「花園」こと全国高校ラグビー大会が、東大阪市花園ラグビー場(大阪)で12月27日から1月7日まで開催される。優勝候補の一つである桐蔭学園(神奈川)は、ワールドカップで大活躍した日本代表WTB松島幸太朗の母校でもある。初の単独優勝を目指す「東の雄」を引っ張る主将・スタンドオフ(SO)伊藤大祐(3年)を取材した。 (文・写真 斉藤健仁)

福岡出身の伊藤は、中学時代はスクールの全国大会で優勝に貢献した逸材。「バックス(BK)が持ち味のチームなので、成長できる」と桐蔭学園に進学した。

1年生からレギュラーとして活躍、花園でフルバック(FB)、センター(CTB)として躍動した。だが、藤原秀之監督は「ランもタックルもできる」と、2年生の1月、新チームになると主将と同時に司令塔を任せた。

悔し涙流し書き始めた

今年の選抜大会では3連覇を達成。だが、花園では、松島らがいた2010年度の東福岡との同点両校優勝以来、あと一歩で悔し涙を流してきた。昨年度の花園決勝で負けた翌日から、伊藤は「ラグビーノート」を書き続けている。

練習で日々感じたこと以外に、試合前日には、例えば「キックミスした後、ボールをしっかり縦に持つ」などを書き、試合直前に見返す。たとえミスをしても落ち着いてプレーできるという。主将としてどう振る舞うか悩んだ時は「人に頼りたくない」と、海外の選手の本を読んでヒントを探した。

 

心を込めたプレーを

チームのスローガンは「一心」。3年生みんなで決めた。「心をひとつ」にし、「一心不乱」に励み、練習でも試合でも「ワンプレーに心を込める」などの意を込めた。

今春、桐蔭学園は選抜大会の予選リーグでなかなか調子が出なかった。「昨年度のやり方を変えないといけない」と感じた伊藤は、前日ミーティングであえて相手を分析することをせず、「自分たちの強みは何か」を3年生を中心に本音で話し合った。結果、選抜大会の準々決勝でライバルの東福岡に67-21で大勝。主将としても司令塔としても「大きな自信になった」と振り返る。

パスやキックを使い、チームを動かす司令塔としても成長を見せている。伊藤は「自分たちの強みである、パスでボールを継続するラグビーで勝負する」と、尊敬する松島先輩らも成し得なかった花園での単独優勝に挑む。

QA 4年後のW杯目指す

Q 憧れている、尊敬している、目指している選手は?

A 中学の時から、ニュージーランド代表のSO/FBボーデン・バレットが好きです。今年のワールドカップで、20歳で世界の舞台で活躍していたフランス代表のSOロマン・ヌタマックにも刺激を受けました。僕も4年後のワールドカップを目指したい。

Q 好きな食べ物は?

A フルーツ全般です。

Q 好きな教科は?

A 社会系の科目が好きです。ちなみに嫌いな教科は数学です。

Q 休日(オフの日)の過ごし方は?

A オフは昼寝して、夕方から出掛けてチームメートとご飯を食べたりします。

Q カバンの中身を教えてください。

A 「ラグビーノート」を入れています。

いとう・だいすけ

 

2001年7月15日生まれ、福岡県久留米市出身。6歳から、りんどうヤングラガーズで競技を始めた。久留米市立諏訪中卒。中学時代は筑紫丘ラグビークラブジュニアスクールで研さんを積んだ。高校入学時、東京五輪を目指す姉・優希が日体大に在学しており、父親が海外に赴任したこともあり、家族で神奈川に移り住んだ。アスリート選抜入試で早稲田大学スポーツ科学部に合格。179センチ、84キロ