オススメの小説を高校生記者のざわさんに紹介してもらいました。

交渉、裏切り……領土を奪い合う戦いに勝て

『さよならの言い方なんて知らない。』河野裕 著(新潮文庫、590円=価格は1巻、税抜)

もしも、なにか能力を一つもらえるとしたら、何をもらいますか? 

空を飛んだり、透明になったりなど、素敵な想像が膨らみます。『さよならの言い方なんて知らない。』という物語の中では、さまざまな能力を持った人々が、領土を巡る戦いを繰り広げているのです。

『さよならの言い方なんて知らない。』河野裕 著(新潮文庫、590円=価格は1巻、税抜)

物語に出てくる香屋歩と秋穂栞は、ある日奇妙な招待状を受けとります。

それが、しばらく行方が分からなくなっていた親友と関係していると感じた2人は、招待状に書かれた場所へ向かいます。そして能力を決めた後、架見崎という瓦礫であふれた街の住民になります。

住民たちがチームを組み、交渉や裏切りを通して領土を奪い合っている架見崎で、2人もそれぞれの目的を果たすために、生き延びようとするのです。

先の読めない展開、ワクワクが止まらない

私は1巻目を読み終えた後、すぐに2巻目を買うほどこの物語に惹きつけられました。

私が考えるこの物語の素敵なところは、先の読めない展開です。香屋歩や秋穂栞の行動が自分の予想を超えてくるたびに、次こそは展開を当てるぞと思うのですが、結局、そんな方法があったのかと、はっとさせられてしまいます。そのうちに、次は何をするのだろう、とわくわくしてしまいます。

2人と同じチームの仲間たちの、優しさやあたたかさも印象に残っています。そのような場面があるからか、戦いや裏切りが多いこの物語も、不思議とすらすらと夢中になって読んでしまいます。

戦いだけではなくて、はっとさせられる展開や個性あふれる登場人物たちなど、たくさんの内容が詰まっていて、何度も読みたくなってしまう素敵な物語です。ぜひ、展開を予想しながら読んでみてください!(高校生記者・ざわ=2年)