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学校活動部門

  優秀賞 
 「「秋月の乱」と天岩戸伝説~一枚の大絵馬が新事実をもたらす~」
  福岡県立朝倉高等学校  史学部

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【 優秀賞 】

「「秋月の乱」と天岩戸伝説~一枚の大絵馬が新事実をもたらす~」

福岡県立朝倉高等学校 史学部

応募の動機

 史学部が今年の調査研究テーマにしたのが地元の歴史事象である「秋月の乱」でした。「秋月の乱」と言えば、明治政府に対する士族反乱という固定的なイメージがあることは否定できません。しかし、地元にある日本一古い神社とも言われる大己貴神社の絵馬堂で見つけた一枚の大絵馬が「秋月の乱」の解釈を見つめ直すきっかけとなり、本格的な調査研究へと進んでいきました。その新しい成果を知ってほしいと思い、コンテストへの応募を決めました。

研究レポート内容紹介・今後の課題

 1876 年(明治9年)に勃発した「秋月の乱」は、熊本県で発生した「神風連の乱」や山口県で発生した「萩の乱」などとの連携も模索するなかで勃発した士族反乱でした。しかし「秋月の乱」は速やかに政府軍により鎮圧される結果となり、翌年の「西南戦争」を最後に明治政府への武力による抵抗は終わりを告げます。高校の日本史の教科書でも「秋月の乱」という名称は記載されていますが、その文章は短く、「不平士族による武装蜂起」という説明だけで終わっており、それ以上の歴史的背景や解説は見たことがありませんでした。そのため「秋月の乱」=「不平士族の反乱」という単線的な認識で止まっていたのですが、今回、筑前町の大己貴神社で一枚の大絵馬を見つけ、そこに「秋月藩」の文字が刻まれていたことをきっかけとして調査研究を始めてからは、その大絵馬を奉献した人物(計21 名)の多くが「秋月の乱」と関係深い人物であること、特に首謀者と言われる今村百八郎や宮崎車之助の名前が刻まれていることを確認し、この大絵馬自体が実は「秋月の乱」と関係深い貴重な歴史史料であることを史学部がはじめて明らかにしました。私たちはさらに調査研究を進め、大絵馬に描かれていた絵画内容が「天岩戸伝説」であること、「天岩戸伝説」の記号論的意味として「次への期待」や「新しい展開への期待」という意味が含まれること、さらには奉納時期が明治4年7月吉辰(おめでたい日)であり、それが「廃藩置県」の実施と重なることを含めて、大絵馬を奉納した彼らが、つまり5年後に「秋月の乱」を起こす彼らが、実はこの頃は明治新政府への期待感や希望を持っていたという新事実を大絵馬の研究を通して明らかにすることができたのです。このことは史学部が調査した限りでは未だ先行研究事例がなく、史学部がはじめて明らかにした調査研究報告となりました。今回の調査研究を通して、史学部ではこの大絵馬が持つ優れた史料価値が広く認識され、保存体制を整えるべきだと考え、大己貴神社と連名で、筑前町教育委員会に大絵馬の文化財指定を求める申請書を提出しました。さらには地元の歴史事象である「秋月の乱」をもっと広く知ってもらいたいという思いと地域活性化の観点から、史学部と地元の和菓子店が協働で「秋月の志士」という創作和菓子を企画・発売することになり、10 月27 日(秋月の乱勃発の日)より販売を開始することができました。今後の課題は大絵馬の文化財指定実現と大絵馬に刻まれた21 人全ての詳細を調べ、その関係性を明らかにしていくことが挙げられます。いずれも時間がかかる作業になると思いますが、これまで通りコツコツと進めていきたいと思います。

「秋月の乱」を描いた挿絵
大絵馬を調査する史学部

最優秀賞の受賞者コメントは近日公開!

 

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