男子部員と共に練習する佐藤。司令塔の位置に入って正確なパスと判断で攻撃陣をリードする

2016年のリオデジャネイロ五輪から新たに採用される7人制ラグビー(セブンズ)。佐藤優(千葉・我孫子3年)=千葉・御滝中出身=は、学校の部活で男子部員と共に楕円(だえん)球を追い、東京五輪でのメダル獲得を目指している。
(文・写真 斉藤健仁)

迷いは消えた

7人制ラグビーは、15人制ラグビーとほぼ同じルール、同じ広さのグラウンドで、前後半7分で競う。
 女子にとってラグビーはあまりなじみのない競技だが、佐藤は兄の影響で小学3年生から始めた。中学生になり「続けるかどうか悩んだ」が、所属していたラグビースクールの先輩の誘いもあり、陸上部と並行して週末は球を追った。
 中学1年生だった2009年、男女の7人制ラグビーがリオ五輪から正式種目になることが決まった。「やはりオリンピック競技になったことは大きかったですね」。迷いは消えた。
 ラグビーに専念できる環境を求め、女子部員も受け入れている我孫子に進学。毎日の部活動で男子と共に汗を流し、週2回のウエートトレーニングも欠かさない。おかげで「(体をぶつける)コンタクトプレーは強くなった」と自信をのぞかせる。

日本Vに貢献

今年4月には、関東選抜の一員として国際大会(サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2014 女子セブンズ)に出場。司令塔のスタンドオフとして、得意のキックと味方を生かすパスを武器に、ニュージーランドやオーストラリアなどのチームを翻弄(ほんろう)し、優勝に貢献した。
 だが、佐藤は現状に決して満足していない。「オリンピックに出るために、日本代表の先輩たちに負けない選手になりたい」
 目下の課題はフィットネス強化とランニングスキルの向上だ。「東京五輪に出場して、お世話になった人たちにプレーを見てもらいたい」
 6年後の大舞台を視野に、日々練習に精を出している。

さとう・ゆう 1996年12月7日、千葉県生まれ。7人制の関東選抜、15人制の日本選抜メンバー。7人制ではスタンドオフだけでなくFWとしてもプレー。得意なプレーは、キックと味方を生かすパス。162センチ63キロ。

我孫子ラグビー部の2、3年生の女子部員。左から鈴木彩夏(2年)、橋本亜美(3年)、佐藤、山本彩乃(2年)。1年生2人も男子と練習している
 

女子ラグビー五輪競技になった影響で、女子ラグビー選手は約2800人(2012年度)と、3年で約3倍に増えた。高校でもラグビーを続ける選手が多くなった。大学では日本体育、立正、流通経済、追手門学 院、九州産業などが女子選手を受け入れている。