北海道・立命館慶祥高校弁論研究部の佐藤彰恵さん(3年)が5月3日、愛知・東海高校であった「第68回椎尾弁匡記念杯全国高校弁論大会」で優勝した。仲間の支えを力に、発展途上国への新しい支援方法を堂々と論じた。 (文・写真 岡崎敏)

物資だけの支援に疑問

昨年11月、同校の研修旅行でベトナムを訪れた。現地の児童養護施設に募金や洋服などを届けた後、「自己満足ではなかったか」と疑問を抱く。「子どもたちが本当に必要としていたのか分からなかった」と振り返る。

帰国後、同校であった北海道大学教授による講演会で、支援活動の話を聞いた。教授は西アフリカのブルキナファソにトイレを提供し、排せつ物を肥料に変えているという。

人々の自立を促す支援に感銘を受け、教授の研究室まで足を運んで話を聞いた。全国高校弁論大会には、この新しい支援の形を題材にした演目で臨むことを決め、3月から原稿を書き始めた。

弁論はスポーツ

原稿審査合格後、完成までには、付属中学を合わせた23人の部員に修正すべき点を指摘してもらい、28回書き直した。苦手とする質疑応答は「みんなの前で発表して、質問を受ける」ことで鍛えた。

全国から17人が参加した本番では、質疑応答も無事に乗り越え、見事優勝。「大会本番で落ち着いてできたのも部員のおかげ」と感謝する。優勝にも「部活全体が表彰された感じです」と話した。

「弁論はスポーツと同じで、練習の苦しさを乗り越えたからこそ、得られる喜びがある。そこが魅力です」