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学校活動部門

  最優秀賞 
 「守れ美濃柴犬の未来~繁殖と普及を目指して~
  岐阜県立大垣養老高等学校 美濃柴犬研究班

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【 最優秀賞 】

「守れ美濃柴犬の未来~繁殖と普及を目指して~」

岐阜県立大垣養老高等学校 美濃柴犬研究班

応募の動機

本校動物科学科で飼育する美濃柴犬は、天然記念物に指定されるものの、第二次世界大戦を機に絶滅に瀕した。戦後、保存会が設立され、現在は約300 頭と回復したが、まだまだ危機的な頭数である。よって、繁殖活動とともに認知度の向上に向けて取り組む事にした。
 今回の応募は、地域の希少種「美濃柴犬」のPR とともに、狩猟を通じ人々の生活を支えてきた美濃柴犬の今後の活用について考えていく機会として応募させていただいた。

研究レポート内容紹介・今後の課題

1.はじめに
 第二次世界大戦によって絶滅の危機に瀕した美濃柴犬。岐阜県美濃地域を中心に猟犬として生活を共にしてきた地域の希少種を絶やしてはならないとの思いから、戦後、保存会が発足し、その懸命な保護活動によって約300 頭までに回復したものの、この頭数では、いつか絶滅してしまう。そこで本校では令和元年から雌2頭の飼育を開始し、繁殖と普及を目指した。

2.課題発見と目標設定
 飼育頭数を増やし、地域に普及させようと情報交換を実施。保存会からは、「繁殖は非常に難しく、受胎率は約60%とかなり低い。交配適期を過ぎてからの交配や、近親交配が原因だ。」岐阜大学の先生からは「繁殖に関するデータが少ない。取っていくと良い。」さらに保存会からは、「PRもしているが、まだまだ広まっていない。」と話していただき、活動目標を決定。繁殖に関わるデータを取り、繁殖を成功させる。積極的に情報発信を行い、知名度や関心を高め、飼育頭数の増加に貢献したいと決意した。

3.活動実践と結果
⑴ 繁殖成功に向けて
 雌2頭の1回目の発情期では、交配適期の把握を目指した。外陰部の観察、体温測定、スメア検査の結果、出血後7~ 12 日が交配適期だと分かった。2回目の発情予定にあわせ、発情観察、スメア検査に加え、岐阜大学との協同研究として、糞尿中に含まれるホルモン濃度測定にも着手し、繁殖に関わるデータ採取を目指した。2頭の交配適期が近いことを判断し交配を実施。交配から1ヶ月後のエコー検査にて2頭ともに受胎を確認。交配から60 日目。2頭ともに3頭の仔犬を分娩。受胎率100%。平均2.4 頭を上回る産子数3頭と大きな成果を残すことができた。
⑵ 普及に向けて
 美濃柴犬を後世に繋いでいくには、その形質を引き継ぐことと、正しい知識を持った飼育者や理解者を増やすことが大切と考えた。
 形質を引き継ぐため保存会では、繁殖できる個体を制限したり、誕生した仔犬は、生後6か月の段階で登録審査を実施している。正しい知識を持った飼育者を増やすために、生まれた仔犬の販売を自分たちで行うこと。理解者を増やすため、本校主催の学習会開催や中学校への出前授業なども実施。これら一連の活動は、新聞やテレビ放映などで大きく取り上げられ、美濃柴犬の認知度は大きく向上した。

4.今後の課題
 今後は、ペットとしてだけではなく、人と関わりを持つきっかけとなった狩猟や番犬としての活用にも取り組み、種の保存とともに伝承文化を担う存在として確立できればと考えている。先日公開された「きこり」という映画では、熊の狩猟で活躍する美濃柴犬の姿があった。出演者の方にお聞きすると、岐阜県内には美濃柴犬を熊やイノシシなどの狩猟に用いている方が見えるとのこと。今後、美濃柴犬の歴史を追求していくために、新たに調査を開始したい。

形質審査  学校で実施した学習会の一環で、美濃柴犬の形質審査
展覧会  飼い主が一堂に集まる機会での、情報収集を実施
 
最優秀賞の受賞者コメントは近日公開!
 

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