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地域文化研究部門(団体)

 優秀賞 
長良川水系におけるマガモの無双網猟に関する調査~猟師足立公成さんに学ぶ~
 岐阜県立関高等学校 地域研究部・自然科学部
 
念仏講まんじゅうが繋ぐ大水害の記憶
   長崎県立長崎南高等学校 新聞部
 
神楽の伝統と大衆化
   岡山・岡山学芸館高等学校 地域活性化ゼミ 人文地理チーム
 
 佳作 
石鎚黒茶伝承!SELプロジェクトの取組
 愛媛県立西条農業高等学校 石鎚黒茶SELプロジェクトチーム
 
鳥獣被害対策から地域の文化継承~高校生ハンターの挑戦~
  熊本県立八代農業高等学校 泉分校 地域探求班

    ■審査員講評も参考にしよう!【 地域文化研究部門 講評 】

 

【 優秀賞 】

「長良川水系におけるマガモの無双網猟に関する調査
~猟師足立公成さんに学ぶ~」

岐阜県立関高等学校  地域研究部・自然科学部

応募の動機

 学校近くを流れる蜂屋川で、マガモ猟が行われていることを知った我々は、猟師であり蕎麦店経営者である足立公成さん(68歳、関市在住)の協力を得て、聞き取りや観察、仕掛けの現地踏査、解体や調理への立ち合いを行うことにした。継承者の少なくなったマガモ猟の様子を記録し後世に残すため、今回のコンテストに応募した。

研究レポート内容紹介・今後の課題

 当初の研究テーマは、「マガモの生態や河川環境と、ワナの設置や操作などの猟師の行動がどう関わるか」であり、我々の関心は、「無双網猟を通じ、河川環境を生かす人間の知恵への考察を深めること」に向かっていた。足立さんからの聞き取りは、計6回に渡って行った。足立さんの案内で、野生カモ類の生態観察、猟場の見学も行い、マガモの解体、調理の場にも立ち会った。聞き取りや現地見学を通じ、猟場の河川環境、マガモの生態・習性を熟知した上で、猟が行われることを確認した。
 研究の過程で、先史人類のカモ猟についても関心を持ち、富山県小竹貝塚(縄文前期)を訪ね、富山県埋蔵文化財センターに保管されているカモ類の鳥骨、縄文時代の遺物の観察も行った。縄文人がワナ猟を行った痕跡は、現状認められないが、関市塚原遺跡や可児市宮之脇遺跡出土の魚網用石錘の観察・分析を通じ、当時、漁網が使用されていたことを確認し、縄文時代のカモ猟に網が使用された可能性を想定した。
 縄文時代の遺物の中には、様々な石製品や土製品、特殊な文様や装飾が付された土器など、狩猟採集民の精神生活の多様性を物語る資料が多くあった。ちょうどその頃、「猟期の最初にはいつもためらいを感じる」との足立さんの一言を聞いた。この一言は、我々にとって衝撃的であった。足立さんは、猟期の間、相当の時間と「執念」をワナ猟に費やす。その一方で、「ためらいの気持ち」が起こると言う。我々も羽むしりの時にはためらいを感じたし、肉を食べた時には自然と感謝の気持を抱いた。日本史教科書には、土偶・抜歯・アニミズム等、縄文人の精神世界に関わる多様な記載がある。呪術や儀礼の中には、執念(豊猟祈願)やためらい(生命への敬い)に関わるものもあるのではないか考えた。
 足立さんの一言を聞かなければ、我々の研究は、死生観や自然観の考察にまで広がらなかったと思う。足立さん、縄文人双方にとって、カモ猟は重要な季節生業である。群れる習性のあるカモ類は、ワナを使えば効率よく捕獲できるし栄養価も高い。猟場選定や捕獲技術の開発は、マガモの習性に基づくものであるから、足立さんと小竹貝塚人の行動や認知には類似点があらわれると考える。縄文人がどのようにカモ類を捕獲したのか直接的な資料はないが、今回の調査の結果、網猟の可能性は十分あると我々は考える。ワナには無双網のほか投網もあるので、さらに調査を続けていきたい。

 

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【 優秀賞 】

念仏講まんじゅうが繋ぐ大水害の記憶

長崎県立長崎南高等学校  新聞部

応募の動機

 1982年(昭和57年)7月23日に起こった長崎大水害は死者299人、その約90%は土砂災害による被害だった。新聞部員の山中悠葵が生まれ育った長崎市県太田尾町の山川河内は大規模な土砂災害にもかかわらず、一人も死傷者をださなかった。それが「念仏講まんじゅう配り」という行事と関係があるということは何となく知っていたが、きちんと知りたいと思った。

研究レポート内容紹介・今後の課題

 地区の長老の藤川正男さんの話によると、念仏講まんじゅう配りは、33人という多数の犠牲者が出た1860年(万延元年)4月8日の大水害を忘れないようにするため行われるようになったそうだ。毎月14日に配るのは、14日を万延元年大水害の犠牲者の月命日としていることに由来すると言われている。以前は、豆や団子などを配っていたが、自家製まんじゅう、業者のまんじゅうへと変化してきた。まんじゅうは地区の全世帯がまわり持ちで配っていて3年に1回当番がまわってきた。当番は14日の午前中に約1時間かけて配っていた。まんじゅうが各家庭に配られた時に、親から子へ、祖父母から孫へと万延元年の大水害の惨状が語り継がれてきたという。こうした災害の記憶の継承が防災に対する意識を高めることになり、1982年(昭和57年)7月23日に起こった長崎大水害では土砂崩れが発生する前に多くの住民が各自の判断で安全だと思われる家へ自主避難を行っていた。長崎大水害は死者・行方不明者299人、その約90%は土砂災害による被害であったが、長崎市県太田尾町の山川河内地区は、大規模な土砂災害にもかかわらず、1人も死傷者をださなかった。
 今から25年前に若い住民から見直しを求める声も出たが、藤川さんたちは「まんじゅう配りのおかげで、長崎大水害で死傷者がでなかった。それに、今まで続けていた伝統をここで途絶えさせるのは良くない」と説得し、まんじゅう配りは存続することになったという。ただし、14日が平日に当たる月は14日の直前の日曜日に行うようになった。さらに、念仏講まんじゅう配りは大きな転機を迎えた。長崎の市街地など他の地区に通勤する住民がさらに増えたことから、自治会の総会の結果、2019年(令和元年)から年一回になった。回数を減らしてでもとにかく存続する途を選択したという。
 長老の藤川正男さんは「地区の祭りが『御願立』を始め計10回もあり、地区の住民の間に強い絆が生まれる。これがこの地区の良いところ」と語る。このつながりによる情報共有や情報交換、住民の皆さんの助け合いと、念仏講まんじゅう配りなどによる世代を超えた万延元年の災害の記憶の継承が長崎大水害で犠牲者を出さなかったことにつながったのでないだろうか。
 過去の災害に学ぶことは、防災につながる。地球温暖化の進行で大規模な自然災害が多発している今だからこそとても大切なことだと思う。

念仏講まんじゅう配り
フィールドワーク(山の神様)

受賞者コメント

 優秀賞をいただけて本当に嬉しく思います。私たちの取り組みを通じて、多くの方々に山川河内地区のことを知ってもらい、防災の大切さや地域の伝承文化を守り続けていくことの大切さを知っていただく機会になればと思っています。所属する新聞部顧問の先生の提案で応募しました。
 私が生まれ育った長崎市太田尾町の山川河内地区は、長崎大水害で大規模な土砂災害や河川の氾濫が起こったにもかかわらず、一人も死傷者をださなかったことで知られています。大水害で死傷者を出さなかったのは山川河内地区で長年行われている「念仏講まんじゅう配り」という行事と関係があるということは何となく知っていましたが、2018年に発行された「長崎南高新聞」を読んできちんと知りたいと思ったからです。
 工夫したことは専門家(大学の先生)にも直接話を聞いてみたということです。フィールドワークや聞き取りを通じて、災害の記憶の風化を防ごうと工夫した先人の知恵、災害の記憶を未来に伝えようとしている住民の努力や協力、創意工夫を知ることができました。
  防災に対する意識が高まるとともに、先人から渡された「災害の記憶」というバトンを受け継いで行かなくてはならいと思いました。
 「念仏講まんじゅう」は災害の記憶の継承というリレーのバトンのようなものだと思います。水害の記憶は時間が経過すると風化していきます。災害の記憶の継承につながる行事も高齢化やライフスタイルの変化で運営が困難になるケースも少なくありません。このような状況下で、記憶の風化を防ぐ努力も行われています。山川河内では時代に合わせて行事の簡素化を図り、住民の間の絆を維持し災害の記憶の伝承が続くように工夫しています。私たちも地域社会の一員として過去の経験に学び防災のありかたを模索していかなくてはならないと思います。 

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【 優秀賞 】

「神楽の伝統と大衆化」

岡山・岡山学芸館高等学校  地域活性化ゼミ 人文地理チーム

応募の動機

 私たちの学校では、課題研究活動の時間に関心のあるテーマを選択しそれぞれが活動を行っている。私たちのグループは岡山県で有名な備中神楽に興味を持ち、各神楽とその地域性や、継承方法などについて研究した。そして、先生からこのコンテストを勧められたことや、先輩方がこのコンテストに取り組んでいたこともあり、応募してみようと思った。

研究レポート内容紹介・今後の課題

1.事前調査
 岡山県立図書館での文献調査を通じて、神楽における分類についての基本的な理解を深めた。調査の中で島根県の神楽についての文献を読むと、「御神楽」と「里神楽」の二つに分類されることが分かった。特に文献の中で隠岐神楽においての地理的条件と神楽の関係に注目した。そこから、隠岐神楽同様の性質を持つ広島県尾道市瀬戸田町生口島の名荷神楽にも焦点を当て、中国地方の神楽における地域性や継承方法に関する調査を進めた。
2.現地調査
 私たちは生口島を訪問し名荷神楽保存会の方々にヒアリングを行った結果、名荷神楽は隠岐神楽と同様に継承者不足に陥っており、人数不足から演目の短縮が行われていることが分かった。また、比較対象である備中神楽についても詳しくお話を伺うため、高梁市役所を訪れた。話を聞いていると、継承者が地域内にとどまらず地域外にも広がり、交流が盛んであるものの、神楽がエンタメ化し神楽本来の伝統的な形態を損なっているといった課題を知ることができた。
 高梁市役所のヒアリングの中で特に興味深かったのは、神楽における性別や国籍に関する概念の違いだ。女性が神楽を行うことがタブーだとされる一方、外国人の男性が歓迎されるという話を聞いて、男女の違いや国を超えての継承について深く考えるきっかけとなった。
3.結論・今後の課題
 私たちは現地調査を踏まえて、いずれの神楽も現在の神楽のあり方を維持しながら、継承しようとしている意思は同じであると感じた。また、地理的条件や環境の違いが各地の神楽のあり方に大きな影響を与えていることも分かった。例えば、備中神楽が本州に位置していることで、他地域との交流が盛んであり、そこから担い手が育成しやすくなることなどが相互作用し、人々に親しみやすい神楽へと大衆化が進む一方で、名荷神楽のような島嶼部の神楽では、他地域との交流が乏しく、担い手は島内部の人間に限られてくることから、自然と内向的で神楽本来の神事的で伝統的な性質を持つ非大衆的な神楽になると考えた。
 今後の課題として、島嶼部など隔絶した地域でも神楽の継承を促進するためには、担い手の多様性を認め、金銭的問題を解決するなど継承環境を整える必要があると感じた。

名荷神楽保存会を実際に訪れたときの写真
高梁市役所の方に備中神楽についてお話を聞いている様子

受賞者コメント

 私たちはこのコンテストで賞を取ることを目標に活動に取り組んできたので、この度は優秀賞を頂くことができて本当に嬉しいです。 昨年度も先輩方がこのコンテストに取り組んでいたので、私たちもコンテストに応募し、私たちの取り組んでいる研究を知ってもらいたいと思っていました。 
 岡山の伝統文化である備中神楽を調べているうちに、他地域の神楽にも興味をもち、地域と神楽のつながりや、分類などに興味を持ちました。 私たちは神楽の地域性と分類について考えたのですが、地域にも分類にも明白なラインがなく、自分たちでラインを定めて考えていくことが難しかったです。また、様々な神楽から出てきた特徴から共通点を見つけることは出来ましたが、そこから分かる地域性や分類を考えていくことが難しかったです。 
 伝統文化については未知な所から始めたので、神楽について探究活動を通して詳しく知る機会になったと思います。 伝統文化が各地域にどのような影響を及ぼしているかを知ることが出来ました。またそこから出てくる、地域同士の共通点や相違点についても考えることが出来ました。 
 この活動を始めた頃は、全く興味が湧くこともなく、テレビなどで放映されていても見ていなかったのですが、活動をしていくうちに、元々興味のなかった伝統文化に対して、テレビや講演があるとつい立ち止まって見るようになりました。
  人と人が繋がり、継承していくことが大切だと考えます。そして、継承する人材は地域にこだわることなく行うことで、継承の問題が解決していくのではないかと考えます。

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【 佳作 】

「石鎚黒茶伝承!SELプロジェクトの取組」

愛媛県立西条農業高等学校  石鎚黒茶SELプロジェクトチーム

応募の動機

 前回応募した経緯があったことを担当の先生に教えていただきました。昨年入学し、研究活動に参加した私たちは、この一年間で新たな研究活動を展開できました。今回、国指定民俗文化財に指定されたことをきっかけに、全国に伝統のお茶をもっと広めていきたいと思ったため、応募することとしました。今回の受賞で、生産団体や関係団体の方々も喜んでくれました。本当にありがとうございました。

研究レポート内容紹介・今後の課題

 西条市の伝統である「石鎚黒茶の製造技術」は、平成30年、四国山地の発酵茶の製造技術として、食文化で初めて「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択され、今年「重要無形文化財」に指定されました。
 石鎚黒茶はここ西条市に伝わる伝統のお茶です。江戸時代より昔、各家庭で製造されていました。販売されたり、お遍路さんのおもてなしに使われたお接待のお茶でした。しかし、山村集落から都市部への人口流出などに伴い生産者が減少し、その伝承が危惧される状況となりました。平成初期、最後の伝承者となった曽我部さんの遺志を引き継ぎ、現在、製造を行う団体はわずか3団体のみ。幻のお茶となっています。このままでは大切な伝統文化が無くなってしまう可能性が出てきているのです。
 私たちSEL プロジェクトチームは、石鎚黒茶をつないでいくため、生産団体の方々をさまざまなアプローチの仕方で支援、そのため製造から商品開発、普及活動を展開しています。
 石鎚黒茶は、世界でも類を見ない二段発酵茶で、希少なお茶です。私たちは、製造団体の作業に参加し、製造工程や発酵原理を理解し、自分たちでお茶を作り上げました。また、商品開発も行い、普及活動を展開しています。
 今回の受賞により、石鎚黒茶の伝統文化が少しでも全国の人たちに知ってもらえたかと思うと光栄です。
 今後も生産団体と協力し、伝統の文化である石鎚黒茶を次の時代につないでいくために、活動を展開します。今後は、若い世代への認知度向上に向けた普及活動の展開、全国や世界に向けた発信です。私たちが受け継ぐ伝統を受け継ぎ、さらに次の時代に受け継いでもらうために、小学生や中学生への体験や認知度向上を図っていきます。また、今年度GI 法(特定農産物等の保護に関する法律)を取得予定であり、海外輸出に向けた準備を進めるとともに2025年に大阪万博での弁当プロジェクトで石鎚黒茶が選ばれました。伝統をつないでいくため、今後も頑張っていきます。

自分たちでお茶の干し作業をしている様子
自分たちで製造した石鎚黒茶

受賞者コメント

 このような素晴らしい賞を頂き、とても嬉しいです 。
 地域活性化させる為に、調査・研究をしました。過去に応募した事もあり、先生に紹介されて応募しました。
 探究活動をするにあたり、石鎚黒茶を作る工程が難しくて苦労しました。石鎚黒茶を作るのは難しいですが、肥料にも使える事を知るなどの発見や学びがありました。
 今回、探究活動を行ったことによって、伝承文化に対する意識にも変化がありました。伝承文化を継承していくには、いろいろな人に知ってもらう事が大切だと思います。

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【 佳作 】

「鳥獣被害対策から地域の文化継承~高校生ハンターの挑戦~」

熊本県立八代農業高等学校 泉分校  地域探求班

応募の動機

 鳥獣被害の防除についての研究を進める中で、野生鳥獣と地域文化が関係していることが分かりました。地域の伝統文化である久蓮子古代踊りの太鼓製作において製作者の不在を知り、継承へ向けた取り組みが必要であると考え実践してきました。コンクールをとおして私たちの取り組みを多くの方々に知ってもらいたいと思い応募しました。

研究レポート内容紹介・今後の課題

1 課題を取り上げた背景
 狩猟実践においてICT・IoT 機器の使用と猟師の秘伝猟法を合わせることで、『捕獲率の向上』を達成することができました。
 捕獲後の活用について研究をしており、地域文化である久連子古代踊りの太鼓製作を成し遂げることで『泉町の狩猟文化の継承』を達成することができました。しかし、製作した太鼓は、久連子古代踊り保存会の方々が使用している太鼓と比べるとクオリティが低く課題が残る結果となりました。
 そこで、私たちは『久連子古代踊りの太鼓クオリティ向上』を継続目標に設定し活動を継続することにしました。
2 取り組み
(1)久連子古代踊り保存会の協力と1回目の太鼓製作
『久連子古代踊り保存会 会長』寺川直繁さんの協力のもと太鼓作製を行いました。
【11の工程】
 ①シカの皮を剥ぐ。
 ②皮を日陰で2か月乾燥。
 ③10日ほど塩水につけ込む。
 ④皮の毛をむしる。
 ⑤皮から革紐を取る。
 ⑥皮に白粉を塗る。
 ⑦11~12箇所の穴を開ける。
 ⑧6本の紐で縛り張る。
 ⑨縁を糸で縫い上げる。
 ⑩太鼓の模様を描く。
 ⑪太鼓の胴に合わせる。
(2)久連子古代踊りの太鼓クオリティ向上
  クオリティを上げるため、3つの点において改善を行いました。
【3つの改善点と成果】
「対策」
 ①皮の腐敗臭
 対策:水につけ込む期間を14日から10日に変更。毎日の水替え。
 成果:腐敗臭がなくなった。少し毛が抜けにくかった。
 ②皮の破れ
 対策:使用する個体を大きくし、キリを使って穴を広げた。
 成果:破れはなくなった。しかし、張りが強くなりすぎてフレームにゆがみがでてきた。
 ③保存時のフレームのゆがみ
 対策:湿度を残して、日陰での保存。
 成果:湿度が50%を下回ると、革が張りすぎて、フレームがゆがんでしまった。湿度を60%以上で日陰がよかった。
 また、昨年は太鼓の革部分の作成だけでしたが、今回は太鼓の胴部分も自分たちで製作し、完全な久連子古代踊りの太鼓を作ることができました。
3 まとめ
  実際に太鼓製作を行ってみて、口伝と実指導の大切さ、これまで経験してきたこと (革クラフト)の応用を学びました。
  製作において、クオリティ面での課題を解決することができ、目標を達成することができました。そして、胴の製作まで自分たちの手で行い、製作方法を全て経験することができたので、次世代に引き継ぐことができると考えています。
  鳥獣被害対策に取り組むことで地域資源、文化を守り、人々が住み続けられる町にすることができると考えます。小さな町から『八代泉式鳥獣被害対策モデルケース』を発信し続けます!

胴の製作
太鼓の毛抜き

受賞者コメント

 私は泉分校がある泉町で育ちました。先輩から受け継いできた研究を目に見える形で残すことができて嬉しく思います。またこれまで指導いただいた寺川様、泉分校の先生、クラスメイトの方々に助けられてここまでこれました。厚く御礼申し上げます。 
 長年研究してきた太鼓研究がついに実を結び、太鼓の全体像を完成させることができました。それにより目標だった地域文化である久連子古代踊りの太鼓文化継承を完成させることができたため応募しました。一年生のときに先輩から誘われて行った久連子地区での地域文化展示や久連子鳥を実際に見学し興味が湧いて始めました 。太鼓の皮を制作する際、腐敗臭や毛抜作業が大変でした。 
 何事にも何かをするには細かい作業が必要なことや、努力していても小さなミスで何もかも台無しになることがあるためどのような活動でも気を引き締め頑張り続けなければ達成は難しいことを学びました 。
 元々美術館などを回るのが趣味で、その中で進学先を探している最中泉分校の取り組みを知り、こういう活動をしていきたいという思いから進学し活動を取り組んできました。 
 現代人の文化背景は西洋のものが色濃く残っており江戸時代以前の文化はなかなか感じにくくなっております。その中で高校生活でこのような研究を行え、結果が残せたことに嬉しく思います。伝承文化の魅力とは限られた資源や自然環境の中で無駄がないところだと思います。

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 ■審査員講評も参考にしよう!【 地域文化研究部門 講評 】