周りと違う意見を持っていても、「普通じゃない」と思われそうで人に合わせてしまう。そんな経験のある方はいませんか? 臨床心理士でスクールカウンセラーの大倉智徳さんに、読者の高校生からLINE公式アカウント「高校生新聞編集部」に寄せられた「周りと違うことが不安」という悩みに答えてもらいました。

【お悩み】周りと違うことが不安

私は、周りの人と違うことがとても不安です。違う意見を持っていると「周りを困らせてしまうかもしれない」「普通じゃないと思われる」と考えてしまい、違う意見を持っていたとしても周りを見て合わせてしまいます。

「普通じゃない」と思われるかも…(写真はイメージ)

例えば、私の所属している吹奏楽部で、演奏会をした時のことです。事前練習の時間は「本番用の服装・練習着どちらでもよい」と先生に言われました。友達と相談して本番の服装で向かったところ、周りはみんな練習着を着ていたんです。それを見た私は、友達に申し訳ないと思いつつ、とっさに練習着に着替えました。

「どちらでもよい」と言われていることでも、周りと一緒でないと不安感が襲います。不安にならない考え方を教えてほしいです。(さくらもちゅ・高校1年女子)

同年代の目が気になる時期

中高生からの相談で、「周りの人から自分がどのように見られているか」「嫌われているのではないか」など、他人の評価を気にする話をよく聞くことがあります。恐らく年齢的に自分自身に意識が向く時期であるため、周囲、特に同年代の人の目も気になるのではないかと思います。

さくらもちゅさんも日々、不安感に襲われ、心が疲れる生活を送っているのではないかと思いました。こういった場合、どのように考えると少しでも気が楽なのか、一緒に考えてみましょう。

 

不安になったときのことを振り返ってほしいのですが、周りの人と違うことで、あなたに何が起こるのでしょう? さくらもちゅさんは自分と人が違うことで「周りを困らせてしまうかもしれない」「普通じゃないと思われる」と考え、不安を感じるようですが、それによって何が起こると思いますか? もしかすると「嫌われてしまう」「一人になってしまう」などの考えもあるのではないでしょうか。多分、それによって気持ちをより不安にさせられるのだと思います。

「嫌われてしまう」「一人になってしまう」気持ちが隠れているかも

ちなみにさくらもちゅさんは、周りと違ったことで困った経験は実際にありますか? もし、思い当たるのだとしたら、「その経験によって、いま、こんなに不安を感じさせられている。いまとは関係ないのにね」と過去と現在を分けて考えることは大切です。

嫌な考えがよぎったら「異議あり!」

もし、過去の経験で心当たりがないとしても、心の在り方によって不安を少なくすることはできるように思います。頭をよぎる考えを、すぐに失くすことは難しいのですが、周りと自分が違う場面があり、嫌な考えがあなたの頭をよぎったとき、「異議あり! その考えは事実でしょうか?」「周りの人の私に対する反応はいつもと変わりありません」と嫌な考えに異議を唱えてほしいと思います。

嫌な考えには「異議あり!」と唱えよう

嫌な考えが出てくることは、あなたを失敗から守る「心の防衛隊」にもなるのですが、その考えによってあなたが振り回されることは本末転倒です。場合によっては積み重ねてきた自信をも、台無しにしてしまいかねません。その場に合った別の考え方もすることで、不安を少なくして心のバランスをとってほしいと思います。

不安は失敗を防ぐことも

先ほども少し触れましたが、自分を不安にさせる考え方は、うまく付き合えば失敗を防ぐ「心の防衛隊」になってくれます。さくらもちゅさんは繊細な方のようですので、不安とバランスよく付き合い、大成功だと思える演奏を目指してより一層、練習を重ねてもらえればと思います。

 

大倉智徳さん

おおくら・とものり 2002年からさまざまな公立高校でスクールカウンセラーを務める。現在は、小中学校などにも勤務

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