千葉県の松戸市役所には、「すぐやる課」というユニークな課がある。
すぐやる課16代目課長の町山茂昭さんに、その歴史や仕事内容を語ってもらった。

即対応の機動力勝負!「すぐやる課」の市民サービス

「すぐやる課」は発足からもうすぐ50年。名前の通り、市民の要望にすぐに対応する課として、日本で初めて、当時の松本清市長が立ち上げました。松本さんはドラッグストアチェーン「マツモトキヨシ」の創業者でもあります。

市政に対する市民の声が多様化した1960年代、道路や側溝などの補修や清掃、環境衛生の問題など市民生活に直接影響のある要望が増加しましたが、予算や時期、部署によってはすぐに対応できないことが少なくありませんでした。そのような状況を払拭し、市民の要望に即時対応できるようにするために、「すぐやる課」は1969年10月6日に設置されました。

私は入所前でしたが、当初は「出稼ぎにきた父を探してほしい」「息子に嫁を紹介してほしい」などという個人的な依頼をしてくる人もいたそうです。「なんでもやる課」ではないのですが、そのように受け取る人もいたのでしょう。

最多案件は蜂の巣の駆除 巣作りの季節は1日40件も

私は1982年の入所後、いくつもの部署を経て、2016年度から「すぐやる課」に配属されました。現在は、課長として8人の仲間と共に働いています。

今の「すぐやる課」の主な仕事は、道路やU字側溝の破損を修理するなどの危険回避業務、庭に出た蛇の除去や猫などの動物死体処理等の不快解消業務です。巣から落ちたカラスの雛を安全な場所に移動させたこともあります。親ガラスが雛を守るために通行人を襲うからです。

一番多いのは蜂の巣の駆除。毎年、7~8月は蜂の巣作りのピークで、1日に約40件の依頼がくるほどの繁忙期となります。蜂の巣の駆除では、蜂の攻撃を受けないよう万全の装備で向かいます。しかし、暑い時期に全身を覆う防護服を着て屋根に上るケースもあり、十分な注意が必要です。職員は2~3人のチームで互いの得手不得手を補完し合いながら作業します。

「すぐやる課」は市役所のコンシェルジュ

また、常日頃からパトロールを行っており、道路の破損など気づけばすぐに対応します。小さな破損であれば、自分たちで修繕してしまいます。

本来、他の課が対応するような要望がくることもあります。そんな時に、対応できる課と市民をつなぐのも私たちの仕事。さまざまな要望を適材適所に振り分ける、いわばホテルのコンシェルジュのような役割を担っているんです。

市民のみなさんに喜んでいただけるのはうれしいこと。市民サービスのプロとしてのやりがいです。若い職員にとっても、市民と直接触れあうことができる現場で、市民サービスの意味を知る良いチャンスと言えます。

松戸市は「住んでよいまち・訪ねてよいまち」としての実現を図っています。その中で、私たち「すぐやる課」が対応することでイメージの向上に一役買いたいと思っています。そのためにも、機動力を大切に、市民目線で即対応を心がけていきたいですね。

【町山茂昭さん】
松戸市役所 総合政策部 すぐやる課課長。東京農業大学出身。1982年4月、松戸市役所に一般事務職として入所。総務部庶務課から始まり、教育委員会、道づくり課、広報課、高齢者福祉課など1~7年ごとに異動し、2016年度4月より現職。

町山課長に聞く 公務員に向いている人

地方公務員の一般事務職は数年ごとに異動があり、辞令が下りたら、新しい場所で新しい仲間と新しい仕事が始まります。そのため、求められるのは柔軟にいろいろな業務に対応できる姿勢。ただ、どんな仕事も目的は市民サービスです。人のために奉仕する気持ちがある人が公務員に向いていると思います。市民が納めた税金で、いかに市民にとって快適なサービスを行うかを考えられることが大切です。