桜塚高校の生徒、特に3年生が情熱を注ぎ込むのが体育祭のブロックパフォーマンスだ。全校1000人以上が3学年の縦割りで9ブロックに分かれる。1ブロック約120人で披露するダンスは迫力満点。6月7日に行われた年に1度の大舞台に密着した。

ブロックパフォーマンスは75周年を迎えた桜塚高校の歴史の中で、長年にわたり引き継がれてきた。小山正辰校長は「有志ではなく全校生徒が参加し、選曲や振り付けなど全てを生徒が行うのは他校にはない伝統」と胸を張る。自治会(生徒会)執行部会長とブロック団長の2役を務めた中尾勇太君(3年)は「団長は1年の時からの憧れ。今年、団長ができたことは僕の財産になる」と話す。多くのOBやOGが会場に詰め掛けたことでも分かるように、ブロックパフォーマンスは桜塚高校の誇りだ。

1ブロックは3学年の縦割りで編成された120人前後。3年生は4月から準備を進め、1、2年生を含めた約2週間の全体練習を経て本番を迎える。英国兵やバットマンをイメージしたクール系もあれば、オタクをモチーフにした異色系、水兵風のさわやか系など多彩で、100人以上の生徒が威勢よく踊り叫ぶパフォーマンスはどれも壮観だ。

だが、ブロック団長の一人、清水康平君(3年)が「大人数をまとめる難しさはあった」と言うように、全員のモチベーションを保つのは至難の業。立花翼君(3年)が団長を務めたブロックでは「何度言っても練習に来てくれない3年生がいたけれど、体育祭の前日に全員がそろって本当にうれしかった」といった苦労もあった。ほかにも、衣装にこだわった日髙実君(3年)のブロックでは「キラキラの布を120人分そろえたり、衣装の作り方を後輩に伝えたりと大変さはあった」という。だが、団長の上田翔太郎君(3年)が「自分たちの思いも少しは伝わったと思う。苦労はない」と笑顔を見せるように、一人一人がそれぞれの思いを込めた熱演は会場を沸かせた。

その勇姿を見届けた自治会担当の西田和美先生は「体育祭を通して、3年生に責任感が出てきたと実感しています」と、生徒の成長を喜んでいた。(文・写真 白井邦彦)