スポーツの応援をするチアリーダーのアクションから生まれ、アクロバティックな組み体操(スタンツ)などが入る「チアリーディング」。技やいかに観客を魅了するかを競う。大宮開成高校のチアリーダー部TOPSの練習を訪ねた。 (文・写真 野口涼)

「集中!」「頑張れ!」――。声を掛け合い、チャレンジを繰り返す。スタンツの中でも難易度の高い、ピラミッド(3段になるスタンツ)の練習だ。

ピラミッドの一番上に立つ「トップ」を務めるのは小泉遙菜さん(3年)。「1年生の時は落ちるのが恐怖でした。でも今は、みんなが必ず受け止めてくれると信じているので大丈夫」と笑う。

「ワンツーダウンアップ!」。掛け声を合図に、「ベース」の手の上でかがんでいたトップが上方に跳ぶ。次の瞬間、その足を、他のベースの肩の上に立った「ミドル」がキャッチ。ポーズを取ろうとしたトップは、すぐにバランスを崩してしまった。あおむけの姿勢で落ちるトップを、ベースがふわっと受け止める。

ミドルの新島瑞紀さん(3年)は「下で支えてくれる人を信頼できないと、体の軸が保てません」と言う。

これでラストの練習と決めた時、ピラミッドの頂上で小泉さんが奇麗にポーズを決めた。チームメートの「やったー!」という歓声が体育館に響いた。

チアリーディングの演技に「信頼」は不可欠。練習中は一つの演技を終えるごとに集まり、先輩も後輩もなく意見を出し合う。

練習は週5日。うち週2日は外部コーチの指導を受ける。他の日は部員同士が教え合う。この春は、12人の1年生が入部した。夏の全国大会「JAPAN CUP」への出場権が懸かる6月の関東大会に向けて練習にも力が入る。

「チアリーディングは、一人でも欠けたら演技できません。だからこそ、成功したときは最高にうれしい」と、部長の松﨑緑さん(3年)は目を輝かせて話す。チームの結束には自信がある。今年の目標を尋ねると、近くにいた部員と声を合わせて「JAPAN!」と答えてくれた。
 
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