期待に胸を膨らませながらも、勉強についていけるか心配する新入生も多いのではないだろうか。学習塾を経営し、高校生向け参考書を多数執筆している清水章弘さんに、高校入学後に勉強でつまずかないためにやるべきことを聞いた。(黒澤真紀)

苦手の放置はつまずきの始まり

―高校入学時、勉強でつまずく生徒の特徴を教えてください。

高校生活のスタートダッシュでつまずいてしまう生徒には、主に二つの理由があります。一つ目は、「中学時代の苦手教科をそのままにしてしまうこと」。特に、高校入試の科目が英語、数学、国語の3教科だった人や、推薦入試で合格した人は、中学よりも幅広い知識や課題解決力が要求される高校の勉強に対応できなくなることがあります。

二つ目は「よい勉強習慣を身につけていないこと」。部活動を引退した中3の夏から受験勉強に集中し、無事に合格した人たちの中には、勉強の習慣が定着しないまま勢いで高校に進学した方もいるのではないでしょうか。そうすると、勉強する「習慣」が不足したままになってしまいます。

「高1の1学期」の過ごし方が鍵

―「よい勉強習慣」をつけるコツはありますか?

まずは、高校1年の1学期の中間試験、期末試験を「どちらも」頑張ることが大切です。高1の1学期に、「勉強をやるクセ」をつけるんです。

2学期になると部活動が本格化したり、文化祭などのイベントがあったりして忙しくなります。学校生活にも慣れてきて、気も緩みがちです。そのため友人関係のトラブルも起きやすく、勉強時間がゼロになることも少なくありません。それでも、1学期に勉強習慣をつけていた人はペースを取り戻しやすいんです。最初に周囲から「勉強ができる人」と思われれば、その後も頑張るモチベーションにもなるのではないでしょうか。

勉強の重点は「復習」にあり

―効果的に勉強するためには何を意識すればよいですか?

大切なのは復習すること。日々の中で、少しの時間でも積み重ねてください。ぜひ試してみてほしい勉強のテクニックを5つ紹介します。

【1】朝夜に復習タイムを作る

夜10分、朝5分、復習の時間を作ります。ノートや教科書をパラパラ見返す程度でも構いません。特に寝る直前は記憶が定着しやすいと言われているので、必ずやるようにしましょう。

【2】授業は「復習サンドイッチ」をする

授業が始まる前の1分で前回のノートを見返し、最後の1分でその時間の授業内容を振り返ります。授業を「復習」で挟むんです。「ああ、こんな内容だったな」と思うだけで構いません。友だちと問題を出し合うのも良いですね。

勉強は復習がカギになる

【3】重要単語はオレンジ色で書く

ノートを取るときやプリントの穴埋め問題を解くときは、大事なことをオレンジ色のペンで書きます。赤シートで隠すとそのまま問題集になるのでテスト前にアウトプットしやすくなります。

【4】クイズを作るようにノートをとる

ノートの左3分の1に線を引き、余白を作ります。残り3分の2のスペースに板書を写し、左スペースに板書内容を問うようなクイズを作ると、授業内容が定着します。

【5】ふせんを活用する

授業で分からなかったことや、後で調べてみようと思ったところにふせんをはり、パパっとメモしておきます。問題が解消するまではがさないようにすれば、分からないままにしなくて済みます。ノートに書き込まなくても良いので、「ノートをきれいにとりたい!」とこだわりたい人も楽に始められます。

英語と数学がポイント

―高校生になると教科が細分化され、科目数も学ぶ内容も一気に増えます。新入生はまず、どの教科を重点的に勉強すればよいですか?

英語と数学は、これまでの積み重ねが成績に大きく反映されます。まずはこの2教科をしっかり押さえましょう。

―英語についておすすめの勉強法を教えてください。

入学前に中学の英単語の総復習し、英文法テキストで基本を再確認してください。どちらも中学で使っていた単語帳や薄い問題集で構いません。入学後は高校で新しく配布された問題集を利用するのも良いでしょう。

長文に対する苦手意識を克服するためには、単語学習に加えて、音声を聞いたあとにそのまま発音する「リピーティング」、英文を見ながら音声と同時に発音する「オーバーラッピング」、英文を見ずに音声を追いかけるように発音する「シャドウイング」が効果的です。声に出すことで、聞く、話す、理解する力が統合的に高まります。

―数学はどう勉強すれば力がつきますか?

数学は、公式や解き方をただ「暗記」してきた人がつまずきやすいです。春休みのうちに、中学の計算問題を毎日少なくとも10分練習することから始めます。

オススメなのは、解説を隠して、一行ずつ見てそれをヒントに次の解き方を考える「一行ずらし見勉強法」です。これなら、暗記中心にならず、自分で考えながらステップアップしていくことができます。最初からできなくても構いません。解答や解説を読んで、ゼロから解けるようになれば良いのです。

高校生活のスタートを順調に切った人たちに共通するのは、「小さな分からないことをそのままにしないこと」。小さな積み重ねを大切に、高校生活の良いスタートを切ってください。

 

 

清水章弘さん

しみず・あきひろ 1987年、千葉県船橋市生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。勉強のやり方を教える少人数制の学習塾「プラスティー」を東京・京都・大阪のほかオンラインで運営。TBS「ひるおび」等に出演中。『読むだけで面白いほど成績が上がる 高校生の勉強法』(KADOKAWA)など、著書12冊。