「創作活動って興味はあるけど、何をしたら良いかわからない…」そんな方に必見!創作活動をするにあたってのポイント、第24回の受賞者と指導教諭に聞いた取り組みのポイントを紹介します。

現代詩の創作ポイントを押さえよう!

津山工業高等専門学校 江原 由美子 先生

―現代詩の魅力を教えてください

自由であるところです。どのようなテーマでも詩になりますが、視点や表現の仕方は十人十色です。金子みすゞ「私と小鳥と鈴と」に、「みんなちがって、みんないい。」ということばが出てきますが、詩の世界はまさしくそれではないかと思います。読者としては、作者の独自の発想を楽しみ、一つ一つ謎解きのように解釈していけるところに面白さを感じます。また、書き手の側になる場合には、自分の表現にこだわり、一つの世界を構築できるところに魅力を感じます。

基本は、恐れずに書いてみること。詩は難しいと思って敬遠している人が結構いるのですが、そのようなことはありません。何だって詩になります。例えば、「詩が書けない」という詩も書けます。自由に思ったこと、感じたことを書いてみることが大事だと考えます。

創作の際のポイントは以下4点です。

①書きたいテーマに出会うこと

出発点です。どのような光景、感情も詩にできるのですが、書きたいと思えないものを詩にする作業は苦行です。美味しそうなスイーツを見たら、写真に「残したい」と思って撮り、「見せたい」と思ってSNSに投稿するように、ことばで「表現したい」、誰かに「伝えたい」というものを見つけてください。そのためには、様々な経験をし、感覚を磨いていくことも大切になります。ぜひ、今しかできないことをして、今だからこそ感じられる思いを蓄えていってほしいと思います。

②日頃からことばに対する感覚を鍛えておくこと

表現の幅を広げるために必要になります。ことばに対して敏感な人は、日常生活の中であふれてきた自分のことばにも、「いい表現だな」「何かに使えそうだな」と感じることでしょう。そういったことばをメモに残していけば、詩を書く時に役立ちます。そこまで敏感ではないという人は、詩や文章を読んでいて、「いいな」「好きだな」と思うことばに出会えたら、それをメモに残してみましょう。それだけでも、ことばに意識的になることができ、感覚を鍛えられます。

③表現を工夫すること

詩を書く際に、楽しみながらこだわってほしいところです。例えば「雨」は、「あめ」「アメ」「ame」とも書けますし、「rain」と英語で示すこともできます。「雨」を表現する際には、「ぴちゃ」「シャーッ」といったオノマトペを使ったり、「涙」「糸」といった比喩を使ったりもできます。また、「:」や「。」を「雨」として詩の中に配置することも可能です。どのような文字を使うか、どういった表現技法を用いるか、工夫してみましょう。視覚や聴覚を刺激される詩は、読んでいて楽しいものです。慣れないと難しいかもしれないですが、詩というフィールドで遊んでみてください。

④説明しすぎないこと

上級者向けのポイントになるかもしれません。普通の文章を書く際には、読み手に分かりやすい表現や説明を心懸けますが、詩で同じことをやると、余韻や味わい深さが生まれにくくなります。説明しすぎず、あえて分かりにくい部分を作ると、読者の想像力をかき立てることができます。より良い詩を書こうと思ったら、読者の読み解く力、感性にゆだねる部分を作ってみてください。

―現代詩の創作を行うことで、身につく力はどんなことだとお感じでしょうか

想像力や表現力が鍛えられます。観察力や構成力も磨くことができると思います。良い詩を書ける人は、たとえ国語の試験で高得点を取れなかったとしても、生涯にわたって生きる日本語力を身につけていると感じます。

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現代詩の部 受賞者インタビュー

最優秀賞  埼玉県立大宮高等学校  熊谷 滋さん

 

―このコンテストに応募しようと思った理由を教えてください

学校での夏休みの課題として、なんらかの文芸関係のコンテストに応募するというものがあったので、自分がある程度得意な詩作で、高校生でも応募できるコンテストを探し、こちらを見つけました。

その後、過去の最優秀・優秀作品をいくつか読ませていただき、コンテストのレベルの高さを実感しました。特に昨年度の最優秀作品「ながめの息を」(藤井志穂さん作)にとても感動し、チャレンジの気持ちも込め応募に踏み切りました。結果、このような名誉ある賞をいただき、とても嬉しいです。

―受賞作品の誕生秘話(こんな場面で思いついた など)や込めた思いを教えてください

拙作「尋常の季節」は、夏休みに書いた詩です。酷い暑さで、またコロナ禍で部活もなくどこかに遊びに行くことも出来ずだらだらしていたのですが、家で親に何度も勉強しろと言われ、渋々2時間ちょっとだけ勉強した後に書きました。

その頃夏休みは終わりかけだったので、夏休みが明けてから遂に本格的に始まるであろう高校生活を想像し、毎日鬱々としていました。コロナによる休校や分散登校で半年程度続いていただらけの日々が終わり、忙しい毎日が始まろうとするのはだらけ人間の僕にとってはかなりの苦痛でした。

貴重な夏休み後半の日々、そんなくだらない想像して辛くなってないで、もっと有意義に使えよと思うかもしれません。僕も当時そう思っていましたが、それでも中々自分の意志では止めることができません。そこで、仕方なく詩を書いて、自分の今の苦しみがいかに下らないかを考えることにしました。そうしてできたのが「尋常の季節」になります。

―受賞作品の創作にあたって、工夫したこと、苦労したこと、楽しかったことをそれぞれ教えてください

僕は基本的にだらけ人間なので、書く詩もとても冗長なものばかりになってしまいます。そのため、もう冗長にならないことは諦め、できる限り長い文章でも相手に読ませられるように努力しました。

音韻から改行・文字の開き・記号利用などの視覚効果など、また場面の頻繁な転換や、相手への語りかけを利用して無理矢理読ませきるような構成にするよう心掛けました。でも全然上手く行ってないと思いますし、普通にもっとカットするところをカットする努力は必要だったかと思います。

―これからコンテストに応募する人に、創作にあたって心がけるとよいことなど、アドバイスをお願いします

ただ単に創作をしたいのであれば、特に心がけるべきことは無いように思います。というよりかは、創作はなにか心がけをして挑むような大層なことではなく、もっと適当にやるべきだと思います。このようにコンテストに応募するのもまた良いことだと思いますが、もっと適当に書いて、適当に発表するべきです。

何かすごいことを書いてやろうとか、こういうことを私は書きたいんだとか、そういう自意識は捨てた方が良い詩が書けるような気がします。でもこれはとても難しいことで、僕にも全然できていません。難しいです。もっと適当に詩を書けるようになりたい。

―日頃から取り組んでいる創作活動を教えてください

日頃からと言われるとそうではないのですが、精神が落ち込んだ時に不定期に取り組みます。専ら詩ばかりですが、偶に小説も書きます。詩の中でも散文調のものばかりを書きます。けれど今はあまり書いていません。精神が安定してきた証拠であり、良い徴候だと思います。

―その創作活動はいつ頃から始めましたか? 興味を持ったきっかけは?

中学二年生の頃、太宰治さんの小説「女生徒」を読み、当時1人称で独白が中心であるの小説に始めて触れた僕は「こんな感じなら僕でも書けるんじゃないか?」と中学二年生特有の横暴さを発揮し、文芸活動を始めました。その後、最果タヒさんの詩集「グッドモーニング」を読み、感激を受け詩作を始めました。

―創作活動の魅力はどんなところですか? 

僕たちは必ず言葉を通して世界を視ています。言葉を言葉に対して敏感になるということは、世界に対して敏感になることです。今まで感じ取れなかったものが感じられるようになり、世界が広がります。それが一番の魅力であるように感じます。

―創作のこだわりやポイント、ルーティーンを教えてください

これは僕のやり方なので人によって勿論違うと思うのですが、現代詩の創作活動においては、「自分が書きたいこと」をそのままに書くと間違いなく失敗する、と考えています。

例えば、ある詩情を持った文章を仮定した時、詩は大前提として言語の中にあるのですから、同時に全く同じ意味や思想を持つけれど詩情を持たない説明的文章を考えることができます。このことから、詩情とは、言葉や文章によって表現されるその内容に担保される物ではないと思います。

詩を書くということは、何かを創作し表現するということは、表現したい内容ではなく、それをどのように婉曲させて、視点を変えて、曲がりくねらせて表現するかというところにウェイトが置かれる取り組みだと感じます。

現代詩の部 指導教諭インタビュー

埼玉県立大宮高等学校 横山 大基 先生

―本コンテストにはどのような位置づけで取り組みましたか

夏休みの課題として、国語に関する何かしらのコンテストに申し込ませています。感度の高い生徒が御コンテストを探しあて応募しました。

―具体的にどのような指導・アドバイスをされていますか?

生徒に潜在する能力を摘まないよう矯めないよう気をつけています。それぞれが表出したいことを、したい仕方で表出できる機会を与えられればと考えています。

―創作活動に取り組むことは、高校生にどんな効果があるとお感じですか?

創作活動は深く自己を見つめる行為です。外の世界と触れることで自己の世界が研がれることはあるでしょうが、形式に関わらず、創作の資源は内側にしかありません。己の表出に伴い、行為者自身の世界があるいは輪郭を持ち、あるいは混沌に帰します。そのなかで現した作品と自己の世界との解像度の差異に気づき、創作者はより深淵な自己へと潜ります。

ときにこうした機会をいただき外部の世界からの評価を得ることで、作品は多角的な広がりをもちはじめます。自己のうち深くにしか無いはずのものが、他者に共鳴する畏れが作品にまつわります。

創作活動には、言葉という規則のなかでしか生きられない私たちが、言葉のみを使って言葉の世界を超越論的に広げ、自己の世界を色濃くする営みがあります。感性が鋭く内部世界がせわしなく色変わる高校生のうちに、そのときどきのビビッドな世界を拓本にしておくべきでしょう。

 受賞作品を読んでみよう!
  短篇小説の部    現代詩の部    短歌の部    俳句の部
 
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