データネット実行委員会(ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催)による2024年度大学入学共通テストの「政治・経済」の問題分析は次の通り。
― 読解力や計算力が求められ、解答に時間を要する問題が目立った。難易は昨年並 ―
「倫理、政治・経済」との共通の設問が4大問中3大問で出題された。経済分野からの出題が増加し、国際政治分野・国際経済分野の出題が減少した。全大問において、文献・判決文・統計・模式図などの多様な資料を読み解く力や、計算が求められる問題が出題された。難易は昨年並。
大問数・解答数
大問数4、解答数30個で昨年から変更なし。第2問・第3問・第4問の一部は「倫理、政治・経済」との共通問題。
出題形式
昨年と比べて、組合せ問題が16問から23問に増加した。文章選択問題が10問から6問に減少し、そのうち選択肢が3行以上の文章選択問題が3問から0問となった。また、模式図を選択する問題が出題された。グループワークで論点やキーワードを整理した関連図など、全大問が生徒の学習活動や体験の場面設定から展開された。
出題分野
昨年と比べて、経済分野からの出題が増加し、国際政治分野・国際経済分野の出題が減少した。各分野を融合した出題がみられた。
問題量
ページ数が増加(36→39)し、昨年よりやや増加。
難易
昨年並。
大問別分析
第1問「成人年齢の引き下げと生活の変化」(26点・やや難)
政治分野・経済分野からの出題。問5では有効求人倍率の資料をもとに、労働市場における需要と供給について概念的な理解が問われた。また、問8では時事的内容としてこども家庭庁についても問われた。
第2問「さまざまな団体・集団の働きについて」 (25点・標準)
政治分野・経済分野からの出題。メモや原典資料などの文章資料が多用された。問3では内閣人事局が選択肢として出題された。問8では臓器移植法改正前後において、本人の書面による意思表示と家族の同意の有無について問われた。
第3問「経済成長とグローバル化」 (25点・やや難)
経済分野・国際経済分野からの出題。知識をもとに、計算や思考力を求める問題が目立った。問4ではGDPデフレーターについての知識と、具体的な計算が求められた。問6では景気循環について、在庫や設備投資の資料を考察する必要があった。
第4問「国際社会の理論と動向」 (24点・標準)
政治分野・経済分野・国際政治分野・国際経済分野からの出題。グループワークを題材として展開され、政治・経済の各分野が多岐にわたって出題された。問1はグロティウス・ホッブズ・ロックを取り上げながら原典が問われた。問6は環境・人権を問いながら、経済安全保障推進法という新しい法律について出題された。
過去5年の平均点(大学入試センター公表値)
- 2023年度 50.96点
- 2022年度 56.77点
- 2021年度 57.03点
- 2020年度 53.75点
- 2019年度 56.24点