先制トライを決めたCTB森。準決勝で負傷したが、それを感じさせないプレーを披露した

「花園」こと第96回全国高校ラグビー大会の決勝が大阪・東大阪市花園ラグビー場で1月7日に行われ、優勝候補筆頭の東福岡(福岡)が連覇を目指した東海大仰星(大阪第1)を28-21で破り、2年ぶり6度目の優勝を果たし、春の選抜大会、夏の7人制大会に続いて「高校3冠」を達成した。 (文・写真 斉藤健仁)

苦しみながらも東福岡が6度目の頂点に立った。

大会前から「優勝候補筆頭」「史上最強」と称されていたが、準々決勝、準決勝はリードされる厳しい展開からの逆転勝利だった。この1年、土台として、毎朝1時間ほど、筋力トレーニングやスピードトレーニングなどボールを使わない練習で体を鍛えてきた底力を発揮した。

決勝の相手は連覇を狙う東海大仰星だった。昨年度の準決勝で敗戦した因縁のライバル。東福岡のLO箸本龍雅主将(3年)は「相手に合わせるのではなく、最初から自分たちのラグビーをしよう」と臨んだ。

開始早々から15人一体となってボールを広く展開する攻撃ラグビーを見せたが、相手の激しいタックルの前に、なかなか得点を奪えない。前半19分、けがを押して強行出場したCTB森勇登(3年)が個人技で60メートルを走り抜けて先制トライ。「前に行くことしか考えていなかった」

一進一退の攻防が続き、14-14と同点に追いつかれた後半13分、東福岡が勝負強さを見せる。相手のミスに乗じて一気にCTB堀川優(3年)がトライ。16分にもトライを挙げた堀川は「ボールを奪った後の攻めは、1年間、ずっと練習でやってきた」と胸を張った。

その後、相手の反撃を1トライで抑えた東福岡が28-21で勝利。箸本主将は「FWとBKが連携する攻撃ができた。優勝できて率直にうれしい」と破顔した。高校日本代表候補10人を擁するタレント集団が、主将中心に一丸となって日本一のタイトル奪還に成功した。

【TEAM DATA】
創部は学校が創設年と同じ1955年。部員131人(3年35人、2年51人、1年45人)。部訓は「小事大事」。全国高校選抜大会優勝5度。主なOBにラグビー日本代表の村田亙、熊谷皇紀、豊田将万、藤田慶和らがいる。
東福岡が優勝候補筆頭というプレッシャーをはねのけて、見事に「高校3冠」を達成した