも中心となりクラス企画をけん引。文化祭に限らず、体育祭や合唱祭の行事ごとは大好き。「『やるからには』という思いが強い。どんな行事でも全力で取り組みたいし、楽しみたい」
文化祭の企画を成功させるコツは「信頼」だという。「細かく口出しせず、作業を任せたクラスメートを信頼します。もちろん困った時はお互いに協力します」