中学・高校生活は友達関係が広がる分、悩みもつきません。「心がつらい、苦しい」と感じること、ありますよね。臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた悩みに答えてもらいました。

【お悩み】毎日勉強できていたのに苦痛になっている

人間関係や将来のこと、勉強のことなどいろんなことで悩みすぎて、勉強していても身についている気がしないんです。最近集中して勉強することもできなくなってきていて、できていたことができなくなるのが怖くて……。毎日泣いて自分を責めてしまっています。特に何かを失敗したときや、失敗できないものがあるときに集中できなくなります。

勉強にも集中できない…(写真はイメージ)

今までだったら毎日勉強しても苦痛じゃなかったのに今は苦痛でしかなく、テスト期間ですらしっかり勉強できない自分が嫌になります。学年末試験では、得意教科も含めていつもより10~20点ほど下がってしまいました。

親を始め、周囲に相談できる人がいません。元のように毎日勉強するためにはどうしたらいいですか?(中学3年・女子・ぬい)

真面目な性格の人ほど深く悩んだり、いろいろと心配になったりすることがあります。場合によっては気持ちが切り替えられず、目の前のことに集中できないことも起きます。つらいですよね。ぬいさんが調子を取り戻すために何をすると良いのか、一緒に考えてみましょう。

頭の中の悩みを全て書き出して

まず「いろんなことで悩み過ぎた」とぬいさんは書いていますが、いまの状態になる前に失敗や困ったことがありましたか? それとも特にないけれど、考え過ぎて心配になったのでしょうか?

もし、元々悩んでいる内容に「実際は起きてないこと」があったら、まずは実際にあったこと(客観的な事実)をもとに、改めて悩みごとを振り返ってみましょう。特に人間関係は「多分、相手はこう思っている」と、悪い想像が生じやすいことがあります。

メモを使って悩み事を整理しよう

いま周囲に相談できる人がいなかったら、自分の頭の中にあることは全部書き出して、それを全体的に眺めたり、自分を悩ませる具体的な要因を見つけたりすることをオススメします。メモや付箋を使っていろいろと書き出すと、似た悩みでまとめたりできていいですよ。これが一番大切な作業なので、時間をかけてしっかり取り組みましょう。

「自分を責める声」は聞き流そう

心配させる要因が具体的になると、自分がどんな情報があると安心か見えてきます。例えば「どんな高校を選べばいいか分からない」であれば、学校を知る・体験する機会を調べることや、実際に行ってみること、模擬試験を受けていまの自分の実力を確認することなどがありますよね。よく分からない部分は知識や経験で補いましょう。

考え方のタイプの話になりますが、真面目な人ほど、自分ができていないことや、自分に足りないことへ目が向きがちです。ぬいさんもそのようですね。できていないことが分かることは大切ですが、自分で自分を責めることはデメリットの方が大きいです。「自分を責める自分の声」は、聞き流しましょう。

「今日やれたこと」をメモして

頑張ろうとする人は、目標が高くなり過ぎることもあります。いまは将来の目標を意識するよりも、「いま、何ができていると安心か」を考えて日々の生活を送るなど、意識するところ(視点)を切り替えることもよいと思います。

やれたことをしっかりメモして積み重ねよう

最後に「今日やれたこと」もしっかりメモして、「何が良かったからできた?」など、プラス要因もぜひ探ってください。全ては自分を振り返る資料になり、積み重ねている証にもなる、ぬいさんにとって大切なことです。少しずつ取り組んでみてくださいね。応援しています。

 

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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