大宮東高校ソングリーディング部「THE☆VIGOR!!」は、3年連続で全国大会出場を決めるなど、近年目覚ましい活躍をみせている。

一糸乱れぬそろったダンスは、練習のたまものだ

ダンスのイメージを共有

チアリーダーを空中に飛ばすアクロバティックな技を披露するチアリーディングとは違い、ソングリーディングはダンスの表現力や、統一感のある隊列の美しさが審査される競技だ。

ダンスの表現力を養うには「部員同士のイメージの共有が大切」と副部長の熊澤希波さん(3年)は言う。「演技の中には、元気に踊る部分もセクシーに魅せる部分もあります。部員には、ディズニーキャストのようにとか、スーパーマンみたいに踊ってと、自分たちが目指す表現のイメージを伝えて意識統一を図っています」

練習では、踊り終えるたびに、「フォームがバラバラ」「もっと周りを感じて踊って」「表情が足りない」と、部長の影澤沙杏さん(3年)からの指摘が入り、細部にわたりダンスの完成度を高めている。外部コーチが指導する月数日以外は、練習内容を考えるのは最上級生の部員たちだ。

活気や元気などの意味を持つTHE☆VIGOR!!

大会直前に問題発生

実は、全国大会「USA School&College Nationals」を前にした2月には、練習に向かう意欲の差が原因で部内は「最悪の雰囲気」だったという。「練習を重ねて良い演技はできた。だけど、人間的な中身が伴ってなかった」(影澤さん)。そこで部員たちは、約1週間の練習中断を決断する。この期間に、部長と副部長が部員との個人面談を実施。「問題を解決しないと次に進めなかった。話を聞いて、部員1人1人の考えも理解したし、みんなが何でも言い合える関係を築こうと思いました」(影澤さん)

練習再開後、ダンスがうまくいかない時も、誰からともなく「できるよ!」と、前向きな声掛けが自然に交わされるようになっていた。3月の全国大会では躍動。出場したSong/Pom部門 MediumB編成で5位入賞。「みんなで喜び合った。この瞬間を味わうために毎日練習してきたんです」(影澤さん)

(文・写真 中田宗孝)

部活データ

1985年創部。部員28人(3年生4人、2年生11人、1年生13人)。練習は週6日。全国大会「USA School&College Nationals」には、2017年から3年連続出場中。