国際協力機構(JICA)が運営する「JICA地球ひろば」(東京都新宿区)では、難民企画展「Today, I Lost My Home 想像していなかった今日を生きる」を4月11日まで開催している。難民が国外に逃れる際にどんな困難がふりかかるのか、疑似体験できるのが特徴だ。高校生記者が体験してみた。(文・写真 東華乃子=高校生記者)

深刻化する難民問題

JICA地球ひろばで開催中の難民企画展

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の発表によると、紛争や迫害などで自国外に逃れた難民や国内避難民などが1億1400万人に達し(2023年9月末時点)、過去最多を記録したという。自然災害や経済危機などで増加しており、難民の66%が避難期間5年以上と長期化している状況だ。

日本に住んでいると、なかなか難民問題を身近に感じる機会が少ないだろう。「JICA地球ひろば」では、難民問題や開発途上国の現状などについて老若男女を問わず学べる。

4月11日までJICA地球ひろばで開催している難民企画展「Today, I Lost My Home 想像していなかった今日を生きる」では、難民が直面する困難を疑似体験できる。

難民の暮らしを疑似体験

なりきる人物のプロフィールが書かれたカード

企画展のコンテンツの一つに、体験型ゲームがある。このゲームでは「カードに書かれた人物」になりきり、質問に答えながら避難国への入国を目指す。なりきる人物は「赤ちゃんを連れた女性」や「つえをついた男性」などさまざまだ。

ゲームの途中で答える質問は選択肢がある。想像以上に残酷な問いがいくつも投げかけられていて、回答する時の感情は「選択」よりも「決断」に近い。カードに書かれた人物を自分に置き換えて考えられた。

避難に必要な物をカバンに詰めるタイムアタックを体験したり、赤ちゃんの人形を抱えて歩いたりする。定員の何倍もの人であふれた避難船の様子や、UNHCRが使う難民用のテントなども展示されている。

赤ちゃんと同じ重さの人形 

緒方貞子さんの言葉に感銘を受け

緒方貞子メモリアルギャラリーの様子

同施設には「緒方貞子メモリアルギャラリー」も展示されている。緒方貞子さんは日本人女性初の国連公使で、JICA初代理事長としても難民問題に向き合った人物だ。模擬国連活動の創始者でもある。

特に印象に残った緒方さんのエピソードがある。それは、難民支援をしている地域で紛争が起こっているとき、中断させるのではなく自ら防弾ベストを身に着け援助を続けたというものだ。緒方さんは「自分が見ていないことを壇上で語ることはできない」と、何があっても現場に赴いていたそうだ。これは、ほんの30年前の出来事だ。

「見て知る」ことが大切

私は難民疑似体験と緒方さんの言葉を通して「見て知る」ことの大切さが分かった。ただ、私たちがいろいろな問題に取り組む際、全員が緒方さんのように実際に現場に行くのは難しい。しかし、できないからと諦めるのではなく、「どうしたら知ることができるか」を考えるだけでもいいと思う。その事象を疑似体験するだけでも違うはずだ。

難民問題を含む世界の出来事について、「見て知る」ことこそが今の私たちにできることであり、さまざまな問題解決への一歩になるのではないだろうか。

難民企画展「Today, I Lost My Home 想像していなかった今日を生きる」

  • ■開催期間 ~2024年4月11日(木)
  • 体験ゾーン(展示・相談スペース)休館日 第1・3日曜日
  • ※最新の開館情報はウェブサイトを確認のこと
  • ■開館時間 10:00~18:00
  • ■場所 JICA地球ひろば(JR・東京メトロ市ケ谷駅から徒歩10分)
  • ■入館無料