昨年夏、現段階での自分史上、最高の夏を過ごすことができた。そんな夏になるきっかけとなったプログラム「日本の次世代リーダー養成塾」を紹介する。(高校生記者・松川雅美3年)

2週間のサマースクール 携帯電話は一切禁止

このプログラムは日本全国、さらに中国やマレーシア、韓国、タイ、モンゴルなどのアジア各国から高校1~3年生約190人が福岡県宗像市に位置するグローバルアリーナ(期間中、佐賀県への宿泊、フィールドワーク等あり)に集結し、2週間の共同生活を行うものだ。主に毎日、各界の第一線で活躍されている方々の講義を受け、20人ほどのクラスに分かれてディスカッションをする。

他のサマースクールとの大きな違いは、携帯電話などの電子機器が全く使えないこと。初日に事務局へ預ける。そのおかげで直接話さざるを得ない環境ができ、考えを深めることができる。

また、2週間のプログラムのほんの少しの時間であるが、「みそ汁コンテスト」という企画も行われる。場所は屋内のコンロではなく屋外のバーベキュー場という、火の心配までもしなくてはならないところ。さらに制限時間はなんと30分! クラスごとに役割分担をし、汗をダラダラ流しながら頑張った。ちなみに、私が所属していたクラスでは上から2番目の賞をいただいた。

制限時間30分、必死のみそ汁コンテスト 

一生の仲間に出会えた

2週間、毎日が新しい発見の連続だった。その中で1番の思い出を選ぶのは非常に難しいが、1つ挙げるとするならば「各地に友達ができたこと」である。

私は小さい頃、郵便局の配達の人が来るだけで泣いていたほど、超人見知りだった。期間中、スマホが使えないことも味方してくれたおかげで今では日本全国でみると友達が1人もいない都道府県の方が少ないほど友達がいる。卒塾した今でも頻繁にLINEなどで連絡を取り合ったり、近くに住んでいる人とは直接会ったり。お互いの近況を報告しあうことで刺激しあえる、一生の仲間と出会うことができた。

もちろん、国外にも友達ができた。ニュースで友達が住んでいる国のことが取り上げられていたら、今までひとごとだと思っていた事にも興味を持つようになった。自分が今全く興味のない国に1人でも友達ができたら、その国の見方が大きく変わるのではないかと思うようになった。

2週間の間、高校生のメンバーは変わらないが、各クラスに1人ずつ配属される「担任」とよばれる協賛企業の社員の方は1週間ごとに交代する。前半1週間お世話になった担任の方とお別れをする日のクラス写真。佐賀県波戸岬少年自然の家にて

人見知りが治った

私はこのプログラムに参加して、自分自身が成長したと感じる点が2つある。

1つ目は先にも述べたように、人見知りをしなくなったことである。最近は同世代だけでなく、自分よりも年上の方ともコミュニケーションをとれるようになった。今までは自分から積極的に話しかけることは避けていたが、それがどんなにもったいないことだったか。2週間でみんなに教えてもらったことだ。

2つ目は、人の話に対して質問をするようになったこと。例えば学校で「質問ある人?」と先生から投げかけられても、全員の前で手を上げる人は少ない。しかしこのプログラム中の講義の後には、驚くほど多くの人が挙手し、質問をする。しかも普通の高校生が知らないような難しい言葉を使って。そんな質問を聞いているうちに「難しい質問じゃないとしてはいけないのか?」という思いに駆られたが、各クラスに1人配属される「学生リーダー」と呼ばれる大学院生の先輩が「聞きたいことを、単純な言葉で聞いてもいいんだよ」と言ってくださってからは、堂々と手を挙げられるようになった。

卒塾した今でも、「人の話に対して質問をする」という習慣は続けている。そうすることで人の話をしっかり聞き、深く理解することができるからだ。

講師の中の1人、マレーシア元首相のマハティール・モハマド氏。夫人との音楽交流も印象的だった。各講義後、講師の方と全員で記念撮影をする

2018年度の募集が始まる。応募方法は、全国からの一般公募枠か参画県推薦枠の2通り。一般公募枠の募集期間は4月2日~5月8日で、公式サイトから申込用紙をダウンロードの上、必要書類を郵送する。


■第15回日本の次世代リーダー養成塾
主催:日本の次世代リーダー養成塾 
   塾長 榊原定征(一般社団法人日本経済団体連合会会長)
開催日程:2018年7月26日(木)~8月8日(水)※2週間の合宿形式
宿泊施設:グローバルアリーナ(福岡県宗像市)
     佐賀県波戸岬少年自然の家(佐賀県唐津市)※7/28(土)~7/31(火)
対象:高校生180名程度
   全国からの一般公募枠 60名程度
   参画県推薦枠     110名程度
   アジア奨学生[非公募]10名程度
参加費:全国からの一般公募枠 150,000円
    ※一般公募枠は奨学金制度および分割納入制度あり
    参画県推薦枠     125,000円
募集期間:[全国からの一般公募枠]
     2018年4月2日(月)~5月8日(火)郵送必着
     [参画県推薦枠]
     道県市により募集期間が異なる場合あり。
詳細は公式HP(http://leaderjuku.jp/)を参照。
 

私は非参画県在学のため、一般公募枠で応募した。担任の先生ですらこのプログラムの存在を知らなかったようだ。そのため、私と同じように非参画県の学校に通っている人に向けて体験談を記しておく。

私がこのプログラムを知ったのは、Facebookだった。たまたま「日本の次世代リーダー養成塾」という言葉を見つけ、直感で「面白そう!」と感じた私はすぐさま公式ホームページに飛び、資料請求(願書請求)をした。書類が手元に届いたのは、すでに募集期間の4月下旬。締め切り約2週間前だった。自分が書かなければならない書類だけで数枚。さらに他人に書いてもらう必要のある書類もあったため焦りしかなかった。しかし「これを出さなかったら、きっと後悔する!」という一心で書類を仕上げ、何とか速達で事務局に提出した。近所の小さな郵便局がお休みだったので、大都市の中央郵便局に駆け込んだ思い出が昨日のことのように思い出される。

締め切りがゴールデンウイーク直後という事もあり、本当に慌ただしかった。一般公募枠で応募を考えている方は、早めに準備に取り掛かることを強くお勧めする。