私はパニックを起こすことがあり、「ヘルプマーク」をつけています。外見では理解されにくい、いろいろな「困りごと」がある人が身に付けているマークです。混雑した電車で不安になったとき、救われた経験を伝えます。(高校生記者・ひかりん=3年)

パニックの不安と闘って

私は、ある事件に遭ったことがきっかけで、男性や大柄な人、黒い服を着た人などが苦手になりました。そのような人の近くにいると頭痛がしたり、理由もなく涙が出たり、しゃがみこんでしまったりして、パニックを起こしてしまいます。

私が使っているヘルプマーク

病院で治療もしています。でも、いまだに電車に乗るのは苦手です。外出先でパニックを起こしてしまった時のために、ヘルプマークを常に携帯しています。

混雑した電車で救いの手

その日は、志望する大学を見学するために東京まで行き、帰る途中でした。東京の電車は混雑していて、さらに疲れていた私は、パニックを起こしそうな予感がしていました。優先席はすでに満席で、周りにも人がいる状況です。母も私が安心できそうな場所を探してくれたのですが、見つかりませんでした。

必要な助けが書かれたカードも、一緒に持ち歩いています

そんな時、一人の女性が声をかけてくれました。「もしよかったらどうぞ」と席を譲ってくれたのです。そこは優先席ではありませんでしたが、周りに女性が多い場所でした。私は感謝を伝えて座らせてもらうことにしました。そのおかげもあり、その日はパニックを起こさず帰宅できたのです。

「もしよかったら」声掛けに感動

私は、空いている席ならどこでも座れるわけではありません。周りの人の特徴によっては恐怖心を持ってしまうことがあります。座るより、立っていた方が安心できると感じる時もあります。そのため、席を譲ってくれた女性の「もしよかったら」という言葉は、とても心地良いものでした。断ることのできる譲り方だと感じたからです。

最近は、電車に乗る多くの人が電子機器を見ていて、パニックを起こしても誰にも気づいてもらえないこともあります。電車が駅にとまった時だけでも少し周りを見渡して、支援が必要な人はいないか、確認してもらえるとうれしいです。

そして、もし人に席を譲ることがあれば、「もしよかったらどうぞ」と声をかけてみてください。私も、もし困っている人を助けることがあれば、丁寧な声かけをしたいと思います。