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優秀賞 
「僕の夏」水澤 由奈(東京・東京女学館高等学校2年生)
「鏡写しのような」吉田 璃子(京都府立東舞鶴高等学校浮島分校2年生)

 

優秀賞 「僕の夏」 水澤 由奈(東京・東京女学館高等学校2年生)

 長かった1学期も終わり、太陽は部屋のベッドで横になりながら意味もなくスマホをいじっていた。
 ああ、今年もまた長い夏休みが始まる。終業式の後教室に残って夏休みの予定を楽しそうに語り合っているクラスメイト達を横目に僕は早々と学校を後にした。
 正直、友達なんて必要ない。話を合わせたり気を遣ったりするのは、時間の無駄だ。それよりも勉強や本を読む方が有意義だと僕は思う。そう考えていると、リビングから『太陽、ご飯できたよ』と、母の声が聞こえた。スマホを充電コードにさして声の方に向かう。今日の夕飯はカレーだ。
 席に着くと、母が何でもないように聞く。『夏休みは何か予定あるの?』母は僕から友達の話を聞かないので心配しているのだ。僕も何でもないことのように『特にないかな。』と、答える。すると、母は急に明るい声で言った。『それだったら、太陽も小さいときに行ったんだけど、佃のお祭り、おぼえてる?』太陽は一抹の不安を覚えながらゆっくりと頷
いた。母は嬉しそうに笑って『高校生からそのお祭りに参加出来るの、太陽もお祭り、やってみない?お父さんもおじいちゃんもやってるよ。』僕が参加したくないと答えようとすると、それまで黙ってビールを飲んでいた父が、『無理強いはしないが、コロナで延期になってて5年ぶりだから父さんたち若衆もみんな今回のお祭り楽しみにしてるんだ。それに、風太郎爺ちゃんにも会えるよ。最後のお祭り以来会えてなかっただろ。風太郎爺ちゃんも太陽に会えるの楽しみにしてるぞ。』と急に話に入ってきた。
 風太郎爺ちゃん、僕はこの人が苦手だった。5年前の祭りの時は塾の夏季講習で少ししか顔を出さなかったので、父が祭りでどんなことをしていたか覚えてはいなかったが、熊のように大きな体の風太郎爺ちゃんの鋭い眼光だけは覚えていた。祭りに行きたくなかったが、この時点で既に両親対僕の2対1の構図が出来上がり、断った後の母のがっかりした表情や父の説得を想像すると反論するのも面倒臭くなり祭りもすぐ終わるだろう、と軽い気持ちで『いいよ』と頷いてしまった。僕はこの時の判断を後悔することになる。
 祭りに参加すると答えた1週間後の土曜日、父に朝5時に叩き起こされた。祭りの準備(作業)に行かなければいけないのだ。
 佃へ向かう車の中で、祭りの作業で何をするのか父が教えてくれた。『いいか?太陽、佃の祭りに参加するというのは、ただ当日に神輿を担ぐだけではなく、住吉講という団体に所属しなければならないんだ。佃住吉講の講員は「若衆(わかいし)」・「大若衆(おおわかいし)」・「世話人(せわにん)」の三つに序列され、身につける揃衣(そろい)や役割が異なるんだ。また佃住吉講の講員となって初めての例祭時の若衆は「新縁(しんべり)」と呼ばれ、先輩講員を支えるんだ。だから太陽、頑張れよ。そして7月から毎週のようにある作業では、神輿や獅子頭を飾る小屋やお囃子を演奏する囃子殿(はやしでん)を自分達で作るんだ。中でも大変なのは18メートルもある江戸時代から200年以上も使用されている大幟(おおのぼり)を建てることだ。200年だぞ、すごいだろ。』
 なぜか自慢そうに語る父に眠気を噛み殺しながら『へーそうなんだ。すごいね』と適当に返す。僕の返事に父はさらに得意気に『普段は風雨に晒され腐食するのを防ぐため、川の泥の中に埋められている。それを人が川の中に入ってクレーンで出すのだから相当大変なんだぞ。』と、車内のラジオの音をかき消すように答えた。父は普段、野球のテレビ中継を見ているとき以外は落ち着いているので祭りが相当好きなんだと少し驚いた。
 作業の集合場所に行くと、思っていたよりもたくさんの人が集まっていた。さらに驚いたのはお腹の出た父くらいの年齢の人がたくさんいたのだ。その中から80歳くらいの髪の毛が真っ白な痩せた背の高いおじいさんが杖をつきながら歩いてきた。
 父は少し慌てた様子でその人に会釈をし、僕に言った『風太郎爺ちゃんだぞ。』
 驚いた。5年前の記憶の風太郎爺ちゃんとまるで違っていたからだ。熊のように大きかった体は、父よりも小さくなっていた。
 近づいてきた爺ちゃんは、『よう来たな、洋平君に、太陽か。大きくなったな。』と5年前と変わらない鋭い眼光で言った。
 父は少し緊張した様子で『お久しぶりです。お義父さん。』と、挨拶した。風太郎爺ちゃんはゆっくりと頷き『そろそろ作業が始まるから準備して来なさい。』と言った。
 作業はみんな爺ちゃんの指示によって進められた。爺ちゃんが大声で叫んだ。『太陽!若いんだから川の中に入って、泥を掘れ!』と言った。
 こんなの聞いてない!こんなに大変だとは思わなかった。川の中は臭くて泥だらけで気持ちが悪く逃げ出したかったが、他の人達は誰も文句を言わず、むしろ楽しそうに川の中に浸かっている。
 この人達お金も出ないのに何が楽しいんだろうと心の中で思った。大幟がクレーンで川から出されたものを20人ぐらいで「オリャ、オリャ」の掛け声で運んでいく。体は、泥臭く、汗が目に染みてきたが、みんなで気持ちをそろえて作業をすることは何だか少し楽しかった。
 無事に作業が終わり、その日の晩は作業に参加した皆で打ち上げがあった。僕は父に連れられてみんながビールを飲む中コーラで乾杯した。近所に住むおばさんたちが料理を持ち寄ってくれるのでそれを食べた。
 日焼けしたから肌もヒリヒリするし、一日中動いたので筋肉痛で早く家に帰りたい気持ちもあったが、若衆(ほとんどが父と同じくらいの年齢だが)の人たちが話しかけてくれてみんな同じように『太陽は若いのに偉いね』と褒めてくれる。人とコミュニケーションをとるのも悪くないなと思った。
 それからの僕は人が変わったように積極的に作業に参加した。ある日の作業が終わった後の打ち上げで、日本酒を飲んで酔っぱらった爺ちゃんが僕に言った。『毎回作業に参加して太陽は偉いな。作業、楽しいだろ』僕は爺ちゃんに褒められたのは初めてだったのでうれしくなって満面の笑みで『うん。楽しい』と返した。爺ちゃんは満足そうに頷いて言った。
『いいか?太陽。祭りっていうのは神輿を担ぐよりもむしろ作業が本当の祭りなんだ。年齢も職業も違うみんなが祭りを成功させるという一つの目標に向かって力を合わせて作業をする、これが祭りなんだ。祭りって面白いだろ。』爺ちゃんはハハハと大きな声で笑った。僕はうれしくなって爺ちゃんよりも大きな声で笑った。
 その後は若衆のおじさんたちから『太陽ビールもってこい!』とあちこちから声がかかり忙しくしていた。爺ちゃんの話を聞いてこの人たちも祭りが好きなんだろうなと考えると僕も住吉講の一員になれた気がして胸が熱くなった。
 遂に祭りが始まった。揃いの浴衣で世話人、大若衆、若衆全員が協力して祭りを成功させることができた。初めて担いだ神輿は重たく、太陽が照りつける暑い夏だったが金色に輝く神輿は青い空によく映えた。涙だか、汗だか、よくわからないものが頬を伝った。
 ビデオカメラを回してくれていた母さんは、汗だくになっている僕の姿を見て泣いたそうだ。
 いよいよ夏休みが終わり新学期が始まった。まだ残暑の残る学校までの道のりを太陽は今までとは違う気持ちで歩いていた。爺ちゃんや父さん、母さん、みんなの顔を思い浮かべながら太陽は新たな一歩を踏み出した。
 学校に着き教室のドアの前に立つと太陽は1回深呼吸をしてガラッとドアを開けた。
『おはよう。』

 

受賞コメント

 この度は優秀賞にご選出頂き誠にありがとうございます。まさか選ばれるとは思っていなかった為、受賞した事を担当の先生から聞いた時は嬉しいという気持ちよりも、驚きの方が大きかったです。
  学校の夏休みの課題だったため、このコンテストに応募いたしました。 この「ぼくの夏」は実際にあるお祭りをモデルに創作しました。そのお祭りは、私が幼い頃から大好きな住吉神社例大祭というお祭りで、コロナが明け5年ぶりに開催された為、その嬉しさの気持ちを込めて今回の作品を書こうと決めました。 小説を創作するのは初めてで、どのように話を展開させていくのかというところに苦労しましたが、読書をすることが好きだったので、読み手の立場に立って、登場人物の心情や風景のイメージが伝わる様に丁寧に表現することを心がけました。物語の構成や展開、言葉の言い回し、表現方法などを知るために色んな作家さんの本を読むと良いと思いました。 
  今回の創作活動を通して最後まで自分の言葉で一つの物語を完成させることが出来て、小説を創作する事にやりがいを感じました。また、このような賞を頂けて自分の自信にも繋がりました。

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優秀賞 「鏡写しのような」 吉田 璃子(京都府立東舞鶴高等学校浮島分校2年生)

 席に着いた瞬間、パフェ二つで、と言った。
 今まさに手渡そうとしていたメニュー表を、店員が慌てて引っ込めた。「季節のフルーツパフェ、でよろしいですか?」という確認の言葉で、今更ながらあのパフェの正式名称を知る。
 面食らった顔のままで注文を繰り返し、去っていく店員の背中を見送る。向き直り目線を上げると、目の前にもう一つ面食らった顔があった。
「パフェが食べたい」
 数分前、喫茶店の前で立ち止まり唐突にそう訴えた私を、母はまじまじと奇異なものを見る目で眺めた。幼い頃から良くも悪くも聞き分けのいい娘が、これ程分かりやすく物をねだるのは初めてだったからだと思う。
「ここじゃなくてもいいんじゃない?」とやんわり反対する母の手を引っ張り、半ば無理やり古びたベル付きの扉を押し開けたのだ。
 店員が厨房に姿を消すなり、母が声を潜めて身を乗り出してきた。
「弥生の分だけでよかったのに。母さん、食べられないかもしれないけど」
「大丈夫。お母さんが食べないなら、私が二つとも食べるから」
 ならいいけど、とどうにも腑に落ちないという顔で座り直した飴色のアンティーク椅子の上で、母は落ち着かなげに身体を揺らしている。そわそわと店内を見回しながらも、意識は私の方に向けられている。特に崩れてもいない前髪を手櫛で梳かして、それに気づかないふりをした。
 目が合えば、母はなぜここに来たかったのか、と尋ねてくるかもしれない。それに私自身が、ぼやけた曖昧な答えしか持ち合わせていなかったからだ。
 振られる前に話を逸らそうと、別の話題を急いで頭に並べていく。どうでもいい、その場だけで発展することもない話をすればいい。それなのに出てきた言葉は、自分が想像していた方と全く違う方向へ舵を切っていた。
「幼稚園の時、お母さんが二人でここに行こうって誘ってくれたの覚えてる?」
 記憶を探るように少し視線を彷徨わせて、ああ、と母は頷いた。
「あの時、結局行かなかったでしょ」
 客が一人入店したらしい。からんころん、と背後でカウベルが鳴った。それは十年前と変わらぬ音を響かせて、銅の鈍い光を放っていた。

 年長の夏休み。両親が共働きだったため、私はほとんど毎日預かり保育にお世話になっていた。送り迎えは父と母が交代で回していて、その日は母の担当だった。
 帰り道、ついでにと近くのスーパーへ寄って、夕飯の材料を買いに行ったのが失敗だった。その日の最高気温は、三十五度近くに上っていた。夕暮れ時も迫っているというのに、太陽は人を焦がす光を寸分も弱めることなく、かんかんに照っていた。
 あまりの暑さに二人とも閉口し、家路を急いでいたとき、ふと商店街の道なりにあるすすけたショーウィンドウに目が留まった。
 そこは閉店のチラシを貼られたシャッターが下りている店に両隣を挟まれた、こじんまりとした喫茶店だった。店内との寒暖差で曇ったショーウィンドウの中には、オーソドックスなオムライスやカレーの食品サンプルが並んでいる。その陳列ケースの一番右下に、ぽつんと一種類だけパフェがあった。
 鉄板のハンバーグが看板メニューのその店で、明らかにパフェは力が入れられていない商品だった。これと言った特徴もなく、とりあえずパフェとしての体裁は保ちましたという状態で、それは肩身が狭そうに隅にいた。
 この炎天下のせいだろう。普段であれば気に掛けることなく素通りしてしまう埃を被ったパフェに、私はひどく目を惹かれた。それは母も同様だったらしく、歩調を緩めながら吸い寄せられるように近づいていき、ショーウィンドウ前でとうとう足を止めた。
 しゃがみ込んだ母は、「美味しそうだね」と目配せして囁いた。帽子の紐をいじりながらこくりと頷く。丁度、からんころん、という音と共に客が二人店内に消えていった。
 ねえ、と母が耳打ちした。
「お父さんには内緒で食べちゃおうか」
 人差し指を口の前に立て、茶目っ気たっぷりにガラス越しのパフェを指差す。
 心が甘く弾んだ。普段あまり外食をしない家だったため、お店に入って何かを注文するという行動自体に冒険のような感覚を抱いていた。
 それなのに、私はどこまでも扱い辛い、面倒臭い性格をしていた。
「ないしょはだめなんだよ」
 幼い私の口をついて出たのは、幼稚園で教わったばかりのそんな言葉だった。
 母は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。でもそれは一瞬で、すぐにほんのりと滲むような笑みを浮かべた。
 そうだね。賢いなあ、弥生は。そう言って帽子の上から頭を撫でてくれたことを覚えている。

「それがどうかしたの?」
 母は不思議そうに首を傾げた。
 お昼時を過ぎて客足はまばらになっているというのに、一向にパフェがやってくる気配はない。滅多に出ない注文に、厨房側が戸惑っているのかもしれない。
 どうって訳でもないんだけど、とテーブルの木目を何とはなしに数えながら言う。
「今改めて考えると、可愛くない子供だなと思って」
 昔から、真面目で大人びた子だとよく言われた。それが褒め言葉ではないことは、幼いながらになんとなく察していた。
 母の誘いに、やったあ、と目を輝かせて喜べる子供なら良かった。素直に甘えられる方が可愛いことは分かっていたけれど、私は甘えるのが如何せん下手だった。それで自分が損をしていると感じたことはないけれど、両親に申し訳ないという思いはあった。
 変に遠慮したり頑なだったりするより、差し出した好意を喜んで受け取ってくれる子の方が、きっと両親も嬉しかっただろう。
 可愛げのある子供にはどうもなれなくて、それが私の中で絡まり丸まってほどけない糸のようになっている。
「お待たせいたしました」
 意識の外から聞こえてきた声に、びくりと肩が震えた。コースターの上に静かにパフェが置かれる。丸めたレシートをアルミの伝票入れにくるくると丸めて差し込み、「ごゆっくりどうぞ」と店員は礼をして帰っていった。
 初めての実物を、何の感慨もなく観察する。季節のフルーツパフェという商品名のくせに、季節を感じる要素はどこにも見当たらない。想像していた以上でも以下でもなく、ただその通りの姿でそれは呆気なく目の前にあった。
 ふいに母の声が、柔らかいものに変わった。
「弥生は昔から真面目だったからね。約束事は絶対守らなきゃいけないって思ってたんだろうね」
 本当に頑固者だったからなあ、としみじみと話し、小さくくすりと笑う。
「私の小さい頃にそっくり」
 え、と顔を上げると、母がにこにこしながらさくらんぼを口に入れたところだった。
 母に似ていると評されたことは、過去に一度もない。私自身、似ていると感じたことも一度もない。
 どんなに些細なことでも歯を見せて笑う母。飛び上がりたいくらい嬉しい場面でも笑わない私。
 快活でおおらかな母。神経質で頑固な私。
 鏡のように私を反転させた人間が母だと思っていた。白と黒のような、影と日向のような。相反する考えを持って生きてきたのだと。
 私の知っている母は、今まで選び歩んできた道でできた母だったのだと、そんな当然のことを新たな発見のように思う。
 ほとんど独り言のような呟きが漏れた。
「私も大人になったら、お母さんみたいになるのかな」
「そうかもね。なりたいの?」
 からかう口調で飛んできた質問に「うん」と返す。驚いた顔を見せて、それから心底嬉しそうにはにかみ笑いを浮かべる母を眺めていると、ぽろりと言葉が零れた。
「だから、私がどんな大人になるか見ててね」
 向かいから息を止める音がした。
 私は母が左手を当てている下腹部に視線を移した。腫瘍の見つかった子宮を、じっと睨む。私に注がれている母の視線に、違う理由でまた気づかないふりをする。
 今泣いてはいけないと自分を叱咤する。これからどう転がっていくにしろ、涙を流すのは後でいい。
 ここで泣くのが可愛げのある子なら、今ばかりはならなくていい。そう強く思う。
「絶対だからね」
 幼稚な台詞に恥ずかしさが襲い掛かる。まるで駄々っ子だ。
 羞恥に堪え切れず俯いていると、ふっと母の纏っていた空気が緩む気配がした。そうだね、とベールをかけるような声が降ってくる。
「楽しみにしてるよ」
 唇を綺麗な三日月形にして、母は言った。
 私は将来、取るに足らないようなことでよく笑う人間になっているかもしれない。もしくは、今と変わらず面倒臭い性格を貫き通しているかもしれない。
 ただ、今この瞬間は私の大切な分岐点になる。それだけは何故かはっきりと言える。
 銀のスプーンですべらかになったバニラアイスの表面を掬い、私はそっと口に運んだ。

 

受賞コメント

 この度は優秀賞にご選出頂き、誠にありがとうございます。驚きが大半を占めていて、未だに実感は湧いていません。
  元々読書を趣味としていて、幼い頃から暇さえあれば小説を読んでいました。いつからか自分でも小説を書きたいと思うようになり、その作品の一つを今回コンテストに応募させて頂きました。 
 普段の何気ない会話や出来事から思い付いたアイデアを基にして小説を書いています。これを伝えたい、というようなはっきりとした目的が私にはないのですが、誰かに面白いと思ってほしい、という目標は全てに共通してあります。
  どの言葉がこの状況にしっくりくるだろう、この場面でこの主人公はどう思うだろう、と迷ってばかりです。正直、楽しんでいる時間より悩んでいる時間の方が多いと思います。どうすれば良いか掴めなくて頭を抱えることも多いけれど、どんな風にストーリーを展開させていくか考える時間は本当に楽しいです。
  小説を書いていると色々な人の目線で物語が進んでいきます。それぞれ違った境遇、性格、価値観があるけれど、それが自分の思考に繋がっている部分が面白いと思います。 終わり方は出来るだけしっくりとくるよう心掛けています。あくまで自分の感覚なので曖昧なものなのですが、それまでの流れを壊さない終わり方を大切にしたいと思っています。
 私は良く言えば慎重、悪く言えば勇気がないので全ての物事に対して腰が引けてしまっていたのですが、創作活動を始めてからは、これも小説に使えるかもしれない、という考え方をすることができるようになりました。 
 どうしようか迷っているなら、思い付いたことをとりあえず書き連ねてみると良いと思います。それを少しでも楽しいと思えたら、是非ゆっくりとでも創作活動を続けてみてほしいです。 

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