入試シーズンに入りました。全力を出すために、入試直前期はどのように過ごせばよいのでしょうか。受験生に知っておいてもらいたい注意点を、東進ハイスクールの市村秀二さんに聞きました。

規則正しく自宅学習しよう

―入試直前期の過ごし方について、生活面の注意点を教えてください。

睡眠時間を削って頑張ったり昼夜逆転生活を送ったりするなど、生活面が整っていない状態で本番に突入しないように注意してほしいですね。本番前日に急に生活を整えようといっても無理ですから、できれば1カ月前、遅くとも正月が明けてからは、規則正しい生活にしてもらいたいです。

規則正しい生活を心がけよう

また、少なくとも入試1週間前からはマスクをして過ごしてほしいです。大勢の人が集まる場所に行くのはなるべく避けましょう。

直前まで得点力は上がる

―勉強面でのアドバイスをお願いします。

昨年度、国公立大学に現役合格した東進生のうち、12月の模試から本番まで59・4%が1日1点以上得点を伸ばしていていました。中には結果的に100点以上も得点を伸ばした合格者もいるんです。「受験生はこれからも伸びる」という事実を知ること自体がみなさんにとってプラスになるでしょう。残された時間の中で、最後まで粘り強い学習を続けて、どう得点を積み上げていくかを考えながら取り組みましょう。

マークミスに気を付けて

―受験生の様子を見ていて、特に注意してほしいと感じることはありますか?

とにかく本当に「マークミス」が多いんです。一問解答欄がずれたことに気づかずマークする場合と、2にマークしたはずなのに3にマークしていた……といった選択肢をマークミスする場合があります。適切に見直しの時間が取れるように、本番まで解答スピードを上げる意識を持ちましょう。

マークミスには要注意

―どうすればスピードアップできますか?

必ずしも順番通りに解く必要はなく、解ける問題から解答すること。時間をかけたら解ける問題もあると思いますが、そういう問題に最初にひっかかってしまうとパニックを起こしてしまいます。

特に大学入学共通テストは資料を読み解く問題が増えて、時間がなくなりがちです。しっかり読む必要のない部分、読まないといけない部分を的確に判断して、効率的に解答する力が必要です。全部頭から読み込まないといけないなどと几帳面に解こうとすると、時間がなくなる恐れがあります。時間を測って通しで問題を解く訓練をしておきましょう。

得意・苦手のバランスに注意

―直前期にやりがちな勉強のNG行動はありますか?

得意科目ばかりを勉強することです。総得点で見れば、課題になっている科目・分野に力を注ぐべきなので、戦略を間違ってはだめです。点数がとれていない科目のほうが伸びしろがあります。

ですが、今まで一生懸命やってきたけれど、どうしても伸びなかった場合もあるでしょう。自分自身の気持ちを上げる、自信を取り戻すために得意科目もやりつつ、苦手な科目の対策も行う「バランス」が大事です。

苦手科目と得意科目はバランスよく勉強しよう

また、たまに過去問を最後の腕試し用として直前までやらずにとっておく人を見かけますが、大間違いです。本来は問題の傾向をつかむために、夏休みにはやっておいてほしいくらいです。万が一、まだやっていない人がいたら即刻解いてください。

 
 

市村秀二さん
 いちむら・しゅうじ 大学受験予備校「東進ハイスクール」を運営するナガセで広報部長を務める。