皆さんはどのように暗記をしますか? 「何回も書く」「読む」などそれぞれのやり方があると思いますが、それが正しい方法なのか不安になったことがあるのではないでしょうか。今回は、「社会系科目の暗記方法」について学校の友人など110人の高校生にアンケートを取り、その結果をもとに学校の先生に「正しい暗記方法」についてインタビューしました。(高校生記者・あかり=1年)

高校生110人に、日本史や世界史などの社会系科目について「どのように勉強しているか」を聞いてみました。

 

社会は他教科とは違い、「何度も見る」がトップという結果に。普段聞きなれている言葉が組み合わさっていることも多く、どちらかというと書き方よりも単語そのものを覚える人が多いのかもしれませんね。

「何度も見る」が一番回答数が多くなりましたが、この勉強法は本当に効果的なのでしょうか? 先生に聞いてみました。

アウトプットを重視して

―みんな「何度も見る」ことで暗記しているようなのですが、先生はどう思いますか?

よくない勉強法ですね。もっとも楽ではありますが、点を取るには一番非効率的な勉強法です。なぜなら、「インプット(入力)」と「アウトプット(出力)」は別だからです。

「薔薇」という漢字を読むことはできても、実際に書ける人ははるかに少ないですよね。同じように、暗記することと実際に問題を解くことは別物です。

ほかの3つの方法に関しては何かしらの「アウトプット」の行動が伴いますが、「見る」だけでは学習として限界があると思います。

―一番回答数が少ない「音読する」という勉強法は「アウトプット」の回数が多そうですが、どうなのでしょうか?

悪くはないですが、そこまでおすすめもしません。

英語など言語の分野では、音読は優れた学習法として確立されていますし、暗記一般でも自分で見て声に出したものをさらに自分の耳で聞くので、「インプットの回数が増える」というメリットがあります。

アウトプットできることが大事

しかし、社会科の試験はどうしても「書く」作業を求められがちです。「書く」という出力の練習にならない「音読」は、試験という面ではいい学習法とは言いがたい点があります。

ただ、場所を選ばないことや時間がかからないというメリットもありますので、うまく取り入れられればより充実した学習になるかもしれません。

流れ、つながりを正しく把握しよう

―では社会科科目の勉強をするうえで大切にするべきことは何なのでしょうか?

定期試験のための日々の学習という点で言えば、知識を身につけること。そしてその知識を適切なかたちで出力できることが重要です。

そのためには、「なぜこれが取り上げられているのか」を理解することが重要です。例えば、たくさんある製鉄所の中でなぜ「八幡製鉄所」だけが取り上げられるのか。社会のどの分野でも、授業やテストで取り上げられるのはその内容が大事だからです。

それがわかれば、取り上げられている内容がつながってくるはずです。社会科ではこのつながり、「流れ」が大事だと思います。

―流れの把握が大事なのですね。

ただし、それ以上に社会科一般で大切なことというのもあります。それは、自分の人生の役に立てることです。

「社会」という教科名が示す通り、社会科は身につけた知識を用いて社会をより豊かで生きやすいものにする、という目的が根底にあります。

ですから、常に自分自身が暮らす環境や、自分自身の生き方に引き付けて考える習慣を身につけてほしいです。

「誰かに説明する」のがおすすめ

―先生おすすめの勉強法を教えてください。

「流れ」を把握するのは「まとめノート」がおすすめですが、非常に時間がかかるのがネックです。きれいなノートを目指しすぎて中身が覚えられていなければ、「何回も見る」より悲惨な結果が訪れる可能性もあります。

―どうすればよいのでしょう……。

その場合、もう一つおすすめできるのは「誰かに説明する」です。

「カルスト地形」はどういう地形なのか、「下関条約」はどのような条約なのか。自分が大切だと思う単語をいくつかピックアップして誰かに説明してみましょう。うまく説明ができて相手が理解できればばっちりです。

友達に教えることでアウトプット

単純な暗記は自分がいいと信じるやり方を見つけることが大事です。いままでやめたほうがいいと言った方法も、効率が悪いからであって覚えられないというわけではありません。

覚えきれればどんな方法でも構いません。効率を求めすぎず、時間がかかっても覚えきるという覚悟と姿勢を大切にしてください。