「面倒だ」とオープンキャンパスに参加しないと、進学後に後悔する危険がある。せっかくの機会を有効活用するには、適切な参加時期や、オープンキャンパス参加校の選び方についても把握することが重要だ。進路指導アドバイザーの倉部史記さんに知っておくべきポイントを聞いた。(安永美穂)

1・2年生から参加しよう

―1・2年生のうちから参加したほうがいいですか?

模擬授業などを通じて大学での学びを知ることは、1年生なら文理選択、2年生なら学部選びの参考になります。「この大学で学びたい」と思えば、勉強へのモチベーションも高まるので、できれば早めに参加することをおすすめします。

―志望校未定の場合、参加校を選ぶ基準は?

特色の異なる大学を複数見てみると、自分にはどんな大学が合うのかを考えるきっかけになります。「都心の総合大学と郊外の小規模な単科大学」「単一キャンパスの大学とキャンパス分散型の大学」「教養重視の大学と実学重視の大学」「女子大と共学の大学」というように、対照的な大学のオープンキャンパスに参加してみるとよいでしょう。

対照的な大学を見学しよう

難易度別に大学を選んで

―受験生は何校くらい参加すべきでしょうか?

受験する可能性のある大学のオープンキャンパスには、全て参加しておいたほうがよいでしょう。

「憧れのチャレンジ校」のみ見て回り、併願校のオープンキャンパスには参加しない人が多いのですが、合格する可能性が高いのは併願校のほうです。チャレンジ校、実力相応校、安全校のそれぞれ2校ずつを目安に参加すると、難易度が同じくらいの大学の横の比較もできるようになります。

事前に「知りたいこと」を明確に

―総合型選抜や学校推薦型選抜の場合、意識すべきことを教えてください。

志望理由を明確にするには、「学びたい学問」「大学」「自分自身」についての理解が重要です。オープンキャンパスでもこの3点を意識することが大切なので、事前に「今日のオープンキャンパスではどんなことを知りたいのか」を書き出しておきましょう。

学問について知りたいのであれば模擬授業を受けてみる、大学の特色を知りたいのであれば個別相談でカリキュラムの内容について質問するというように、目的に応じてやるべきことは変わってきます。

なお、総合型選抜ではオープンキャンパスで特定のプログラムに参加することが出願要件となっている場合もあります。受験を考えている人は早めに募集要項を確認しておきましょう。

オープンキャンパスでつかいみたい3つの軸

不参加はミスマッチの原因

―実際に見たことのない大学に入学することのリスクは?

自分の希望と大学で実際に学べることのミスマッチが原因で、留年や中退に至るケースは少なくありません。大学周辺の生活環境に関しても、現地に行ってみないとわからないことは多々あります。情報収集が不十分なまま憧れやイメージだけで選ぶと、「思っていた大学生活と違う」と後悔しやすいので注意が必要です。

 

倉部史記(くらべ・しき)さん

進路指導アドバイザー、高大共創コーディネーター。追手門学院大学客員教授。高校生の「ミスマッチのない志望校選び」を支援するために、全国の高校での進路講演や高校・大学の教職員向け研修などを行う。