「この大学で学びたい!」という意欲が重視されるAO入試。8月以降の出願に向けて、今のうちに特色をよく理解しておこう。

AO入試って、どんな入試?

「AO」とはアドミッションズ・オフィスの略。一般入試のように学力テストのみで合否を決めるのではなく、アドミッション・ポリシー(大学の求める人物像)にふさわしい人を選抜する入試だ。平成29年度の大学入学者のうち、国公立大では3.1%、私立大では10.7%がAO入試により入学。推薦入試に比べると割合は少ないものの、国公立大・私立大ともに実施する大学・学部の数は増加傾向にあり、平成29年度には全大学の73.8%で実施されている。

 

AO入試が増えている理由は?

2020年から始まる入試改革では、高校でアクティブ・ラーニングの充実が図られることを受けて、大学入試における学力評価も従来の「知識・技能」のみならず「思考力・判断力・表現力」を重視するものになると予想される。そのため、学力テスト以外の方法で選抜を行うAO入試や推薦入試が、多面的・総合的な評価を行う入試方式として注目されるようになった。2016年度には東京大学が推薦入試、京都大学が特色入試を開始。この流れを受け、国公立大学でも多面的な評価をする入試を実施する大学・学部が増えつつある。

推薦入試との違いは?

推薦入試は成績(評定)の基準があることが多く、さらに「指定校推薦」や「公募推薦(一般推薦・特別推薦)」では高校からの推薦が必要になる。その一方でAO入試の場合は、私立大学を中心に学業成績基準を設けない大学が多いが、近年は新たに基準を設けたり、センター試験や学力テストを課したりする場合も増えている。

また、AO入試は、他大学との併願は不可(専願のみ)の場合がほとんどなので、合格したら入学する意思のある第一志望の大学に出願することが原則となる。

最近の傾向は?

学業成績を重視する大学・学部の選考では、英語に関しては「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能の能力をバランスよく測定できる民間の検定試験の結果を活用するケースが増えてきている。特にAO入試では、「英検2級以上を出願資格とする」というように、民間の検定試験で一定のスコアや級を取得することが出願条件となる場合も多い。そのほか、それぞれの大学・学部が認定した検定試験に合格すれば(あるいは一定のスコアを満たせば)、評価に加点されたり、英語の学力検査は満点と見なされて免除になったりするケースもある。

理系では、国際科学オリンピックで一定の成績を修めた人を対象としたAO入試や推薦入試を実施している大学もある。

AO入試の実施時期は?

出願は8月~9月頃であることが多いが、翌年2月~3月にかけて複数回にわたって実施する大学もある。一般入試よりも早い時期に行われることが多く、不合格でも一般入試を受けられるので、AO入試に挑戦すれば受験のチャンスを増やすことができる。

出願にあたり、夏休みに行われるオープンキャンパスなどへの参加が必要な場合もあるので、志望大学の選考スケジュールは早めにホームページなどで調べておこう。

AO入試対策は?

選抜方法は、エントリーシート(志望理由書)、面接、小論文などで、受験生がどのような人物なのかを時間をかけてじっくりと見ていくのが一般的。中には、大学で模擬授業を受けてレポートを提出する形式のものもある。

エントリーシートには、「志望理由」「自己PR」「生徒会活動・部活動・ボランティア活動などの実績」「資格」「留学・渡航経験」などの項目があり、この内容に沿って面接が進められる。学力テストが課されることもあり、高校の調査書が選考材料の一つとなることも多いため、日々の学習にはしっかり取り組んでおこう。

AO入試は基本的に誰でもエントリーできるが、「この大学でこういう勉強をしたい」という思いの強さや目的意識が問われる入試だといえるだろう。