普段、身近すぎて当たり前のような風景や生活様式、民話などに着目して調査・研究を行い『探究活動』の一環としても取り組める本コンテスト。どのように取り組んでいるのかを第17回「地域の伝承文化に学ぶ」コンテストの受賞者に伺いました。

【募集内容】
●地域文化研究部門(個人・団体)
…祭り・伝統行事・郷土料理・方言などの調査研究
●地域民話研究部門(個人・団体)
…昔話・伝説などの民話の調査研究
●学校活動部門
…学校やクラス単位での生徒による調査研究や活動実績に関する報告に、
 活動を通じて生徒たちの「学びのあり方」がどのように向上したかに
 ついて担当教員によるレポートを加えたもの
 

受賞者インタビュー

【地域民話研究部門(団体)】最優秀賞 

松山北高等学校  郷土研究部

 

 

―このコンテストに応募しようと思った理由を教えてください

私達松山北高校郷土研究部は、毎年地域の歴史・伝承などについて研究をしています。その活動の中で作り上げた研究作品を、顧問の先生から「地域の伝承文化に学ぶ」コンテストというものがあるから出してみないかという提案を受け、昨年初めてコンテストに作品を提出しました。結果として、優秀賞を受賞させて頂きとても光栄な思いと達成感を感じました。同時にもう少しで全国一位だったという悔しい思いを抱き、今年こそは最優秀賞をとりたいと思い、このコンテストに応募しました。

 

―調査・研究のきっかけとなった出来事や体験したことを教えてください

今年の研究テーマを考えていた時、伝承の舞台である愛媛県松山市小野地区出身の部員が、地域の伝承を集めた小冊子を持参し、面白そうな伝承はないだろうかとそれを読んだところ、小野小町の伝承が記載されており、興味を持ったことから始まりました。少し調べてみると、小野小町の伝承は小野地区だけでなく、愛媛県内では忽那諸島の中の中島にも残されており、全国各地に伝承が残されていることが分かりました。このことに更に興味を深め、小野小町の伝承について調べていくことになりました。

 

―今回、探究活動をするにあたって、一番重要視したことを教えてください

小野小町伝承は柳田国男氏をはじめ、多くの人によって研究されており、先行研究が残されています。その先行研究の内容と、自分達の調べた内容とを比べて、先の研究者の述べたことに影響を受けすぎず、自分達の答えを出せるようにしました。また、伝承の舞台となった小野地区を訪れ、直接地域の人からお話を聞くことを大切にしました。実際に文書と地元の方のお話では内容が食い違うことがあり、現地に行って自分達の目と耳でよく調べることが大切なのだと思いました。

 

―伝承文化を継承していくことについてどのように考えますか? また、伝承文化の魅力は?

私たちが調べた小野小町伝承も、地域の人ですらほとんど知られておらず、語り伝える人がいなくなってしまえば、貴重な伝承が消えてしまいます。小野小町は世界三大美女に数えられる他、六歌仙にも数えられる、有名な人物です。知名度が高いことから、小野小町伝承の影響力はとても高いと私達は考えます。せっかくこの小野小町伝承が私たちの故郷に残されているのにも関わらず、ほとんどの人がそれを知らないのはとても悔しく思います。より多くの人に知ってもらうことで、自分達の地域に愛着を持ってもらうことができるとも思います。そこで、来年度からの活動はこの伝承を広めていくための活動を計画しています。私達の活動を、少しでも地域の活性化に役立てたいです。

 

―探究活動を通して、成長したことや学んだことを教えてください

私達は、主に文書を読み解くことで研究を進めてきたのですが、研究の題材の時代が古いため、残されている文書の内容が難しく、また、何度も脚色を入れられており、伝承の真実を追うことが難しかったです。この真実を追うために、難しい文書を読む力、そして基本的な日本史の知識を身につけることが出来ました。また、多くの本を読んだことで、読解力が鍛えられ、学校での定期テストや模試等での国語や日本史の成績が研究を始める前よりも上げることが出来ました。
 活動の中で、研究成果を発表する機会が何度かあり、その度に難しい内容をどうすれば分かりやすく伝えることができるのかや、パワーポイントの作り方などを学ぶことが出来ました。表彰式の際、研究作品の分量が多く、上手くまとめられずに読みにくいという指摘を頂いてから、同じ内容を繰り返さず、端的にかつ丁寧に説明する方法を探求しました。

 

―伝承文化に興味を持ったきっかけを具体的に教えてください

昔祖父がよく見ていた「水戸黄門」を一緒に見ていたことがきっかけで、日本の歴史が好きになり、その後江戸時代を中心に興味を深め、歴史書や歴史小説を読むようになりました。小学校の社会科の授業で歴史を学ぶようになってから、授業の内容と自分が本で読んで知っている知識とを結びつけてより深くその時代の様子を想像することが楽しみになっていきました。また、身近に歴史が好きな友達がいたことで、自分達の知識を共有したり、歴史の話で盛り上がることが出来たことも、今日まで私が日本の歴史に興味を持ち続けていることに繋がっているように思います。

 

―伝承文化を身近に感じますか?

研究テーマを考えていた時、自分たちの身の周りには自分が思っている以上にたくさんの伝承が残されていることに気付きました。例えば、幼い頃からよく遊んでいる小山は河野氏の家臣の山城であり、その事に関係して伝説があったりすることに気づいてからさらに探究心を燃やしています。

 

【応募者必見!】受賞作品を読んでみよう
 地域文化研究部門(団体)地域文化研究部門(個人)     
 地域民話研究部門(団体)・ 地域民話研究部門(個人) ・ 学校活動部門
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