文部科学省は全国の大学・短大が入試の問題や解答をどの程度公表しているかを、1070校を調査し、結果を3月末に発表した。2019年度入試で、すべての問題について解答もしくは記述式問題などの出題意図を公表する予定なのは57%。前年(37%)より大幅に増えた。
出題ミス発覚がきっかけ
大学入試をめぐっては昨年、京都大や大阪大などの前年入試で出題ミスがあったことが相次いで発覚した。これを受けて文部科学省は、19年度入試については解答を「原則として公表するものとする」とし、記述式問題など一つの解答が定まらない問題については、「出題の意図」や「標準的な解答例」「複数の解答例」などを公表することを求めた。大学が解答を公表することで、受験勉強をしやすくするほか、ミスがあった場合に発覚しやすくする狙いがあった。
国公立大は82%が解答など公表
今回の文科省の集計によると、19年度入試ですべての問題について解答もしくは出題意図などを公表する予定なのは、国公立大の82%(前年は39%)、私立大の56%(前年は39%)、短期大学の47%(前年は34%)だった。文科省の方針の影響で、いずれも前年から大幅に増え、とくに国公立大は倍増した。「一部公表」予定なのは国公立大の4%(前年は9%)、私立大の19%(前年は29%)、短期大学の13%(前年は21%)。全て非公表とする予定なのは私立大の3%(30%)、短期大の12%(43%)で、国公立大ではなかった(前年は49%)。調査に「検討中」と回答した大学もあった。
ホームページや大学発行の問題集などで公表
公表方法は「大学のホームページ」(国公立大の42%、私立大の22%)、「大学で発行する問題・解答集」(国公立大の9%、私立大の49%)、「説明会などでの提供」(国公立大の14%、私立大の30%)などだった。複数の方法で公表する大学もある。
今回の文科省の方針は、出題ミスが相次いだことを直接のきっかけとするが、東大が「ミス防止というよりは、受験生への(勉強方法の)メッセージとしたい」として、記述式問題については解答例ではなく出題意図を公表するなど、大学側の対応はさまざまだ。国語などでは、題材となる文章などの著作権の関係でホームページでの問題公表を見合わせるケースもある。