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学校活動部門

  優秀賞 
 「伝統食「すこ」を未来へつなぐ~八つ頭芋茎をシン・ふるさと銘菓 スコーンに~」
  福井県立大野高等学校  JRC「結」

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【 優秀賞 】

「伝統食「すこ」を未来へつなぐ
~八つ頭芋茎をシン・ふるさと銘菓 スコーンに~」

福井県立大野高等学校 JRC「結」

応募の動機

 私たちのまち福井県大野市には特産物「里芋」があり、芋茎を利用した郷土料理「すこ」に親しんできた。ところが最近、伝統食の継承が危ぶまれている。急激に廃れつつある「すこ」を守り、若者も好むメニューにするため「すこスコーン」を開発した。
地域資源を生かしたこの商品をシン・郷土銘菓として広く知ってもらいたい。

研究レポート内容紹介・今後の課題

1.里芋栽培と伝統食「すこ」
 大野市は福井県奥越地区の豊かな湧水に恵まれた盆地で、上庄地区は全国一位とも言われる上質な里芋の産地である。先人たちは里芋「八つ頭」を収穫する傍ら、その芋茎も余すことなく利用し「すこ」を代々伝えてきた。皮を剥き、炒った後甘酢に漬け込むと鮮やかな朱色になり、秋から冬の季節を彩る甘酸っぱく歯ごたえがよい、ふるさとの味である。
2.寄り合いの食「すこ」
 「すこ」は集まりに欠かせない料理だ。秋から冬、浄土真宗の開祖・親鸞の祥月命日にかけて行われる「報恩講」(ほんこさん)や祭、法事など寄り合いの他、保存食として各家庭で作られ、地域の行事でも受け継がれている。
 しかし、生産と消費が急速に減少している。昭和から平成にかけて少子高齢化が加速し、農業人口が減っていった。さらに食の欧米化が進み、若者は素朴な田舎料理から離れていった。追い打ちをかけたのが、コロナ禍だ。令和2年から祭や寄り合いがほとんど開催できず、会食の機会がぐっと減った。20年前には上庄地区に136軒あった八つ頭栽培農家が、今ではたった8軒。「96パーセント減」という驚異的な結果となった。これでは「すこ」は消滅してしまう、と強い危機感を抱いた。
3.未来へ伝えたいSDGs 食材「すこ」
 ふるさとの味を継承するため、大野市では小中学校の給食に「すこツナごはん」など和洋折衷のふるさとメニューを取り入れ、食育で伝統食の継承を推進している。
 「すこ」は食材の廃棄を減らすだけでなく、食物繊維やカリウムが豊富で健康に良い。アントシアニンは疲れ目を癒やし、デジタル時代にぴったりだ。
 私たちのサークルでは多世代や伝統文化をつなぐ活動を行っているが、子どもの頃から親しみ、エコで栄養があり保存が利くSDGs 食材「すこ」が廃れていくのは非常にさみしいと思い、すこを守るため若者向けに新時代のアレンジレシピを考えた。
4.「すこスコーン」開発
 令和4年冬、中部地区の環境活動発表会に参加した際、特産物や廃棄される食材を利用し商品開発を行っている他校の取組を知った。触発され「すこ」のアップサイクル企画を始めた。「食が欧米化しているなら、いっそ洋風スイーツにしてはどうだろう、Z
世代に人気のスコーンに」と新メニュー探究が始まった。「乾燥すこを具に、片手で気軽に食べられるように。名付けて『すこスコーン』」。とても語呂がいいので次の収穫期に早速作ってみることになった。
5.試作と商品化
 令和5年夏、卒業生の農園・ベーカリーと協働し、芋茎をリンゴ酢と砂糖で漬けてクランベリーのような風味にし、乾燥させてスコーンに入れ焼いた。4回の試作を行う中で、すこがアルカリ性に寄り緑色に変色する大失敗も経験した。学校祭で試食ブースを設
けアンケート154枚から味を決定、商品化が決まった。「越前ふくいマルシェ」「七間楽市」「三大朝市まつり」など県内の食のイベントで販売し、5日間で3百個を売り上げた。地元メディアが取り上げてくださった。
 令和6年には「福井発ビジネスプランコンテスト」で発表し、商標登録を勧められた。現在、市内でファンドレイジングを行い、申請費用を集めている。
 発展策として「すこスコーンde クリームティー」という企画を始めた。イギリスの喫茶文化「クリームティー」にならい、「白山やまぶどうジャム」「さかだに雪の下にんじんジャム」や六呂師高原乳業の「六呂テッドクリーム」など「オール大野の幸」をブリコ
ラージュし「越前味真野紅茶」とともに提供する。ジャムやクリームも、元来果物や牛乳を長期保存するための食文化である。これからも私たちは伝統食「すこ」を守り、子どもや孫へ、千年先へ継承してゆきたい。

芋茎の甘酢漬け「すこ」
卒業生のベーカリーにて生地の仕込み
すこ生産加工場にて調理を学ぶ
福井発ビジネスプランコンテスト出場
FBC(福井放送)テレビで紹介

 

最優秀賞の受賞者コメントは近日公開! 

 

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