インターハイバドミントンの男子シングルスで優勝した大林拓真

全国高校総体(インターハイ)バドミントンの男子シングルスが8月2、3日に新庄市体育館(山形県)などで行われ、3日の決勝で大林拓真(埼玉・埼玉栄3年)が奈良岡功大(青森・浪岡1年)を2-0で破り、3月の全国選抜に続く「日本一」に輝いた。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

団体戦、ダブルスは敗退「このままじゃ終われない」

大会初日となった7月30日の学校対抗(団体戦)は3回戦で敗退(ベスト16)し、川端直人(3年)と組んだ8月1日のダブルスも4回戦負け(ベスト16)。しかし、周囲の人たちの温かい励ましが、大林を「このままじゃ終われない」という思いに駆り立てた。

「保護者の人たちは『気にしなくていい。切り替えなさい』と、川端は『シングルスは頑張れよ』と言ってくれたり、友達からもLINEで応援のメッセージをもらったりして心強かったです」

全国選抜覇者の大林は、今大会の第1シードで優勝候補の一角。だが、全国中学校大会で史上初の3連覇を果たし、昨年9月の全日本ジュニアでは現3年生世代を次々と破って優勝した「スーパールーキー」奈良岡の方が注目度は高かった。大林が全日本ジュニアの決勝や今大会の学校対抗で敗れたのも、まさに奈良岡だったのだ。

インターハイバドミントンの男子シングルスで優勝した大林拓真

「スーパールーキー」に隙見せず

学校対抗とダブルスで味わった悔しさを晴らすかのように、大林はシングルスで初戦から躍動する。「今までで一番と言えるぐらい調子が良かった」と、準決勝まで1ゲームも落とさずに決勝へと駒を進めた。そして決勝では、2学年下ながら「一度も勝ったことがなかった」という奈良岡に決死の覚悟で挑んでいった。

「自分の持ち味は速いスマッシュ。ロビングやクリアでラリーを組み立て、相手を動かしてから甘く返ってきた球をスマッシュで決めるという戦い方が、シングルスの初戦からずっとできていました」

決勝も第1ゲームは14-11から6連続得点、第2ゲームも10-11から7連続得点を挙げて、相手を一気に突き放した。「奈良岡君が(体力的に)きつそうに感じましたし、そこでこちらが緩めたら、また巻き返されるのでしっかり脚を動かして攻め続けました」と、最後の最後まで隙を見せなかった。

優勝を決めた後、大林は応援席に向かって深々と頭を下げ、手厚いサポートに対して心からの感謝を示した。

インターハイバドミントンの男子シングルスで優勝した大林拓真